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わたしだって、セックスしたい
第2話
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「びっくりしたぁ…」
僕が言うと、ミコの笑い声が聞こえて来た。
「ごめんね~」ミコが言った。「でも、外に連れ出すんだもん。どのタイミングで声かけていいか、解らなかったんだよ」
そうか、それはそうだよな。
「予め、外に連れて行く相談をしておけばよかったね」
「そうだよ。冷たいよ」
声しか聞こえないが、僕の脳裡に、ミコが頬を膨らませている姿が映った。
「外で出て来てくれたって事は…」僕が言った。「これからは、ヘッドフォンをしていればどこでも話が出来るって事?」
「そうね…」ミコが言った。「でも、少し声を小さくした方がいいんじゃない? ほら、人が来るよ」
え? ああ…。
気づかなかったが、視界に母親と子供の親子連れが、手を繋ぎながら歩いているのが入っていた。そうか、ミコは僕の無意識を認知できるのか…。
僕は、黙って親子をやり過ごした。ミコも、暫く沈黙を維持した。
「もう大丈夫だよ」
僕が言うと、ミコは、解ってるよ、と返して来た。
「外で一緒に会話するには、まだ練習が必要だね」
「そうだね。なかなか出て来てくれなかったもんね」
「そうじゃなくて」僕の言葉を制すように、ミコが言った。「話し方の事だよ」ああ…なるほど。「ボクとお話しするのに、声を出す必要なんてないんだよ」
僕は、ミコの言葉に、そうだったね、と心の中で返してやった。彼女は、そうそう、と諭すような語調で答えた。
僕は不図、通勤電車で稀に見かける、いつも独り言を言っている老人の事を思い出した。もしかすると、あの人も僕と同じに、タルパと会話をしているのかもしれないな。
「でもまあ、回りに人がいない時は、声を出しても大丈夫だよね」
「そうだけど…」ミコが当惑したような声で言った。「気を付けて欲しいな。ボク、キミのリアルな世界が、ボクの所為で、悪い影響を受けちゃうのは嫌だな」
こんな意地らしい事を言うのか…と、ちょっと感心してしまった。でも、これはつまり、僕が無意識において、タルパによる現実世界の侵食を拒絶している事に他ならないので、必要な防衛規制だ。僕はまだ大
丈夫。
「ミコだって、外出するのは初めてだよね?」僕が言った。「実際に外で一緒にいる事で、どんな注意点が出てくるのか、実験しておいた方がいいな」
僕の言葉に、ミコは、そうだね、と答えた。
「失敗する事があれば、対策すればいいんだしね。悪い事ではないよね」
「どこか行きたい所とか、やってみたい事とかある?」僕が訊いた。「体がないから、できる事は限られるかもしれないけどさ」
「え~…」ミコは困惑した。「ワガママ言っても、いいの?」
「いいよ」
「それじゃあ…」ミコは刹那、沈黙した。「それじゃあ、キミとデートしてみたいな!」
デート!?
