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第ニ部
診察
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「話せる範囲で構いません。お願いします!ルーカスは、ルーカスは、どこが悪いのですか?
何の病気なのですか?
治りますよね? 大丈夫ですよね!お願いします! 助けてください先生!」
感情が制御出来ずに、先生にひたすら質問を重ねる。少しでも何か言葉を発していないと、不安で押し潰されそうになる。
このままだとパニックに陥るかもしれない。
ううん、もう、既にパニックなのかもしれない。
苦しい……。
あれ……?私……息が……
どうしたらいいの……呼吸ができない
「はっ、はっ……せん……せ……はっ……」
もう……だめ……
いつの間にか胸を押さえながら、膝から崩れ落ちるように床に座り込んでいた。
「落ち着いてください。さぁ、ゆっくり深呼吸をして、そう、ゆっくり、息を吸って━━、吐いて━━。そうその調子です。この袋を手で持ってください。この袋の中に、先程と同じように深呼吸を。
さぁ、落ち着いて━━」
パニックになり過呼吸に陥っていたらしい。
先生は優しく背中をさすりながら、落ち着くまで見守ってくれていた。
「不安な気持ちはわかりますが、こんな時だからこそ、あなたがしっかりしないと。
ゆっくり深呼吸をされてください。
極度の不安からくる心理的ストレスの影響でしょう。少し休みますか? まずはこちらに座られてください」
先生は床に座り込んでいた私の手を取り、ソファーへと誘導してくれた。
「いいえ、大丈夫です。動揺してしまって……ありがとうございます。もう、大丈夫です。すみません、先生、ルーカスのこと教えてください、お願いします。」
「━━結論からいいますと、彼は、病気ではありません。彼は━━。」
「そんなっ!あんなに苦しんでいるんですよ!病気じゃないなんてありえないでしょう。どうしてルーカスは倒れたんですか!調べてください!お願いします!先生!」
先生の言葉を聞き終える前に遮って、叫んでいた。病気じゃないって、どういうことなの?
「どうか、落ち着いてください。まずは、私の説明を聞いてください。
確かに、苦しいでしょう。その苦しみの原因は、病気ではありませんが……。
詳しいことは、今はこれ以上は話せません。
ただ、彼には一刻も早い治療が必要です。こちらの設備では難しいので、紹介状を書きます。すぐに向かわれた方がいいでしょう。
それと、治安隊の同行をお願いしてあります。」
「治安隊?」
「驚かれましたかな?少し気になることがありますので……。
事件性の疑いがある、とだけお話ししましょう。
やましいことがなければ、何も恐れることはないでしょう?
それに治安隊に先導してもらえれば、速く到着することもできます。
それだけ緊急を要する状態です。
あなたの心配している様子が演技ではないと信じて、お話したのです。どうか、裏切らないでくださいね」
事件性? どういうこと……?
今の私の立場では、これ以上の説明を聞くことができない。悔しいけれど、
今はそんなことよりも、ルーカスを助けたい。
ここの設備では無理というのならば、とにかく治療してくれる所へ連れて行きたい。
治安隊の方が到着するまで、ルーカスの傍に寄り添っていた。
けれど、まるで監視するようにスタッフの方が私を見つめていた。
「ルーカス……」
苦しむルーカスを、ただ見ていることしかできない。自分はなんて無力なんだろう……。
ルーカスの手を握り、早く治りますようにとひたすら祈っていた。
何の病気なのですか?
治りますよね? 大丈夫ですよね!お願いします! 助けてください先生!」
感情が制御出来ずに、先生にひたすら質問を重ねる。少しでも何か言葉を発していないと、不安で押し潰されそうになる。
このままだとパニックに陥るかもしれない。
ううん、もう、既にパニックなのかもしれない。
苦しい……。
あれ……?私……息が……
どうしたらいいの……呼吸ができない
「はっ、はっ……せん……せ……はっ……」
もう……だめ……
いつの間にか胸を押さえながら、膝から崩れ落ちるように床に座り込んでいた。
「落ち着いてください。さぁ、ゆっくり深呼吸をして、そう、ゆっくり、息を吸って━━、吐いて━━。そうその調子です。この袋を手で持ってください。この袋の中に、先程と同じように深呼吸を。
さぁ、落ち着いて━━」
パニックになり過呼吸に陥っていたらしい。
先生は優しく背中をさすりながら、落ち着くまで見守ってくれていた。
「不安な気持ちはわかりますが、こんな時だからこそ、あなたがしっかりしないと。
ゆっくり深呼吸をされてください。
極度の不安からくる心理的ストレスの影響でしょう。少し休みますか? まずはこちらに座られてください」
先生は床に座り込んでいた私の手を取り、ソファーへと誘導してくれた。
「いいえ、大丈夫です。動揺してしまって……ありがとうございます。もう、大丈夫です。すみません、先生、ルーカスのこと教えてください、お願いします。」
「━━結論からいいますと、彼は、病気ではありません。彼は━━。」
「そんなっ!あんなに苦しんでいるんですよ!病気じゃないなんてありえないでしょう。どうしてルーカスは倒れたんですか!調べてください!お願いします!先生!」
先生の言葉を聞き終える前に遮って、叫んでいた。病気じゃないって、どういうことなの?
「どうか、落ち着いてください。まずは、私の説明を聞いてください。
確かに、苦しいでしょう。その苦しみの原因は、病気ではありませんが……。
詳しいことは、今はこれ以上は話せません。
ただ、彼には一刻も早い治療が必要です。こちらの設備では難しいので、紹介状を書きます。すぐに向かわれた方がいいでしょう。
それと、治安隊の同行をお願いしてあります。」
「治安隊?」
「驚かれましたかな?少し気になることがありますので……。
事件性の疑いがある、とだけお話ししましょう。
やましいことがなければ、何も恐れることはないでしょう?
それに治安隊に先導してもらえれば、速く到着することもできます。
それだけ緊急を要する状態です。
あなたの心配している様子が演技ではないと信じて、お話したのです。どうか、裏切らないでくださいね」
事件性? どういうこと……?
今の私の立場では、これ以上の説明を聞くことができない。悔しいけれど、
今はそんなことよりも、ルーカスを助けたい。
ここの設備では無理というのならば、とにかく治療してくれる所へ連れて行きたい。
治安隊の方が到着するまで、ルーカスの傍に寄り添っていた。
けれど、まるで監視するようにスタッフの方が私を見つめていた。
「ルーカス……」
苦しむルーカスを、ただ見ていることしかできない。自分はなんて無力なんだろう……。
ルーカスの手を握り、早く治りますようにとひたすら祈っていた。
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