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ステージ3-2 シロクロ連邦国家
第70話 老騎士VS挑戦者達
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シェンとギールベルクが睨み合う状況で、僕は冷静に考えてみた。
これって僕が割り込む意味があるのだろうか。むしろシェンにとっては動く対象物が増えてしまっているから水を差したことになるんじゃないか?
「じゃがぁ……我輩の虫にやられているのにしつこい、執念深い少年じゃなあ……そっちから消えてもらおうかの」
「……ッ!」
ギールベルクが左手を僕の方へ向けると、てのひらから寄生虫の群れが飛び出し、僕の心臓に撃ち込まれた。
皮膚を一瞬で引き裂き、体内に何匹も足や頭に向かって這う感触が僕を襲う。
しかし、シガヌィにやったときと同じように全身に魔力を纏い沸いた寄生虫達を体内で肉ごと焼いて殺していく。
火傷で死ぬほど痛いが、石のおかげですぐに再生を始めるので跡にはならずに済んでいる。
「ギールベルク……こんなのが僕に効くと本気で思ってたのか……?」
「……ほう? 何故立っていられる? 自らの肉体に魔力を流し込んで虫どもを焼き殺すなど、生身の人間には耐えられぬはずだが」
「残念、僕はあんたが想像する人間じゃねえんだ」
「ぬ……」
「【火炎球】ッ!」
僕は左腕を突き出し、恒例の火炎球をギールベルクに向けて放出する。
だがギールベルクは微動だにせず、火炎球はギールベルクの胸のど真ん中に直撃した。
「ぐっ……ふう……」
「なっ……火炎球を避けない!? そのまま焼き切れるぞ……余裕で200億ダメージ出るぞ!」
「我輩については存じておらぬか。我輩はの……60年間虫どもに苦しまされ、やがて痛覚が麻痺してしまったのじゃ。だからこの程度の火などで我輩の肉体を傷つけることはおろか、痛みすら感じずにこうやって立っていられるのだよ」
そう言うと僕の火炎球を手で直接掴み握り潰した。ジジイの頭上にはたしかに200億7500万とはっきり記されているが、苦しむような表情をギールベルクは見せない。
全く、最近ダメージが通らなかったりダメージで倒れないことが増えてきたな。
「天汰気を付けろ! コイツの攻撃手段は多彩だ……避けねえと大分動きを制限されるからな!」
「くっ……」
「【寄生】……建物全部を飲み込んでみせようかのう。忌々しきシロガネジョウを……破壊してやるかの」
数十匹の寄生虫達が男の体内からウジのように沸きでて、床や天井に貼り付き始める。
「……っギールベルク! あんたは自分の寄生虫を追い払うことは考えなかったのか!」
「‘追い払う’……? 何を勘違いしておるのじゃ。我輩をここまで押し上げたのはコイツらじゃ。これのおかげで我輩は今この国に復讐が出来てるじゃないか」
「復讐とかつまんねえことジジイになってまでやってんのかよ。天汰、こんな奴オレ達の敵なんかじゃねえな」
シェンに煽られギールベルクは顔を真っ赤にして魔力を四方八方に放出する。
ナイス煽りだ、シェン。
「我輩を『病気』だの……『当然の報い』だと直接言ってくる奴もおった……我輩に寄生されて悶え苦しむ様子は実に愉快じゃった……お主らも最後には泣いて許しを乞うじゃろう……『助けてくれ』……とな」
「……あんたの話で僕が思った正直な感想を言っていいか。あんたは不治の病にかかってしまってヤケになってるクソジジイだ」
「懲りんガキじゃな……」
……はあ、こんな時ヘラルがいれば……まあいない存在を憂いてもしょうがないよな。
「【火炎刃】、【火炎膜】……! ギールベルク、勝負だ。僕とお前で我慢比べしようぜ。お互い死ねないしさあ」
「──見つけたぞーッ! ギールベルクーッ!!」
──僕が戦闘態勢を取ったとほぼ同時に別方向からはるか昔に聞き覚えがある声が、僕と同じように壁を破壊して乱入してきた。
明らかに重量のある鎧を着ているにも関わらず、身軽で誰よりも早く動いている。
「ユージ……ビビって逃げたと思っていたが、どうして今更戻ってきた……」
乱入者をギールベルクはユージと呼び、怒りを言葉に乗せているが……コイツはギールベルクの仲間なのか?
──それにしては、ギールベルクに向かって一生懸命走り過ぎだな。
「オレは今日をもってハリケーンを抜けさせてもらうぜ!」
「……あ」
この声が誰なのか分かったかもしれない。良くも悪くもプレイヤーとはこういうものだって印象を作ったアイツと声がそっくりだ。
「ん……? そこにいんのはシェン!? あ、あと……お前! ルドベキアでリンドウの隣にいた……!」
「……一般人を助け合った仲、だろ!」
「天汰、こいつを知っているのか!?」
間違いない。ユージはルースの酒場で暴れていた集団のリーダーだ!
「雑魚が何人集まっても変わらぬ! かかってくるのじゃあ!」
「シェン、ユージやるぞ! ここでコイツを倒すんだ!」
ユージがどれだけ戦えるか不明だが、人数が増えれば対処しないといけない相手が増えるってことだ。
それに、もしかするとカンストダメージならギールベルクに攻撃が通るかもしれないしな!