「ちょっと待って、いきなり?」僕は、慌てて言葉を制した。「それって、単純に外出って言うのじゃなくって、音声の君と、所謂カップルが行くような所へ行ったり、するような事をしたりするって事?」
「うん、そうだよ」
「傍から見ると、僕独りで行動してるんだよね?」
「嫌ならいいよ」ミコが小声で言った。「言ってみただけだから」
おいおい…。確かに面白そうではあるけれど、我に返ったら大変な恥ずかしさだぞ…。男独りでケーキ屋とか入れる性質じゃないんだ、僕は。
「まあ…いいよ」僕が言った。「それも、ちょっとした実験だと思うよ」
「ホント? 嬉しい」ミコがはしゃぐのが聴こえた。「ボク、迷惑かけないようにするからね」
僕は、解った解った、と返してやった。でも、これって、僕と、僕の無意識の領域との会話なんだよな…。考えると最低なマスターベーションだけれど、こういうのは深く考えてはいけない。どこかのスタートアップの社長が、夢を追い続けるコツは中二病を卒業しない事だって、言ってたしな。
次の休日に、初デートをする事をミコと約束した。
僕が言うと、ミコの笑い声が聞こえて来た。
「ごめんね~」ミコが言った。「でも、外に連れ出すんだもん。どのタイミングで声かけていいか、解らなかったんだよ」
そうか、それはそうだよな。
「予め、外に連れて行く相談をしておけばよかったね」
「そうだよ。冷たいよ」
声しか聞こえないが、僕の脳裡に、ミコが頬を膨らませている姿が映った。
「外で出て来てくれたって事は…」僕が言った。「これからは、ヘッドフォンをしていればどこでも話が出来るって事?」
「そうね…」ミコが言った。「でも、少し声を小さくした方がいいんじゃない? ほら、人が来るよ」
え? ああ…。
気づかなかったが、視界に母親と子供の親子連れが、手を繋ぎながら歩いているのが入っていた。そうか、ミコは僕の無意識を認知できるのか…。
僕は、黙って親子をやり過ごした。ミコも、暫く沈黙を維持した。
「もう大丈夫だよ」
僕が言うと、ミコは、解ってるよ、と返して来た。
「外で一緒に会話するには、まだ練習が必要だね」
「そうだね。なかなか出て来てくれなかったもんね」
「そうじゃなくて」僕の言葉を制すように、ミコが言った。「話し方の事だよ」ああ…なるほど。「ボクとお話しするのに、声を出す必要なんてないんだよ」
僕は、ミコの言葉に、そうだったね、と心の中で返してやった。彼女は、そうそう、と諭すような語調で答えた。
僕は不図、通勤電車で稀に見かける、いつも独り言を言っている老人の事を思い出した。もしかすると、あの人も僕と同じに、タルパと会話をしているのかもしれないな。
「でもまあ、回りに人がいない時は、声を出しても大丈夫だよね」
「そうだけど…」ミコが当惑したような声で言った。「気を付けて欲しいな。ボク、キミのリアルな世界が、ボクの所為で、悪い影響を受けちゃうのは嫌だな」
こんな意地らしい事を言うのか…と、ちょっと感心してしまった。でも、これはつまり、僕が無意識において、タルパによる現実世界の侵食を拒絶している事に他ならないので、必要な防衛規制だ。僕はまだ大
丈夫。
「ミコだって、外出するのは初めてだよね?」僕が言った。「実際に外で一緒にいる事で、どんな注意点が出てくるのか、実験しておいた方がいいな」
僕の言葉に、ミコは、そうだね、と答えた。
「失敗する事があれば、対策すればいいんだしね。悪い事ではないよね」
「どこか行きたい所とか、やってみたい事とかある?」僕が訊いた。「体がないから、できる事は限られるかもしれないけどさ」
「え~…」ミコは困惑した。「ワガママ言っても、いいの?」
「いいよ」
「それじゃあ…」ミコは刹那、沈黙した。「それじゃあ、キミとデートしてみたいな!」
デート!?
「ちょっと待って、いきなり?」僕は、慌てて言葉を制した。「それって、単純に外出って言うのじゃなくって、音声の君と、所謂カップルが行くような所へ行ったり、するような事をしたりするって事?」
「うん、そうだよ」
「傍から見ると、僕独りで行動してるんだよね?」
「嫌ならいいよ」ミコが小声で言った。「言ってみただけだから」
おいおい…。確かに面白そうではあるけれど、我に返ったら大変な恥ずかしさだぞ…。男独りでケーキ屋とか入れる性質じゃないんだ、僕は。
「まあ…いいよ」僕が言った。「それも、ちょっとした実験だと思うよ」
「ホント? 嬉しい」ミコがはしゃぐのが聴こえた。「ボク、迷惑かけないようにするからね」
僕は、解った解った、と返してやった。でも、これって、僕と、僕の無意識の領域との会話なんだよな…。考えると最低なマスターベーションだけれど、こういうのは深く考えてはいけない。どこかのスタートアップの社長が、夢を追い続けるコツは中二病を卒業しない事だって、言ってたしな。
次の休日に、初デートをする事をミコと約束した。
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