アスカニア大陸戦記 皇子二人（Ⅰ） 人間と亜人の仲間たち

第四章 トラキア連邦

第六十二話 結ばれた二人

－－少し時間を戻した夕刻。　バレンシュテット帝国軍　飛行空母　飛行甲板

　ユニコーン小隊のメンバーは、強行偵察任務を終えて空母に戻ると、自由時間を過ごしていた。

　アレクとルイーゼは、連れ立って飛行甲板に出る。

　飛行甲板の片隅に二人きりで佇む。

　二人の目線の先には、斜陽に照らし出された風景が映る。

　ルイーゼが口を開く。

「綺麗・・・」

　アレクが同意する。

「・・・そうだね」

　ルイーゼは微笑みながらアレクを労う。

「アレク。今日はお疲れ様。小隊長としても、パイロットとしても、疲れたでしょ？」

　アレクは苦笑いしながら答える。

「まぁね。正直、疲れたけど、やりがいはあったよ。仲間を救えた」

　ルイーゼはアレクを見詰める。

「頑張ったよね、私達。・・・アレク、カッコ良かった」

「ありがとう。ルイーゼ」

　二人は再び風景に目線を移す。

　夕刻の空は、神秘的な色彩と光芒で飾られ、地上は空と大地が接しているように見える西の地平線に沈んでいく夕陽と、斜陽に照らし出された草原が煌めいていた。

　アレクが口を開く。

「冷えてきたね。部屋に戻ろう」

「・・・うん」

　二人は部屋に戻る。




－－夜。　バレンシュテット帝国軍　飛行空母内　居住区画

　入浴を終えたアレクが下着姿で自分の部屋のベッドで横になっていると、いつも通り全裸のルイーゼが傍らに寄り添って来る。

　アレクは傍らに来たルイーゼをベッドに押し倒すと、キスする。

　普段なら、ベッドに横になっているアレクの上にルイーゼが乗って口淫を始めるが、今夜のアレクはいつもと違っていた。

　ルイーゼが驚く。

「んんっ。どうしたの・・・？」

「ルイーゼ」

　アレクは、ルイーゼの名前を呼ぶと、きつく抱き締める。

　いままでアレクは『自分がルイーゼを抱くと、ルイーゼが自分の子供を妊娠するかも知れない』と考え、その事がアレクが一線を越える事を踏み留めていた。

　学生の身分で子供を作るなど、母ナナイは許してくれるだろうが、父ラインハルトは激怒するだろう。

　ラインハルトによって勘当され、皇宮から追い出されるかもしれなかった。

　アレクは、ルイーゼがルドルフを介抱するのを見て、一線を越えることを決心する。

『ルイーゼを誰にも渡さない。父ラインハルトによって勘当されても構わない。その時は、ルイーゼを連れて、母ナナイの実家のルードシュタットにでも行こう』と考えていた。

　ルイーゼとしては、あくまで心に決めた初恋の想い人はアレクであり、ルドルフにはその不幸な生い立ちから同情する気持ちしかなかった。

　ルイーゼは、自分の名前を呼び、きつく抱き締めてくるアレクが、自分を求めている事を察する。

「アレク。私はずっと貴方の傍にいるわ。これからもずっと・・・」

　ルイーゼは、アレクの頬に触れると、額にキスする。

　アレクの母ナナイがアレクやルイーゼにしたのと同じように。

　アレクも両手でルイーゼの頬に触れると、ねっとりと深くキスした。

　アレクは、キスを続けながら、ルイーゼの胸を揉みしだく。

　胸を揉むアレクの指先が乳首に触れると、ルイーゼは敏感に反応する。

「・・・んっ、・・・んんっ」

　アレクは、自分の愛撫にピクン、ピクンと敏感に反応するルイーゼの首筋にキスすると、両手で胸を弄り口で吸う。

　アレクの舌先が乳首を捉え、舐め回すように舌先で転がすと、ルイーゼは敏感に反応してか細く喘ぎ、直ぐに乳首は勃って固くなる。

「ああっ・・・あっ・・・」

　アレクは両手で脇から腰までルイーゼの体の線に沿って撫でると、両手でルイーゼの股を開く。

　アレクは、ルイーゼの秘所に対してまだ前戯も何もしていなかったが、顕になったルイーゼの秘所は、既に内側から開くようにめくれており、綺麗なパールピンクの粘膜が溢れる体液で室内の灯りを反射して光っていた。

