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ステージ1 ルドベキア
第6話 女神襲撃
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僕、瓜生天汰と姉のシュウはリチア様の命令でパーティーを作ることになった。そしてルースの酒場でジュマと名乗る男を誘うことになったのだが……。
「お前らとパーティー組むなら、報酬は7割くらい貰えないと無理だね。だってそんくらいなきゃ、オレにメリットねえし」
「いや、でも……う」
「良いわけないだろ! いくら何でも取りすぎだ! それにさっき言った事取り消せ!」
こんなにも怒りを露わにしてしまった自分。何故こうなったのか……少し振り返ってみよう。
* * *
「えっと……ジュマさん、ですよね?」
「……何か用か?」
「実は、私達とパーティー、組んでほしいんですが……」
姉さんが他人に話しかけているのを久しぶりに僕は見た。ゲームの中だってのに声が震えているのがよく分かる。それに対して男は、毅然とした態度を取り続けて黙って僕達の顔を交互に見比べては、ようやく一言喋った。
「で、見返りはあるの? オレがわざわざ作り物がいるパーティーに入らなきゃいけねえ理由はなんなの?」
「作り……物?」
「それによ、お前みたいなガキとも組みたくねえよ。足手まといになるだろうが」
「あの! 弟の悪口は辞めてください……それに、誰を指しているかは分かりませんが、皮肉を言わないでほしいです」
また珍しく、シュウは怒りを堪えるように右拳を握り締めている。しかしそれに男は気づいていないのか、ただ前髪を弄り遠くを見つめながら言葉を続けた。
「あんた、働いたことないだろ。契約には対価と報酬が必要だ。別に組みたくないわけではないさ。それ相応の報酬さえあればな」
「姉ちゃん、一旦引こう。この人は僕らを馬鹿にしてるだけだ。組んでもきっとうまく行かないよ」
姉ちゃんは現在無職、ニート煽りは刺さる。
* * *
「……もういいや。やっぱり組むメリットが浮かばねえし無かったことにしてくれ。これ以上はルースさんを怒らせることになりそうだ」
横目で背後をチラリと見ると、しっかりと拳を作って作り笑いのルースさんと目が合った。
うん。ここまでにしておこう。何もここまでこの見ず知らずの男に執着する必要は無いのだ。次を探そう、次を。
「あ」
そうして眼を離した隙に男ジュマは消え去っていた。
「だ、大丈夫ですか……天汰くん、シュウさん。そんなに落ち込まないでください……2人は悪くないですから」
幼いエルフの彼女は、僕達を抱き締める。彼女の掌の暖かみは、学ラン越しでも伝わってくる。
「ありがとう、ゼルちゃん。僕等は大丈夫だ……。だよね、姉ちゃん」
「あ、うん。私は全然気にしてないから大丈夫だよ。ほらっ、次の人を探そう! その人に組んでもらおうね!」
「あのー……ごめんなさいね、シュウちゃん。ちょっと、出てってくれる?」
誰がどう聞いても怒りを堪え切れていない声が僕達に語りかける。周囲に人は誰も居らず、カウンターの近くに怯える小動物のように十何人も固まっていた。
その後、僕達はルースさんにしっかりと叱られ、追い出されてしまった。どうやらルースの酒場はルドベキアの城下町にあるようだ。
「どうするんだシュウ。俺達もパーティー組んでくれる人を探そうか?」
「いや……大丈夫。初めからこれしか無かったんだ。ねぇ、どこかに隠れているんでしょう? リチア」
「え?」
まさか、あのお姫様がパーティー組ませようとしたのに? それにキョロキョロと辺りを見渡してみたが、そんな姿は一切見えないぞ?
「……よく気付いたな。こんな庶民の格好でも見抜くとは……流石だな」
「え、ええっ……?」
背後を……取られていた……。
最初に見かけたドレスではなく、革で出来た不思議なフードを被り至って普通の服装をしているリチア様が堂々と立っていた。ただ、その態度のデカさを見れば、流石の僕でもすぐに気が付くだろうな。
「もしかして! 私達と一緒に戦いたかったの? そうならそうって言えば良かったのに~へへ」
「なんだそれ……らしくないぞ、シュウ。君にああ言ったのは二つ理由がある。一つは私以外に話す仲間を作ってもらいたかったからなのだが……」
「優しいんだね、リチア」
「いや余りにもしつこいもんで」
「あー……うん、もう一個の理由は?」
姉ちゃん、そういう所あるからな。シュウに凹まれても話が進まないので僕が聞く。
「もう一つの理由は、パーティーを組んでいないと参加できない作戦があるからだ、既に分かっていると思うが」
「……!」
まさかといった表情でシュウはリチア様の目を見つめる。これから何があると言うんだ?
