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そのまま建物を出て太陽の下に出ると、リルトの手が離れたので伸びをする。
そっとリルトが頬に触れて顔を覗き込んできた。
「スッキリした」
ニッと悪戯っぽく笑うと、リルトもほっとしたように笑い返した。
「ならよかった」
そのまま手を引かれ歩き出す。
当たり前のように手を繋がれたのが嬉しかった。
「母さんどうなるんだろ」
「殺意があったのは周囲が見てたからね。俺も怪我したしトニエルが強く厳罰を主張して動いてるみたいだ」
「ああ、リル強火担当」
仕事は大丈夫なのかと心配になる。
「後ろをついて回ってた頃があんなだった」
「そうなんだ」
きっと数年間の穴を埋めたいのだろう。
微笑ましくて笑うと、リルトが立ち止まった。
つられて足を止めてリルトを見る。
光に当たって金髪がキラキラといつも以上に豪奢に見せていた。
貧血も治って顔色もいいので安心する。
「……いいのか?」
爽子のことだろう。
減刑だとか示談だとか、伊織が願えば叶えてくれるつもりなのだろうとわかる。
だから伊織はいいんだよと笑った。
「血がつながってるだけの関係だよ。家族でも何でもなかった。俺、ずっと一人だったから特に何も感じないよ」
へらりと笑うと、そっと抱き寄せられた。
背中をぽんぽんと二度叩かれる。
「もう一人じゃない」
「……うん」
嬉しい言葉に、自然と口元が緩んだ。
とろりと笑った伊織の額にキスをしたリルトが、少しだけ身をかがめて目線を合わせてくる。
「伊織、結婚してくれないか?俺も親とは縁を切ってる。弟はいるけど、家族になるなら伊織がいい。伊織の家族になりたい」
そっと左手の甲へと柔らかくキスをされた。
それだけで胸の奥が甘くざわめく。
思えばはじめて会った時も、妙に胸がざわめいた。
「いいの?」
「伊織がいい」
まさかプロポーズされるとは予想していなかった。
唯一の血縁とも家族になれなかったのに、新しく出来るなんて思ってもみなかった。
「……うん、なりたい。家族に」
頷けば、これ以上の幸せはないというように、リルトが満面の笑顔を浮かべた。
今度は薬指に唇が落とされる。
「指輪買いにいかなくちゃだな」
「うん!」
笑うリルトに伊織も嬉しくて大きく頷いた。
もう一度リルトに抱きしめられて、ふわりと甘い匂いに気づく。
甘すぎず、優しく包むような匂いだった。
すんすんとリルトの胸元で鼻を動かすと、リルトが不思議そうに小首を傾げた。
「どうした?」
「なんか急にすごくいい匂いがして……優しいメープルシロップみたいな。リルからする」
「伊織それって!ははっ」
急にガバッと抱き上げられた。
いきなりのことにひょえっと伊織の声から情けない悲鳴が上がる。
「うわ!何いきなり、てゆうか右腕!傷開く!」
縫ったばかりだ。
慌ててバシバシと下ろすように肩を叩いてもリルトはまったく動かない
それどころか抱き上げたまま、ぎゅうと腕の力を込めた。
伊織には何が何だかわからない。
「俺のフェロモンだよ」
「へ?」
「俺からするなら、伊織に向かって出してるフェロモンだ」
「これが?」
確認するようにすんすんと首元の匂いを嗅ぐと、髪が当たってくすぐったいのかリルトの肩が震えた。
いつまでも嗅いでいたい優しい甘さは、確かに伊織を甘やかすリルトをイメージ出来た。
「すごくいい匂い」
「よかった、嬉しいな。体がどんどん回復してる証拠だ。次の発情期はフェロモンを感じれるなら、少しは安心して迎えられるかもしれない」
「またあんな大変じゃないといいな」
思わず遠い目をしてしまった。
げんなりするくらい大変だったので、正直もう嫌だとすら思う。
くくっと喉奥で笑ったリルトが鼻先をすり合わせてきた。
キスが出来そうなくらい近づいた目を見返せば、吐息が触れそうな距離で唇が開いた。
「次の発情期で伊織を抱いていい?噛みたい」
熱を孕んだ眼差し。
その熱さに伊織は頬を染めた。
目はそらさないまま、それでも。
「駄目」
「伊織……」
しゅんとヘタれた耳の幻覚。
可愛い。
それを甘やかしたくなるのは最初の頃からそうだったなと懐かしく思った。
「発情期じゃなくても番になれるんだろ」
待つ必要はないんだと言外に伝えれば、リルトが目を丸くした。
紺碧色が大きく見開かれる。
「それって」
こくり。
