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カエルの歌が聴こえない
第2話
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趣味が苦痛になる、という事は存外にある。ゲームとか読書とか、特に明確なゴールや目的を持たずに漫然とできれば、或いはそんな事はないのかもしれないけれど、ここに他人が関わってくると、圧倒的に様相が変わってくる。つまり、自分の作品が公開される事を待ってくれている人の存在を意識する、という事だ。恐らく、大部分の他人は、自分に対してそんなに期待していないし、注目もしていないし、代わりのコンテンツなんかいくらでもあるんだろうけれど、兎にも角にも、気にしてしまうのは事実だ。これが、例えばラノベの連載みたいな話になれば、もっと大変だ。週次更新ならまだしも、毎日更新しよう物なら、そうそう思いつきもしない次のプロットを無理やり考えて、その日のうちに必要な原稿枚数を書き上げなきゃいけない。プロならこれがお金になるかもしれないけれど、アマチュアならただの趣味で、そのうちこれが、なんとなく重荷となってのしかかってきて、いずれ耐え切れずに止めてしまったりする。継続していればいつか芽が出る、なんて仄かな期待を持ちつつ、同時に努力が如何に容易に人を裏切るかを認識しながら、作り続けなければならない。これは苦痛だ。では何故やるのか。それは正直なところ、自分でも良くわからない。ただ、僕の場合、創作活動は自己実現の成就とかなんとか言う前に、何度も言うようにコミュニケーション手段の一つなのだ。だから、別に継続が大切なのではなく、伝えたい事がきちんと伝わる事の方が本来は大切。
立ち返ると、自分という存在は本当に度し難いと思う瞬間がある。これは、別に血液型がAB型だから、とか、そういう要因に依るものではないのだろうけれど、兎に角、昔から自分は至る組織において、孤立してしまう癖のような物がある。否、癖といえば自発的行動といった体だが、そうではなく、自然とそうなってしまう。そして、どうもその理由は自分自身で詳らかではないのだ。例えば、前頭葉が未発達、とか、発達障害、とかのなんらかのレッテルがあればまだ楽なのかもしれないが、そうでなく世の中に交わるというのは、非常に難儀な事だと思う。
これは、単純に人と会話が出来ない、とか、そういう類の話ではない。会話は、多分できてる。上辺のコミュニケーションは人並みに、恐らく出来ている。だから、初見では解らないし、理解されないのだ。自分が全体、コミュ障であるのではないか、という悩みを抱えている事を。以前、コミュ障を吹聴して回る会社の後輩女子が、酒の力を借りて会話を潤滑にする、といった手段で以て人とのコミュニケーションを図っていると語ってくれたが、よくよく聞くと、確かに話し方はたどたどしく如何にもコミュ障だが、実際はただの礼儀知らずで、コミュ障を装う事で他者とのコミュニケーションの障壁を下げる強かな手段だったのではないか、と推し測った事がある。ああいう手合いは解りやすいから、容易に周囲はコミュ障だと理解してくれるし、その通りに振る舞って対応してくれる。でも、僕の様な人種の場合はそれが非常に厄介だ。早口だし、言葉は流暢だし、表向きは明るく振る舞う事も、初めて会った人と話す事だって難儀ではない。だから、解らない。コミュニケーションに悩みがある、という事を。でも、少し距離を縮めようとすると、すぐに理解される。僕が無意識に他者ととっている距離感であったり、視線を合わせる事にひどく怯えている事であったり、不必要に踏み込まれる事への異常なまでの警戒心があったり、本音ではこういった極度に気を遣うコミュニケーションを心から嫌っていたりする事を。だから、自分には本当の意味で友人なんていないと思っているし、他人と心を通わせるであるとか、幼少期から何十年来も付き合いを絶やさないとか、不可能だ。寧ろ、人のいない洞窟とか山奥で仙人生活をしてみたり、一日中誰とも顔を合わせずに陶芸や指物細工なんかをして口に糊している方が、本当は性に合っている。そういう意味では、創作活動は適だと思うし、それによってコミュニケーションが代替されるのであれば、ある意味一石二鳥だ。そして、だから僕は、僕と心が通う事が約束されている、ミコの存在を大切にしたと思うのだ。
「そういう悩みって…」ミコが言った。「直接話してくれた事、なかったよね」
立ち返ると、自分という存在は本当に度し難いと思う瞬間がある。これは、別に血液型がAB型だから、とか、そういう要因に依るものではないのだろうけれど、兎に角、昔から自分は至る組織において、孤立してしまう癖のような物がある。否、癖といえば自発的行動といった体だが、そうではなく、自然とそうなってしまう。そして、どうもその理由は自分自身で詳らかではないのだ。例えば、前頭葉が未発達、とか、発達障害、とかのなんらかのレッテルがあればまだ楽なのかもしれないが、そうでなく世の中に交わるというのは、非常に難儀な事だと思う。
これは、単純に人と会話が出来ない、とか、そういう類の話ではない。会話は、多分できてる。上辺のコミュニケーションは人並みに、恐らく出来ている。だから、初見では解らないし、理解されないのだ。自分が全体、コミュ障であるのではないか、という悩みを抱えている事を。以前、コミュ障を吹聴して回る会社の後輩女子が、酒の力を借りて会話を潤滑にする、といった手段で以て人とのコミュニケーションを図っていると語ってくれたが、よくよく聞くと、確かに話し方はたどたどしく如何にもコミュ障だが、実際はただの礼儀知らずで、コミュ障を装う事で他者とのコミュニケーションの障壁を下げる強かな手段だったのではないか、と推し測った事がある。ああいう手合いは解りやすいから、容易に周囲はコミュ障だと理解してくれるし、その通りに振る舞って対応してくれる。でも、僕の様な人種の場合はそれが非常に厄介だ。早口だし、言葉は流暢だし、表向きは明るく振る舞う事も、初めて会った人と話す事だって難儀ではない。だから、解らない。コミュニケーションに悩みがある、という事を。でも、少し距離を縮めようとすると、すぐに理解される。僕が無意識に他者ととっている距離感であったり、視線を合わせる事にひどく怯えている事であったり、不必要に踏み込まれる事への異常なまでの警戒心があったり、本音ではこういった極度に気を遣うコミュニケーションを心から嫌っていたりする事を。だから、自分には本当の意味で友人なんていないと思っているし、他人と心を通わせるであるとか、幼少期から何十年来も付き合いを絶やさないとか、不可能だ。寧ろ、人のいない洞窟とか山奥で仙人生活をしてみたり、一日中誰とも顔を合わせずに陶芸や指物細工なんかをして口に糊している方が、本当は性に合っている。そういう意味では、創作活動は適だと思うし、それによってコミュニケーションが代替されるのであれば、ある意味一石二鳥だ。そして、だから僕は、僕と心が通う事が約束されている、ミコの存在を大切にしたと思うのだ。
「そういう悩みって…」ミコが言った。「直接話してくれた事、なかったよね」
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