ぼを

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「ソフィー、悪い知らせがあるの。あたし、10万まで一生懸命回し続けたんだけれど…」
 
 ――どうしたの? 何が起こったの?

「ううん、その逆。何も起こらなかったの…。99999の次は、00000だったの。リセットされちゃったの」

 ――そう…残念ね

「正直、疲れてしまった…。考え得る唯一の希望だったもの。10万を超えれば、勝手に出して貰えるものだと…」

 ――ヒルデ、次はわたしの番だよ

「ソフィーの番? どういう事」

 ――希望は1つだけじゃない。もう1つ、あるでしょ?

「もうひとつ…?」

 あたしが解らないでいると、ソフィーがくすくすと笑い出した。

 ――「赤いボタン」の事、忘れちゃったの?

 そうだった…。すっかりこの空間に毒されてしまい、忘れていたけれど、赤いボタンが存在していたのだった。寧ろ、あのボタンが一番目立っていた筈なのに…。

「でも、危険じゃない? だって、貴女もあたしも、今日まで押さずにいたのに…」

 ――うん。解ってる。でも、決めてたの。貴女のポールの挑戦が失敗だったら、わたしがボタンを押すんだ、って。
   何か起こったら、すぐに教えるね

 確かに、あのボタン以外に変化を生じさせ得る方法は、もう残っていないのだ…。

「危険な事が起こったら、すぐに教えてね。すぐに助けるから」

 ――あはは、おかしいんだ。この状況で、貴女はわたしを助けられないのに

 そうだった。

 ――危険があったら、それはそれでちゃんと伝えるから、心配しないで

 あたしは不安だった。
 
「ソフィー、貴女は、この孤立した空間で唯一の友達なの。貴女を失う事は、ここから出られない事よりも辛いかもしれない」

 ――ありがとう。でも、まだ決まった訳じゃないよ

「それはそうだけど…」

 ――じゃあ、押すね…
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