想っていたのは私だけでした

涙乃(るの)

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「詳しくは終わってから話す。ある女性から伝言があり調べていた…cafeだったか店を今は営んでいるのだな…とにかく今夜だ。変装はするが、念の為名前も変えよう。スミレ希望は?」

早口でまくしたてられて脳内で情報処理が追いつかない。
急かされて疑問を尋ねる余裕もなく
あだ名のことしか考える余裕がなかった

「あだ名?す、スーと呼ばれてました」

「なるほど、スミレのスーか単純だか本名を知られるよりいい。では今後スミレのことはスーと」

「誰に?」

「は?」
「え?」

あだ名の話を終えようとした2人は同時に声を出す

「誰に呼ばれていたのか?誰にも呼ばれてない名前にしましょう。デー」

「は?アメ、お前は偽名言うのが難しいだろう。スーがいいと思う」

アメはスミレの顔を覗き込む

「あ、あ、あの?アメさん」

間近に真剣な顔で見つめてくるアメに戸惑うスミレ

近い近いっ近いっ
デーさんといいアメさんといい絶対に都会の方達だわ
顔面偏差値おそるべし


「クロ」

「は?」
「え?」

またしても同時に声を発する2人

「アメ?どういうことかな?」
「いえ、彼女のきらめく瞳の表現です。クロだと私でも素直に呼べるかと」

ぼっと赤面するスミレ

「んん?アメ、少しおかしくなったのかな~。自分で何を言っているか自覚あるの?きらめく瞳ってそんなこと言われると…ねぇ勘違いさせても…」

どこか憐れみともとれる視線を向けられるスミレ

「だ、大丈夫です…深い意味はないと…分かって…ますし…お、お世辞だと…」

「私はお世辞は言わない」

「はぁ~アメ、お前は一旦彼女から離れろ。自分の気持ちを自覚した後にそういう言葉は言うように」

(アメさんってものすごく、女性に勘違いさせる人ですか?)

(いいや、いつもストレートに言い過ぎて女性を怒らせてしまうのだか…アメがすまない、その…恐らくアメはスミレのことを…私の口からこれ以上は)

「2人で何をこそこそと言ってるのです?とにかくそれでいいですね?ではとりあえず仮眠をとりましょう」

それがいいと3人は夜まで仮眠の為、昨日と同じ場所で休むことにした




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