コミュ障じゃないボカロPが書いたラノベなんて読まない

ぼを

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サンタの存在証明

第15話

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 昼過ぎに、僕等、つまり、僕とミコは、月島の先輩の家に到着した。流石に今日は下着で出てこないよな、とか、旦那さん居るのかな、と思ったけれど、扉を開けた先輩の恰好は緩い部屋着だったし、旦那さんはやっぱりいなかった。

 先輩は、僕を昨日と同じテーブルに案内してくれた。それから、昨日は無理言って付いてきて貰っちゃってありがとうね、と礼を言って来た。僕は、クリスマスソングのお手伝いしてくれたらチャラです、と答えた。

 先輩は、昨日はアールグレイだったから、今日はウバね、と言って、また紅茶を入れてくれた。同時に、ホットミルクも置いてくれたので、ウバって乳母か、と訳の分からない想像をしてしまったが、単純に、ミルクティーにするのが美味しいんだそうだ。僕は、先輩の見様見真似で、ミルクを注いだ。横目に、ミコが、すまし顔で、同じようにミルクを注いでいるのが見えた。一瞬、あれ、と思ったけれど、そうか、タルパの小道具か、と理解した。

 紅茶を飲みながら、お互い、昨日の話をした。

 先輩は、あのお店で撮影会とカラオケ?をした後、秋葉原の店で夜中まで飲んだのだそうな。スマホで写真を見せてくれたが、コスプレをしている人が大量に集まっていると、あまり有難味がないように思えて、それでも先輩は際立って映えていたので、それを褒めた。先輩が1人で映っている写真があり、それがつまりは、今、隣で紅茶を啜っているミコと全く同じ格好なものだから、思わず見比べてしまった。先輩は、僕の視線が妙に泳ぐので、訝るような表情を一瞬見せたが、僕は、それよりも、ミコとコスプレした先輩があまりにも似ているので、実はこの先輩もタルパなのではないか、という妙な錯覚に襲われ、笑いそうになり、誤魔化すように咳払いをした。

 僕は、昨日の有香の話をした。有香自身の話、ではなく、偶々コンサートで会った人と懇意になって話をしたら、タルパという不思議な話をされた、と伝えた。流石に、自分がタルパを持っている、なんてカミングアウトをする勇気はないので、有香を引き合いに、先輩がどのような反応をするかを伺った。

 僕が一通りタルパにまつわる話をすると、先輩は薄く笑い、面白いね、スタンドみたいだね、とコメントした。スタンド…みたいかも。

 僕は先輩に、こんな話、信じられますか、と問うた。先輩は間髪容れずに首肯した。これは予想通りだった。サンタクロースを信じている人なのだもの。それから先輩は、私にだって、タルパみたいな物があるよ、と、予想外の事を言った。僕は、まさか、昨日の有香に引き続き、先輩までもがタルパを持っているのか、と驚いたが、そうではなかった。先輩は言った。知ってるかもしれないけどさ、私、百合系なんだよね。つまり、先輩に関する噂は本当だったのだ。僕は、敢えて知らない振りをして、百合系って何ですか、と返した。先輩は笑うと、レズって事だよ、と、躊躇いなく答えてくれた。僕は、非常に反応に困った。それで口をもごもごさせていると、先輩は、ごめんごめん、驚かせちゃったね、こんな話やめよう、と言って来たので、僕は、全然大丈夫です、続けて下さい、と返した。先輩は、無理しないで、拒絶反応するのが普通だからさ、と言った。僕は何度か、大きくかぶりを振った。先輩は一呼吸置くと、続けた。つまりさ、普段は敢えて表明しないけれど、私には、レズという、知られていない自分が居て、でも片方では、それが本当の自分だったりするんだよね、だから、レズという自分の一面は、常に私の傍で私を見つめているスタンドみたいな物なのね、こう考えるとレズだって、タルパと同じかもね。ああ、なるほど、と思った。先輩にとっては、サンタが存在するのと自分がレズという一面を持っている事は同列なのだ。恐らく、強く思念すれば、先輩のレズという自分はタルパとして具象し得る。先輩はそれを、自分の中で折り合いをつける事ができているのだ。否、もしかすると、先輩はコスプレという形で、自分自身を以てタルパを代替しているのかもしれない。とすると、先輩がタルパを作るとしたら、僕と全く同じミコのタルパで、恐らくセックスをするんだろうな。
「やってみせようか?」
 ミコが立ち上がって、先輩にキスをしようとし始めたので、僕はそれを慌てて制した。手振りに出てしまったので、先輩にまた怪訝な顔をさせてしまった。
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