言葉にされるのは恥ずかしくて頷けば、熱烈なキスが送られた。
そっとリルトが頬に触れて顔を覗き込んできた。
「スッキリした」
ニッと悪戯っぽく笑うと、リルトもほっとしたように笑い返した。
「ならよかった」
そのまま手を引かれ歩き出す。
当たり前のように手を繋がれたのが嬉しかった。
「母さんどうなるんだろ」
「殺意があったのは周囲が見てたからね。俺も怪我したしトニエルが強く厳罰を主張して動いてるみたいだ」
「ああ、リル強火担当」
仕事は大丈夫なのかと心配になる。
「後ろをついて回ってた頃があんなだった」
「そうなんだ」
きっと数年間の穴を埋めたいのだろう。
微笑ましくて笑うと、リルトが立ち止まった。
つられて足を止めてリルトを見る。
光に当たって金髪がキラキラといつも以上に豪奢に見せていた。
貧血も治って顔色もいいので安心する。
「……いいのか?」
爽子のことだろう。
減刑だとか示談だとか、伊織が願えば叶えてくれるつもりなのだろうとわかる。
だから伊織はいいんだよと笑った。
「血がつながってるだけの関係だよ。家族でも何でもなかった。俺、ずっと一人だったから特に何も感じないよ」
へらりと笑うと、そっと抱き寄せられた。
背中をぽんぽんと二度叩かれる。
「もう一人じゃない」
「……うん」
嬉しい言葉に、自然と口元が緩んだ。
とろりと笑った伊織の額にキスをしたリルトが、少しだけ身をかがめて目線を合わせてくる。
「伊織、結婚してくれないか?俺も親とは縁を切ってる。弟はいるけど、家族になるなら伊織がいい。伊織の家族になりたい」
そっと左手の甲へと柔らかくキスをされた。
それだけで胸の奥が甘くざわめく。
思えばはじめて会った時も、妙に胸がざわめいた。
「いいの?」
「伊織がいい」
まさかプロポーズされるとは予想していなかった。
唯一の血縁とも家族になれなかったのに、新しく出来るなんて思ってもみなかった。
「……うん、なりたい。家族に」
頷けば、これ以上の幸せはないというように、リルトが満面の笑顔を浮かべた。
今度は薬指に唇が落とされる。
「指輪買いにいかなくちゃだな」
「うん!」
笑うリルトに伊織も嬉しくて大きく頷いた。
もう一度リルトに抱きしめられて、ふわりと甘い匂いに気づく。
甘すぎず、優しく包むような匂いだった。
すんすんとリルトの胸元で鼻を動かすと、リルトが不思議そうに小首を傾げた。
「どうした?」
「なんか急にすごくいい匂いがして……優しいメープルシロップみたいな。リルからする」
「伊織それって!ははっ」
急にガバッと抱き上げられた。
いきなりのことにひょえっと伊織の声から情けない悲鳴が上がる。
「うわ!何いきなり、てゆうか右腕!傷開く!」
縫ったばかりだ。
慌ててバシバシと下ろすように肩を叩いてもリルトはまったく動かない
それどころか抱き上げたまま、ぎゅうと腕の力を込めた。
伊織には何が何だかわからない。
「俺のフェロモンだよ」
「へ?」
「俺からするなら、伊織に向かって出してるフェロモンだ」
「これが?」
確認するようにすんすんと首元の匂いを嗅ぐと、髪が当たってくすぐったいのかリルトの肩が震えた。
いつまでも嗅いでいたい優しい甘さは、確かに伊織を甘やかすリルトをイメージ出来た。
「すごくいい匂い」
「よかった、嬉しいな。体がどんどん回復してる証拠だ。次の発情期はフェロモンを感じれるなら、少しは安心して迎えられるかもしれない」
「またあんな大変じゃないといいな」
思わず遠い目をしてしまった。
げんなりするくらい大変だったので、正直もう嫌だとすら思う。
くくっと喉奥で笑ったリルトが鼻先をすり合わせてきた。
キスが出来そうなくらい近づいた目を見返せば、吐息が触れそうな距離で唇が開いた。
「次の発情期で伊織を抱いていい?噛みたい」
熱を孕んだ眼差し。
その熱さに伊織は頬を染めた。
目はそらさないまま、それでも。
「駄目」
「伊織……」
しゅんとヘタれた耳の幻覚。
可愛い。
それを甘やかしたくなるのは最初の頃からそうだったなと懐かしく思った。
「発情期じゃなくても番になれるんだろ」
待つ必要はないんだと言外に伝えれば、リルトが目を丸くした。
紺碧色が大きく見開かれる。
「それって」
こくり。
言葉にされるのは恥ずかしくて頷けば、熱烈なキスが送られた。
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