　ルイーゼは、軽く握った右手の甲を口元に当て、恥じらいから顔は背けていたが、横目で自分の秘所を見るアレクの反応を伺っていた。

　アレクは、ルイーゼの秘所の、手入れされて三角形に形が整えられた恥毛を指で撫で分けながら口を開く。

「ルイーゼ。・・・綺麗だよ」　

「恥ずかしい・・・」
　
　アレクは、ルイーゼの秘所全体を口に含むように吸うと、膣口、尿道口、陰核と舌先で舐め上げる。

　秘所からこみ上げる快感にルイーゼは、喘ぎ、よがり始める。

「あっ・・・、ああああっ」

　アレクが繰り返すと、ルイーゼの秘所から溢れる体液は白濁したものになり、充血して膨らんだ秘所はパックリと開き、綺麗なパールピンクの粘膜はヒクヒクと痙攣してアレクを誘っていた。

「アレク。私も・・・」

　そう言うと、ルイーゼは身体を起こしてアレクの上に乗りパンツを脱がせると、膨らんだアレクの男性器が弾け出る。

　アレクのへそまでそそり勃つ男性器は、エラが張って固くなり、赤紫色に充血して心臓の鼓動に合わせて脈を打っていた。

「・・・凄い。こんなに大きくなって脈打ってる・・・」

　ルイーゼは、アレクの男性器を両手で握ると口で咥え、口淫を始める。

　アレクは、両腕をルイーゼの腰に回すと自分の顔を跨がせ、顕になったルイーゼの秘所全体を口で吸い舌先で弄る。

　口で秘所を吸うアレクの息が掛かると、ルイーゼの肛門がヒクヒクと動く。

（・・・ああ。アレクに全て見られてる。息が当たってる・・・。恥ずかしい）　

　アレクの前戯が、ルイーゼの羞恥心と被虐心を刺激する。

　アレクの舌先がルイーゼの陰核の皮を剥き舌先で弾くように転がすと、身体を電撃のように走る快感で悶絶したルイーゼはアレクの男性器を口に咥えていられなくなる。

「あああああっ！　はぁあああっ！！」

　ルイーゼは、声も絶え絶えに喘ぐとアレクの太腿の上で無意識に手を握り爪先で引っ掻く。

　やがて、ルイーゼは性的絶頂に達し、カクカクっと腰を前後させるように大きく痙攣させると、クタッと動かなくなった。

　ルイーゼが達した事を見たアレクは、自分が寝ていた場所にルイーゼを寝かせるとルイーゼの両足を開き、秘所に自分の男性器を押し当てる。

　ルイーゼは、顔だけでなく耳や胸元まで紅潮し、荒い息遣いで汗ばんでいた。

　アレクが口を開く。

「良い？　挿入するいれるよ」

「・・・うん」

　アレクのエラの張った男性器がルイーゼの秘所を押し広げ、エラで内側を捲り上げながら膣内なかに入っていく。

　破瓜の痛みにルイーゼの美しい顔が苦痛に歪む。

「がぅ・・・。わっ・・・。はあああっ」

　ルイーゼの温かく柔らかい肉壺がアレクの男性器を咥えこんでいく感触に、アレクは挿入しただけで射精しそうになり堪える。

　アレクは、男性器をルイーゼの秘所に根元まで挿入すると、覆い被さるようにルイーゼを抱き、ねっとりと深くキスする。

　秘所に男性器が根元までを挿入されると、ルイーゼの下半身が小刻みに痙攣し始める。

　アレクが尋ねる。

「痛くない？」

「平気」

「動くよ」

「うん」

　アレクは、ルイーゼの両肩を掴むように抱くと、ゆっくりと動き始める。

「はあっ・・・ああっ・・・」

　押し寄せる快感にルイーゼは、か細い声で喘ぎ、両腕をアレクの首に回して縋り付く。

　次第にアレクの動きは激しくなり、息遣いも荒くなる。

