コミュ障じゃないボカロPが書いたラノベなんて読まない

ぼを

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そよよ

第1話

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 年を越して、思い出した事がある。2月は、有香の誕生日ではなかったか。現在において、僕と有香が恋愛関係にあるか、と言われると、お互いに微妙な所ではあるが、何か贈物くらいは用意してもいいだろうし、すべきではないか、という気がした。高校時代、有香とは2年くらいは付き合っていた筈だけれど、何をプレゼントしたかは明確に覚えていない。振られる直前に、貯金をはたいてティファニーのオープンハートを贈って、それでもやっぱり振られたような苦い追憶がなんとなく、という感じ。こういう、女性への贈物を考えるのって、苦手だ。ミコは多分手伝ってくれないだろうから、中野の友人か、コスプレの先輩に依頼して一緒に買い物に行って貰うか、かな。
「うん、手伝いたくないな」ミコが言った。「その方が、いいと思う…」
 有香の話になると、ミコは普段よりも元気がなくなる。僕には、自分の無意識の存在でありながら、このミコの様子が理解できないでいる。ミコは、何か僕に隠し事をしているのではないだろうか。つまり、僕が僕自身で気づいていない事に、彼女は気づいている…。それが何かを詮索するのはなんだか怖い気がするし、ミコが僕を悪い方には導かないだろうから、取り立てて訊くのは止した。それに、僕の心の声を読んでいる筈なのにミコが無反応であるから、深入りして訊くべきではないのだろう。ミコは、寂しそうな笑顔を見せた。

 有香はタルパを持っており、少なくとも僕の狭い交友関係の中では、最も僕に近いカテゴリの人種だ。敢えて筆談を好む様なコミュ障だし、タルパに依存している。自分でメンヘラである事を認識しながら、そこから脱却できないでいる。有香との関係を深める事は、僕自身にも、彼女にとっても有益であるように思われる。ただ、確かに、その時は有香のタルパも、僕のタルパも、その存在が必要ではなくなるんだろう。僕は随分とミコのタルパに助けられてきたし、出来れば、ルールを変えてでも傍に置いておきたいのだけれど…。
「ありがとう」ミコが言った。「でも、やっぱりルールは変えないでおこうよ」
 ミコが僕の事を心配してくれているのが、良く分かった。僕は首肯したけれど、考えはうまくまとまらなかった。
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