「……ああ、女神襲撃だ。今回は史上最大の規模になると予測されている。そこで、ソロ最強級のシュウに協力してもらいたくてな」
そこで、彼女の顔が青ざめる。今までのわざとらしい態度はこの一つの事実から逃避するためだと分かるくらい。
「それって、いつぐらいに起きるとか。分かりますか? リチア様」
「そうだな……たしか、3日後だ」
「……は? 3日後?」
「お前らとパーティー組むなら、報酬は7割くらい貰えないと無理だね。だってそんくらいなきゃ、オレにメリットねえし」
「いや、でも……う」
「良いわけないだろ! いくら何でも取りすぎだ! それにさっき言った事取り消せ!」
こんなにも怒りを露わにしてしまった自分。何故こうなったのか……少し振り返ってみよう。
* * *
「えっと……ジュマさん、ですよね?」
「……何か用か?」
「実は、私達とパーティー、組んでほしいんですが……」
姉さんが他人に話しかけているのを久しぶりに僕は見た。ゲームの中だってのに声が震えているのがよく分かる。それに対して男は、毅然とした態度を取り続けて黙って僕達の顔を交互に見比べては、ようやく一言喋った。
「で、見返りはあるの? オレがわざわざ作り物がいるパーティーに入らなきゃいけねえ理由はなんなの?」
「作り……物?」
「それによ、お前みたいなガキとも組みたくねえよ。足手まといになるだろうが」
「あの! 弟の悪口は辞めてください……それに、誰を指しているかは分かりませんが、皮肉を言わないでほしいです」
また珍しく、シュウは怒りを堪えるように右拳を握り締めている。しかしそれに男は気づいていないのか、ただ前髪を弄り遠くを見つめながら言葉を続けた。
「あんた、働いたことないだろ。契約には対価と報酬が必要だ。別に組みたくないわけではないさ。それ相応の報酬さえあればな」
「姉ちゃん、一旦引こう。この人は僕らを馬鹿にしてるだけだ。組んでもきっとうまく行かないよ」
姉ちゃんは現在無職、ニート煽りは刺さる。
* * *
「……もういいや。やっぱり組むメリットが浮かばねえし無かったことにしてくれ。これ以上はルースさんを怒らせることになりそうだ」
横目で背後をチラリと見ると、しっかりと拳を作って作り笑いのルースさんと目が合った。
うん。ここまでにしておこう。何もここまでこの見ず知らずの男に執着する必要は無いのだ。次を探そう、次を。
「あ」
そうして眼を離した隙に男ジュマは消え去っていた。
「だ、大丈夫ですか……天汰くん、シュウさん。そんなに落ち込まないでください……2人は悪くないですから」
幼いエルフの彼女は、僕達を抱き締める。彼女の掌の暖かみは、学ラン越しでも伝わってくる。
「ありがとう、ゼルちゃん。僕等は大丈夫だ……。だよね、姉ちゃん」
「あ、うん。私は全然気にしてないから大丈夫だよ。ほらっ、次の人を探そう! その人に組んでもらおうね!」
「あのー……ごめんなさいね、シュウちゃん。ちょっと、出てってくれる?」
誰がどう聞いても怒りを堪え切れていない声が僕達に語りかける。周囲に人は誰も居らず、カウンターの近くに怯える小動物のように十何人も固まっていた。
その後、僕達はルースさんにしっかりと叱られ、追い出されてしまった。どうやらルースの酒場はルドベキアの城下町にあるようだ。
「どうするんだシュウ。俺達もパーティー組んでくれる人を探そうか?」
「いや……大丈夫。初めからこれしか無かったんだ。ねぇ、どこかに隠れているんでしょう? リチア」
「え?」
まさか、あのお姫様がパーティー組ませようとしたのに? それにキョロキョロと辺りを見渡してみたが、そんな姿は一切見えないぞ?
「……よく気付いたな。こんな庶民の格好でも見抜くとは……流石だな」
「え、ええっ……?」
背後を……取られていた……。
最初に見かけたドレスではなく、革で出来た不思議なフードを被り至って普通の服装をしているリチア様が堂々と立っていた。ただ、その態度のデカさを見れば、流石の僕でもすぐに気が付くだろうな。
「もしかして! 私達と一緒に戦いたかったの? そうならそうって言えば良かったのに~へへ」
「なんだそれ……らしくないぞ、シュウ。君にああ言ったのは二つ理由がある。一つは私以外に話す仲間を作ってもらいたかったからなのだが……」
「優しいんだね、リチア」
「いや余りにもしつこいもんで」
「あー……うん、もう一個の理由は?」
姉ちゃん、そういう所あるからな。シュウに凹まれても話が進まないので僕が聞く。
「もう一つの理由は、パーティーを組んでいないと参加できない作戦があるからだ、既に分かっていると思うが」
「……!」
まさかといった表情でシュウはリチア様の目を見つめる。これから何があると言うんだ?
「……ああ、女神襲撃だ。今回は史上最大の規模になると予測されている。そこで、ソロ最強級のシュウに協力してもらいたくてな」
そこで、彼女の顔が青ざめる。今までのわざとらしい態度はこの一つの事実から逃避するためだと分かるくらい。
「それって、いつぐらいに起きるとか。分かりますか? リチア様」
「そうだな……たしか、3日後だ」
「……は? 3日後?」
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