トリプルクラッシュ ~3つの星の時空を越えた運命~

設楽 件

文字の大きさ
53 / 160
第一部 地球編

50 トリックスター (トリックスター目線)

しおりを挟む
 南極戦争が終わり、一週間が経っていた。僕は、A.C.T アクトの本部に帰ったのは、一回きりで、世界を回ってた。その日は、日本にある、電車の事故後の偽の遺骨が納められているビーストソウルの墓に来ていた。しかし、墓にはもう花束と飲食物が置いてあった

「レッドマジシャン。来たのか?」

 墓参りを終え、墓地から出ようとしたら、とある親子が話しかけてきた

「私の息子と知り合いだったのですか?」

 僕が振り返ると、ビーストソウルの父親と弟がいた。二人とも、ビーストソウルと顔がそっくりだ

「えぇ。小学生の頃」

 父親が、レッドマジシャンが置いたであろう花束と飲食物を見た

「もう一人、来てたのか?」

「はい。僕が来る前から置いてありましたよ」

「今まで、墓参りに来てくれた友達なんていなかったのに。ありがとう来てくれて」

 父親は昔と違って、ビーストソウルを大事にしてるんだと気付いた。失って初めて大切さが分かったんだろうと

「では、これで」



 その後、渋谷を歩いていると、街の大型テレビに映し出されたのは、A.C.T アクトのエンブレムだった

A.C.T アクト?どうして?」

 テレビから聴こえたのは、レッドマジシャンの声だった

「全世界のみなさん、初めまして。私は、地球を征服した者です」

 街中を歩く人が足を止めて、テレビモニターを見た

「私は、世界中のテレビやラジオ等を電波ジャックして、話しています。私は、みなさんも知っているA.C.T アクトの戦士の一人です。これからは、A.C.T アクトが国連や各国政府に代わって、地球を治めていきます」

 エンブレムから切り替わった映像は、悲惨なライブ映像だった。国連本部はガントンが破壊したので、新しく造り直してあったが、また破壊されている映像。どこかの軍の基地が燃えている映像。世界各地の政府施設が崩壊している映像だった。周りにいる人達は、騒ぎだした

「国会議事堂が瓦礫となってる!」

 騒々しい人達を無視して、レッドマジシャンは話を進めていってる

「これからは、私が地球の唯一王になり、地球を救う!」

 それで、映像は切れた



 僕は急いで、本部に空間移動した。自分の部屋に着くと、部屋の中に置いてあった黒色の日本刀を手に取った。コスチュームも目に入ったが、装備してる暇がないので、発射装置だけ腕に着けた。廊下から、足音が聞こえてきた。足音から、誰が来たのかすぐに分かり、そいつに置き手紙を残して、本部内の違う場所に移動した



 タンクの部屋は僕の部屋とは離れている。随分前に、ごちゃごちゃしてる部屋にボールを落としておいたので、移動できた。部屋の外に出て、何となく廊下を歩いていると、廊下の奥に見覚えのある人がいた

