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第二部 エリミア編

73 追悼

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 ドードルがアクトを食料扱いした少し後に、アイリンが帰ってきた

「ガルク。拘束を解こう」

「でしょうね。何も悪くないのに、不当拘束だ!」

「悪かったって!だけど、お前は私が監視するからな」

「監視するからな。じゃなくて、いつもしてんじゃん!あと、悪く思うなら、長期休暇を頂戴?」

「調子に乗るなよ」

 アイリンが来たことにより、フェルムス隊員達は散り散りに帰っていった

「隊長。質問いいですか?」

「長期休暇はやらんぞ」

「いえ、書き換えた記憶が戻ることはありますか?」

 アイリンは固まった。そして、ゆっくりとガルクを見た

「なんて言った?」

「記憶が戻ること・・・」

「・・・」

「隊長?」

「フェーナか?」

「えぇ」

「・・・記憶が戻ることは、恐らくない。私が知ってる限りでは、初期の記憶書き換え装置だけだぞ。能力による書き換えなら、戻る可能性もあるが・・・。フェーナは、装置でやったはずだぞ!?何かの間違いのはずだ!」

 ガルクは、その言葉を聞き考えた。聞き間違いか?・・・たまたまフェーナが事故を事件と言っただけかもしれない・・・

「そうですよね」

「ガルク。お前、最近おかしいぞ」

「え?」

「能力のこと。シュリオンのこと。そして、今度はフェーナだ!どうした?」

「別に・・・」

 ガルクはそう言い残し出ていった。それをアイリンは心配そうに見ていた


  
 そらからの日々は、特に何も起こることなく数年過ぎたが、皆が悲しむ事が起こってしまった

「まさか、彼が・・・」

「いつも頑張って働いてくれた・・・」

「私達が働かせ過ぎたのかもしれませんね・・・」

「あいつらはどうだ?」

「感情が分かりません。受け入れられないのでしょうね・・・」

「今後の業務は誰が?」

「後継者は一人しかいないでしょ」

「だが、あいつ以外にもいるだろ?彼が育てた次世代は優秀な奴ばかりだ。誰が、継いでも問題はないはずだ!」

「それは、全員思ってますよ。彼も、誰に任せてもいいように、頑張ったのだから・・・」

「だが、あいつは遺伝子を受け継いでいる」

「そうですね・・・。これは、全員の意見が割れる内容ですね」

「今すべき話では無いでしょう。彼に敬意を払い、追悼してあげましょう・・・」

 彼の死は、エリミアの誰もが悲しんだ。誰にも真似できない偉業を達成した彼は、皆から慕われ、愛されていた。彼に救われた者は計り知れない。彼亡き後はエリミアに安泰をもたらすのは容易ではないはずだ。なぜなら、誰よりも才能があった唯一王ガルーダが死去したのだから
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