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第二部 自称ヒロインのミレイナと破滅未遂
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もはや、私の中でもある種の様式美になりつつあった。
今日もまた、ミレイナ・ベルグレイヴ嬢は懲りずに悪役令嬢断罪イベントを仕掛けてきた。
しかも今回は、かなり強引に「物理的な嫌がらせ演出」を用意してきたらしい。
***
私は王宮の舞踏会の広間を、騎士団長レオンと歩いていた。
最近は王宮内の安全のために、とレオンが自然と私の護衛役についてくれている。
「アナスタシア様。足元、お気をつけください」
「ありがとうございますわ」
そこに――事件は起きた。
「きゃあっ!」
振り返れば、ミレイナがわざとらしくこちらに向かってよろめきながら転びそうになっていた。
どうやら、私のドレスの裾をわざと踏んで巻き込む演出を試みたらしい。
だが。
「……?」
転びきる前に、あっさりレオンの長い腕がミレイナを支えて止めた。
流れるような騎士の反射神経。まさに完璧な護衛だ。
「お怪我はありませんか、ミレイナ嬢」
「あ、あの……大丈夫ですわ……」
ミレイナは咄嗟に支えられて、完全にタイミングを失っていた。
せっかくの断罪イベント演出は、レオンの無駄に優秀な警戒で秒で潰えた。
――うん、ダメだわこの娘。本当に計画性がない。
私は心の中でまたひとつ大きなため息をついた。
そもそもドレスの裾を踏ませるにしても、もっと自然に仕掛けないと成立しないでしょう。
しかも私の護衛がレオンである時点で、この策はほぼ無意味だった。
***
そんな中、私の溜息を聞きつけたのか、すぐそばを通りがかった侍女たちが小声で囁き合っていた。
「……アナスタシア様、本当に健気に我慢なさっておいでですわね」
「ええ、どんな仕打ちにも微笑みを絶やさずに……お優しい方だわ」
――だから違うのよ。
私がしているのは、我慢でも慈悲でもなく、もはや突っ込み疲れただけの虚無に近い感情なのに。
だが当然、私のため息はまたしても「傷つきながら耐えている姿」として美談に仕立て上げられていく。
***
ふと視線を上げると――そこにはまたしても王太子ユリウスが、心配そうに私を見つめていた。
「アナスタシア……やはり無理をしていたのだな」
……もう、いっそ誰か本当に私を断罪してくれないかしら。
今日もまた、ミレイナ・ベルグレイヴ嬢は懲りずに悪役令嬢断罪イベントを仕掛けてきた。
しかも今回は、かなり強引に「物理的な嫌がらせ演出」を用意してきたらしい。
***
私は王宮の舞踏会の広間を、騎士団長レオンと歩いていた。
最近は王宮内の安全のために、とレオンが自然と私の護衛役についてくれている。
「アナスタシア様。足元、お気をつけください」
「ありがとうございますわ」
そこに――事件は起きた。
「きゃあっ!」
振り返れば、ミレイナがわざとらしくこちらに向かってよろめきながら転びそうになっていた。
どうやら、私のドレスの裾をわざと踏んで巻き込む演出を試みたらしい。
だが。
「……?」
転びきる前に、あっさりレオンの長い腕がミレイナを支えて止めた。
流れるような騎士の反射神経。まさに完璧な護衛だ。
「お怪我はありませんか、ミレイナ嬢」
「あ、あの……大丈夫ですわ……」
ミレイナは咄嗟に支えられて、完全にタイミングを失っていた。
せっかくの断罪イベント演出は、レオンの無駄に優秀な警戒で秒で潰えた。
――うん、ダメだわこの娘。本当に計画性がない。
私は心の中でまたひとつ大きなため息をついた。
そもそもドレスの裾を踏ませるにしても、もっと自然に仕掛けないと成立しないでしょう。
しかも私の護衛がレオンである時点で、この策はほぼ無意味だった。
***
そんな中、私の溜息を聞きつけたのか、すぐそばを通りがかった侍女たちが小声で囁き合っていた。
「……アナスタシア様、本当に健気に我慢なさっておいでですわね」
「ええ、どんな仕打ちにも微笑みを絶やさずに……お優しい方だわ」
――だから違うのよ。
私がしているのは、我慢でも慈悲でもなく、もはや突っ込み疲れただけの虚無に近い感情なのに。
だが当然、私のため息はまたしても「傷つきながら耐えている姿」として美談に仕立て上げられていく。
***
ふと視線を上げると――そこにはまたしても王太子ユリウスが、心配そうに私を見つめていた。
「アナスタシア……やはり無理をしていたのだな」
……もう、いっそ誰か本当に私を断罪してくれないかしら。
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