これって僕が割り込む意味があるのだろうか。むしろシェンにとっては動く対象物が増えてしまっているから水を差したことになるんじゃないか?
「じゃがぁ……我輩の虫にやられているのにしつこい、執念深い少年じゃなあ……そっちから消えてもらおうかの」
「……ッ!」
ギールベルクが左手を僕の方へ向けると、てのひらから寄生虫の群れが飛び出し、僕の心臓に撃ち込まれた。
皮膚を一瞬で引き裂き、体内に何匹も足や頭に向かって這う感触が僕を襲う。
しかし、シガヌィにやったときと同じように全身に魔力を纏い沸いた寄生虫達を体内で肉ごと焼いて殺していく。
火傷で死ぬほど痛いが、石のおかげですぐに再生を始めるので跡にはならずに済んでいる。
「ギールベルク……こんなのが僕に効くと本気で思ってたのか……?」
「……ほう? 何故立っていられる? 自らの肉体に魔力を流し込んで虫どもを焼き殺すなど、生身の人間には耐えられぬはずだが」
「残念、僕はあんたが想像する人間じゃねえんだ」
「ぬ……」
「【火炎球】ッ!」
僕は左腕を突き出し、恒例の火炎球をギールベルクに向けて放出する。
だがギールベルクは微動だにせず、火炎球はギールベルクの胸のど真ん中に直撃した。
「ぐっ……ふう……」
「なっ……火炎球を避けない!? そのまま焼き切れるぞ……余裕で200億ダメージ出るぞ!」
「我輩については存じておらぬか。我輩はの……60年間虫どもに苦しまされ、やがて痛覚が麻痺してしまったのじゃ。だからこの程度の火などで我輩の肉体を傷つけることはおろか、痛みすら感じずにこうやって立っていられるのだよ」
そう言うと僕の火炎球を手で直接掴み握り潰した。ジジイの頭上にはたしかに200億7500万とはっきり記されているが、苦しむような表情をギールベルクは見せない。
全く、最近ダメージが通らなかったりダメージで倒れないことが増えてきたな。
「天汰気を付けろ! コイツの攻撃手段は多彩だ……避けねえと大分動きを制限されるからな!」
「くっ……」
「【寄生】……建物全部を飲み込んでみせようかのう。忌々しきシロガネジョウを……破壊してやるかの」
数十匹の寄生虫達が男の体内からウジのように沸きでて、床や天井に貼り付き始める。
「……っギールベルク! あんたは自分の寄生虫を追い払うことは考えなかったのか!」
「‘追い払う’……? 何を勘違いしておるのじゃ。我輩をここまで押し上げたのはコイツらじゃ。これのおかげで我輩は今この国に復讐が出来てるじゃないか」
「復讐とかつまんねえことジジイになってまでやってんのかよ。天汰、こんな奴オレ達の敵なんかじゃねえな」
シェンに煽られギールベルクは顔を真っ赤にして魔力を四方八方に放出する。
ナイス煽りだ、シェン。
「我輩を『病気』だの……『当然の報い』だと直接言ってくる奴もおった……我輩に寄生されて悶え苦しむ様子は実に愉快じゃった……お主らも最後には泣いて許しを乞うじゃろう……『助けてくれ』……とな」
「……あんたの話で僕が思った正直な感想を言っていいか。あんたは不治の病にかかってしまってヤケになってるクソジジイだ」
「懲りんガキじゃな……」
……はあ、こんな時ヘラルがいれば……まあいない存在を憂いてもしょうがないよな。
「【火炎刃】、【火炎膜】……! ギールベルク、勝負だ。僕とお前で我慢比べしようぜ。お互い死ねないしさあ」
「──見つけたぞーッ! ギールベルクーッ!!」
──僕が戦闘態勢を取ったとほぼ同時に別方向からはるか昔に聞き覚えがある声が、僕と同じように壁を破壊して乱入してきた。
明らかに重量のある鎧を着ているにも関わらず、身軽で誰よりも早く動いている。
「ユージ……ビビって逃げたと思っていたが、どうして今更戻ってきた……」
乱入者をギールベルクはユージと呼び、怒りを言葉に乗せているが……コイツはギールベルクの仲間なのか?
──それにしては、ギールベルクに向かって一生懸命走り過ぎだな。
「オレは今日をもってハリケーンを抜けさせてもらうぜ!」
「……あ」
この声が誰なのか分かったかもしれない。良くも悪くもプレイヤーとはこういうものだって印象を作ったアイツと声がそっくりだ。
「ん……? そこにいんのはシェン!? あ、あと……お前! ルドベキアでリンドウの隣にいた……!」
「……一般人を助け合った仲、だろ!」
「天汰、こいつを知っているのか!?」
間違いない。ユージはルースの酒場で暴れていた集団のリーダーだ!
「雑魚が何人集まっても変わらぬ! かかってくるのじゃあ!」
「シェン、ユージやるぞ! ここでコイツを倒すんだ!」
ユージがどれだけ戦えるか不明だが、人数が増えれば対処しないといけない相手が増えるってことだ。
それに、もしかするとカンストダメージならギールベルクに攻撃が通るかもしれないしな!
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