　ルイーゼの秘所から白濁した体液が溢れ出し、アレクの腰の動きに合わせて淫靡な音を立てると、肛門を伝ってシーツまで滴り落ちる。

　半時ほどでアレクはルイーゼの膣内に子種を放つ。

「ああああっ！！」

　勢いよく胎内に脈々と注がれるアレクの子種が子宮の入り口に当たる快感に、ルイーゼも性的絶頂に達する。

　ルイーゼは、自分の胎内に想い人の子種が溜まっていく感覚に至福を感じ、何度もアレクの名を呼びながらアレクに抱き付く。

「アレク。・・・大好き。愛してる。私の皇子様」

「ルイーゼ」

　二人はねっとりと舌を絡め、深くキスをすると眠りに就いた。

　互いに初恋の幼馴染の二人は、ようやく結ばれた。



－－深夜。　トラキア連邦

　トラキア連邦軍第五歩兵部隊は、首都ツァンダレイと第二の都市カルロフカ、そして国境へと繋がる街道の交差点に陣地を設営して駐屯していた。

　第五歩兵部隊の隊長を務めるニーガンは初老の男で、そこそこの実戦経験と実績があることから、この地点の防衛を任されていた。

　ニーガンは、『トラキア連邦とバレンシュテット帝国が戦争を始めた』と聞いた時には驚いたが、世界最強としてしられる帝国の有名な帝国騎士ライヒスリッター達を相手にしても、戦える自信はあった。

（帝国は、いつ攻めてくるのだろうか）

　トラキア連邦軍陣地を見回るニーガンの頭の中は、その事で一杯であった。　

　ニーガンが見回りで陣地の中を歩いていると、ちょっと前まで周囲を照らしていた月明かりが陰った事に気が付く。

　突然、周囲が真っ暗になったためだ。

　ニーガンが夜空を見上げると、夜の闇の空を巨大なシャンデリアのように灯火を瞬かせながら、数多くの巨大な飛行物体が夜の空を飛んでいた。

（・・・なんだアレは！？）　

　ニーガンは、望遠鏡で飛行物体を見る。

　陣形を組んで飛行する巨大な飛行空母と飛行戦艦、大型輸送飛空艇の飛行艦隊。そして、それらが掲げているのは、バレンシュテット帝国旗であった。

「帝国軍！？　そんな馬鹿な？？」

　ニーガンが守備している地点は、帝国との国境から四百キロは離れている。

　ニーガンが夜空を見上げたまま叫ぶと、周囲の兵士達もニーガンと同じ夜空を見上げる。

　バレンシュテット帝国の飛行艦隊群は、ニーガンの頭上を通り過ぎて、首都ツァンダレイを目指して空を一直線に進んでいた。









－－翌朝　トラキア連邦　首都　ツァンダレイ　議長府

　フェリシアが執務室に居ると、ドアをノックする音がする。

「どうぞ」

「失礼します」

　フェリシアの許可を得た職員が部屋に入って来る。

「議長、一大事です！　帝国軍が首都に迫っています！！」

　職員の言葉にフェリシアは驚愕する。

「まさか！？　この街は、・・・首都ツァンダレイは、帝国との国境から四百五十キロ以上、離れているのですよ？？」

　職員も信じられないといった表情で語る。

「しかし、『首都に迫る帝国軍の侵攻を食い止める事は困難』という連邦軍からの報告です」

　フェリシアは茫然として呟く。

「そんな・・・。たった一日で首都まで攻め込まれるなんて・・・」

　帝国軍の侵攻速度は、フェリシアの想像を遥かに超える速さであった。

　フェリシアの命令でトラキア連邦軍は、帝国軍を警戒して街道上の要所や拠点の防備を固め、街道を封鎖していた。

　しかし、国境から首都ツァンダレイを目指して、飛行艦隊群で空を一直線に進軍する帝国軍には、全く効果が無かった。