【完結】悪役令嬢アナスタシアは破滅を嗤う

藤原遊

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第三部 王妃教育と幸福の牢獄

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 破滅を待ち続けた私の物語は――どうやら完全に違う筋書きに塗り替えられてしまったらしい。

 乙女ゲームの悪役令嬢として転生した私は、本来であれば王太子ユリウスに断罪され、婚約破棄され、すべてを失うはずだった。

 けれど現実は、私の破滅を望むほどに好感度ばかりが上がり、ついには幸福という名の檻に閉じ込められてしまった。

 そして今――

「アナスタシア・アーベントローゼ様、王太子殿下との正式な婚約が承認されました」

 国王陛下より、その宣言が下された。

 ――……ああ、もう、完全に詰んだわ。

***

 こうして私は、逃げ場のない「王妃教育プログラム」に放り込まれることになった。

 もちろん、ただの教育では済まない。
 私を取り巻く彼らが――全員が、全力で参加してきたのだから。

***

「財務管理なら、私が補佐しましょう」

 冷静沈着なカイ・ヴァルトンが真っ先に名乗り出る。

「安全確保は私の役目だ」

 騎士団長レオンは当然のように警護役を強化。

「神殿行事はお任せを」

 シグルドは微笑みを絶やさず信仰教育に参画。

「社交界の最新流行と人脈整理は私が」

 ユリオは情報収集と外交ルートを握り始める。

「魔導知識の補助は私が担当します」

 アベルも静かに学問枠を占拠。

 そして。

「君を守り導くのは、僕の役目だ」

 当然のように中心に立つのは、王太子ユリウス。

***

 ……まさに、包囲完了。

 私は静かに紅茶を啜りながら、心の中でそっと呟く。

 ――誰か。
 本当に誰か。
 今からでも破滅をプレゼントしてくれません?

 ……まあ、もう諦めかけてはいるけれど。
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