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知らせがないのは……?
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「エラーメールで知る、退職の知らせ」
AM 9:00 — いつもの朝
東京本社での全社員ミーティングから、一ヶ月。
チカは、メールを整理しながら、ふと本社で知り合った営業部のAさんに連絡を取ろうとした。
(Aさん、本社のやり方とか色々教えてくれたし、また相談してみようかな)
📩 【件名:「先日の会議について」】
📩 「Aさん、お疲れ様です! 先日お話ししたプロジェクトについて、追加でお聞きしたいことがありまして……」
送信ボタンを押し、少し待つ。
(返信、すぐくるかな?)
——5秒後。
📩 【自動返信】
📩 「このメールアドレスは存在しません」
「……ん?」
AM 9:05 — まさかの事実
「鬼島さん、なんかおかしいです」
「どうした?」
「本社のAさんにメールしたんですけど、アドレスが存在しないって……」
「……確認するか」
鬼島が本社の社員名簿を開く。
「……Aの名前がないな」
「え?」
「……退職してる。」
「(ちょっと待って、そんな急に!?)」
AM 9:10 — 知らされない退職
「いや、待ってくださいよ!? Aさん、一ヶ月前に会議でめっちゃ元気に話してましたよ!?」
「……この会社、退職のアナウンスしないからな。」
「(え!? そんな雑な管理??)」
「社員は消える時、音もなく消える」
「(まるでホラー……)」
AM 9:15 — 他の本社メンバーにも確認
📩 【件名:「Aさんについて」】
📩 「Aさん、退職されたんですか?」
📩 【本社のBさんからの返信】
📩 「え? そうなの? 知らなかった!」
📩 【本社のCさんからの返信】
📩 「あー、そういえば最近見ないなと思ってた!」
📩 【本社のDさんからの返信】
📩 「でも、普通に今日も働いてそうな気がしません?」
「(いや、してないよ!!!!)」
AM 9:30 — 本社の異常な新陳代謝
「鬼島さん、これ……本社の社員って、誰が今いるのか誰も把握してませんよね?」
「……それが本社の流動性の高さってやつだ」
「(流動性の高さっていうか、もはや異常な早さで人が消えてるだけでは!?)」
「地方組の俺らは、異常な仕事量を耐え続ける社畜だけど……本社のやつらは、異常な新陳代謝に耐えられなくて消えていくんだ。」
「(どっちも地獄じゃないですか???)」
AM 10:00 — 何もなかったかのように仕事は続く
「……Aさん、元気でいてくれればいいですね」
「……元本社社員がどこに消えるのか、誰も知らない。」
「(都市伝説みたいになってきた……)」
しかし、社畜に感傷に浸る時間はない。
📩 【本社からのメール】
📩 「Aが担当していた案件を、地方本部の皆さんで引き継いでください!」
「(待て待て待て待て!!!)」
「鬼島さん、また仕事が増えてるんですが!?」
「ああ、これが**“本社の社員が消えた後”の定番コース**だな」
「つまり、本社の社員が減るたびに地方の仕事が増えると……?」
「……その通りだ」
「(この会社、普通にヤバくない???)」
— 終わり(そして、増える仕事)
AM 9:00 — いつもの朝
東京本社での全社員ミーティングから、一ヶ月。
チカは、メールを整理しながら、ふと本社で知り合った営業部のAさんに連絡を取ろうとした。
(Aさん、本社のやり方とか色々教えてくれたし、また相談してみようかな)
📩 【件名:「先日の会議について」】
📩 「Aさん、お疲れ様です! 先日お話ししたプロジェクトについて、追加でお聞きしたいことがありまして……」
送信ボタンを押し、少し待つ。
(返信、すぐくるかな?)
——5秒後。
📩 【自動返信】
📩 「このメールアドレスは存在しません」
「……ん?」
AM 9:05 — まさかの事実
「鬼島さん、なんかおかしいです」
「どうした?」
「本社のAさんにメールしたんですけど、アドレスが存在しないって……」
「……確認するか」
鬼島が本社の社員名簿を開く。
「……Aの名前がないな」
「え?」
「……退職してる。」
「(ちょっと待って、そんな急に!?)」
AM 9:10 — 知らされない退職
「いや、待ってくださいよ!? Aさん、一ヶ月前に会議でめっちゃ元気に話してましたよ!?」
「……この会社、退職のアナウンスしないからな。」
「(え!? そんな雑な管理??)」
「社員は消える時、音もなく消える」
「(まるでホラー……)」
AM 9:15 — 他の本社メンバーにも確認
📩 【件名:「Aさんについて」】
📩 「Aさん、退職されたんですか?」
📩 【本社のBさんからの返信】
📩 「え? そうなの? 知らなかった!」
📩 【本社のCさんからの返信】
📩 「あー、そういえば最近見ないなと思ってた!」
📩 【本社のDさんからの返信】
📩 「でも、普通に今日も働いてそうな気がしません?」
「(いや、してないよ!!!!)」
AM 9:30 — 本社の異常な新陳代謝
「鬼島さん、これ……本社の社員って、誰が今いるのか誰も把握してませんよね?」
「……それが本社の流動性の高さってやつだ」
「(流動性の高さっていうか、もはや異常な早さで人が消えてるだけでは!?)」
「地方組の俺らは、異常な仕事量を耐え続ける社畜だけど……本社のやつらは、異常な新陳代謝に耐えられなくて消えていくんだ。」
「(どっちも地獄じゃないですか???)」
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「……元本社社員がどこに消えるのか、誰も知らない。」
「(都市伝説みたいになってきた……)」
しかし、社畜に感傷に浸る時間はない。
📩 【本社からのメール】
📩 「Aが担当していた案件を、地方本部の皆さんで引き継いでください!」
「(待て待て待て待て!!!)」
「鬼島さん、また仕事が増えてるんですが!?」
「ああ、これが**“本社の社員が消えた後”の定番コース**だな」
「つまり、本社の社員が減るたびに地方の仕事が増えると……?」
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「(この会社、普通にヤバくない???)」
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