上 下
66 / 160
第二部 エリミア編

6 フィオル登場

しおりを挟む
 シュリオンにルールを説明し終わった。学校のオールロードは古い型のものだが、初心者達や無免許の者には、何でも良かった。ガルク達三人の他に、人は誰もおらず。使いたい放題だった

「みんな、家に帰ったのかな?」

「上級生達は、移動術訓練で空間移動の免許取ってるから、基地局になる物があれば、すぐ帰れるでしょう」

「まぁ、俺たちは帰らないけどな!」

「シュリオン。始めていいか?」

「いいぞ!」

 三人それぞれのオールロードが、宙に浮き出した

「ライクルスには、興味が無い。能力使うことに興味があるだけだ」

 そう言うと、シュリオンは能力の幻術でガルクとフェーナに元老院の建物が壊れていくのを見せた

「上手いわ。その場に居るみたい」

「シュリオン。さすがだな!」

「一人一人に違う幻術は見せられないが。同じ幻術だったら、複数人にいけるのが最近分かった」

 その後、三人それぞれが、ライクルスの練習をしてる建前のもと、能力の練習をした



 休みが終わり、ある日の対人戦闘訓練で、初めて実戦をやった

「ホログラムの人間の攻撃を避けろ。ホログラムは、動く映像は触れない。固定映像しか触れないから安心しろ。お前らが、殴られることはない。お前らも殴れないが。まぁ、殴りかかっても貫通するだけなんでやめておけ。三分間、ホログラムの攻撃から、逃げるなり、避けるなりしろ」

 先生がそう言ったら、筋肉量が多い男の映像が出た

「この男は、本物の犯罪者。フェルムスが捕まえた男だ。そいつのデータからホログラムを作った。誰からやるか?そうだな~」

 先生が生徒達を見渡した。ガルクとフェーナは目を反らし、シュリオンはやる気満々だった。だが、シュリオンの熱意は伝わらず、違うやつが当てられた

「フィオル。前出ろ」

 細々とした少年が前に恐る恐る出てきた。フィオルは、ガルクとシュリオンと同じ部屋で。フェーナと同じく、一歳下だが、飛び級して今年から同級生だった

「何で僕なんですか?」

「授業始まった時から、先生の目を見て、話聞いてたからだ。やる気があるのかと思った」

 フェーナが、ガルクとシュリオンに囁いてきた

「昔、同じクラスだった時から、ちゃんとしてる子。先生達から、律儀な子と言われてたわ」

「そうなんだ」

「そう言えば、同じ部屋なのに、いつも敬語だな」

「私にも敬語よ。貧乏な家庭だから、上流階級の人達とタメ口で喋るのなんて、おこがましい。って」

 リンドルズ学校は、入試に受かれば身分に関係なく入ることができる。ただ、入試もそれなりに難しいので、英才教育を幼少期にしている裕福な家柄の子ばかりになってしまう
しおりを挟む

処理中です...