「やぁ。メロディー」

「トリックスター。勝手に入ってきたのね。侵入者は排除する!」

「一戦やるか。と言いたいところだが、レッドマジシャンはどこだ?」

「あの放送聞いたのね」

「なんだあれは?世界の征服者になったつもりか」

「なったつもりか。じゃなくて、なったのよ!」

「許されないぞ!」

 トリックスターは日本刀を鞘から抜いた。スノーメロディーは冷気で廊下を凍らせ始めてる

「レッドマジシャンに直接話がある!そこをどけ!」

「誰も通すなと言われてる。ガンドルドを部屋に行かせたけど。どうしたの?」

「部屋で置き手紙読んで、屈辱を受けてるんじゃないか?」

「あの、役立たず!なんて残してきたの?」

「俺は劣等生だが、お前よりは優秀だ!と」

「私は、あなたが嫌い」

「奇遇だな。俺もだ」 

「けど、殺したくはない!死んでほしくない!これ以上仲間を失いたくない!」

「これも奇遇だな。僕もだ!頼む」

 スノーメロディーはゆっくり道を開けた

「ねぇ!あなたの名前のトリックスター。レッドマジシャンとビーストソウルがつけたんでしょ?」

「何で知ってる?僕の小学生の時のあだ名だ」

「ビーストソウルが教えてくれた。その由来を知ってる?」

「いや」

「あなたの良い行動も悪い行動も、結果的に奇跡を起こすから。二人は自分達の脅威になると予感して、名付けたって」

「そうだったんだ」

「彼女は訓練場Ⅳにいるわ」

「ありがとう」



 訓練場Ⅳに僕が入ると、レッドマジシャンが立っていた

「久しぶり。トリックスター」

「レッドマジシャン」

「メロディーとガンドルドはどうしたの?殺した?」

「いや」

「やはり、あなたの方が優秀ね」

「レッドマジシャン。どうしてあんなことした?」

「あなたも見たでしょ。地球の未来を。私は、地球の未来を守りたい」

「自分が王になるのか?」

「えぇ。そして、人類を半分に減らす」

「は?何を言ってるんだ?」
 
「地球の未来を考えて、人類を減らすのよ。地球を破滅させてるのは人間よ」

「君もその中の一人だな」

「周りを見れば分かるでしょ。人口増加。砂漠化。食糧危機。地球温暖化。全部、人間のエゴが招いたことでしょ?だから、人類を半分減らして、地球の破滅を食い止めるのよ」

「何でいろんな所を壊した?」

「南極にミサイルが飛んできたのは、エイリアンではなく、私達を殺すためよ!そのせいで、マスターウェザーは死んだ!そんな組織達は、壊して当然よ!」

「どこも救ってきたものも多い組織だった!」

「私は救われてない!ねぇ。一緒に世界の支配者になろう」

 レッドマジシャンが手を差し出した。僕は思ってしまった。彼女は、間違えたりしないんじゃないかと。しかし、マスターウェザーの言葉を思い出した

「自分の意思と違ってたら、間違ってると言って欲しい」

 だから、手を払った

「間違えてる!人類虐殺なんて」

「私は、地球の未来を託された!どんな方法を使おうと、守らないといけない!」

「犠牲が大きすぎる」

「どんなものにも、犠牲はある!犠牲無しには何も守れない!」

「レッドマジシャン。君は誰より、命を大事にしてたじゃないか?初めて、人を殺めたときも、ずっと懺悔してたろ?」

「私は弱かったの。逆に聞くけど、ずっと私達の後ろにくっついて歩いてたのは誰?自分の意思なんかなかったのは誰?」

「僕は、君を止めるぞ!例え、殺しても。地球の王になって、人類を半分殺すなんて、レッドマジシャンじゃない!」

「まだ、分からないの?それしか、地球の未来はないの!今、手を打たないと手遅れになる。地球の生命全てが全滅する!そんなことはさせない!止めるのなら容赦はしない。『トリックスターの能力』」

 レッドマジシャンが赤い日本刀を取り出した。それを見て、僕も黒い日本刀を構えた

「なぁ。僕らは」

 僕が最後まで言い終わる前に、レッドマジシャンが口を入れた

「友達だろ?家族だろ?」

 僕は驚いてる。自分の言うことを、当てられたから

「そうだ。だから」

「殺し合うのは間違ってる。あなたが言うことは、全て分かる」

「始まったら、退けないぞ。最後には、どちらかが死ぬことに」

「えぇ」

「僕はここでの日常が好きだった。三人でバカやって、高めあって、先輩達を困らせ叱られる。メロディーと喧嘩してるなら、みんなが仲裁する。そんな、愛し愛されの日常が好きだった。だから、今を守りたい」

「その、日常はもう消えた!」

「誰かが生きてる限り終わらない!」

「あなたを殺しても地球を救う!」

「他に方法は無いのか?」

「ない!」

「未来を救うために、今を捨てるのか?」

「今のために、未来を殺すの?」

 ずっと昔から三人一緒だったが、見てたものは全く違った。ビーストソウルは過去を。僕は今を。レッドマジシャンは未来を見つめてたんだ

「人類半分減らすのは、信念か?」

「そう」

「僕にも信念がある。虐殺はさせない!」

「信念と信念がぶつかってしまったのね」

「勝敗を決めるのは、信念だ!自分の信念が、相手の信念より強ければ、負けたりしない!」 

「この勝負。勝った方が正しい」

 僕は、一度もレッドマジシャンに勝ったことがない。ビーストソウルにもなかった。レッドマジシャンとの戦績は、99戦99敗だ

「トリックスター。勝てると思ってるの?」

「あぁ。絶対に僕が正しい!」

「分からず屋。一緒に来てよ!」

「断る!」

 僕は思い出した、ビーストソウルが最後に言ってたことを

「僕らは三人で一つだ」

 そうだよ、ビーストソウル。三人で一つだった。一人でも欠けると、バランスを失う。三人いるから、良かったんだ。僕は、黒い日本刀で斬りかかった。レッドマジシャン、ビーストソウル、ごめん!レッドマジシャン。本当は君の言ってることが、理解はできる。だが、君にはそんな行為をやってほしくない。もう少し、人類を信じて欲しい!人間は手遅れになる前に、自分達で気づけることを
 
「レッドマジシャン!」

 

 僕は、二人を人類の中で最も神に近い存在だと勝手に思ってる。僕はトリックスター。神の考えに反し、抗う者!
しおりを挟む
感想 55

あなたにおすすめの小説

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、魔王軍と戦うはめになった!

蛇崩 通
ファンタジー
 ネットオークションに、異世界転移魔方陣が出品されていた。  三千円で。  二枚入り。  手製のガイドブック『異世界の歩き方』付き。  ガイドブックには、異世界会話集も収録。  出品商品の説明文には、「魔力が充分にあれば、異世界に行けます」とあった。  おもしろそうなので、買ってみた。  使ってみた。  帰れなくなった。日本に。  魔力切れのようだ。  しかたがないので、異世界で魔法の勉強をすることにした。  それなのに……  気がついたら、魔王軍と戦うことに。  はたして、日本に無事戻れるのか?  <第1章の主な内容>  王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。  魔王軍が、王都まで迫ったからだ。  同じクラスは、女生徒ばかり。  毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。  ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。  しかたがない。ぼくが戦うか。  <第2章の主な内容>  救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。  さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。  どう救出する?  <第3章の主な内容>  南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。  そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。  交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。  驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……  <第4章の主な内容>  リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。  明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。  なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。  三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

処理中です...