『自称・未来の旦那様』― 運命より、いまを信じたかった ―

だって、これも愛なの。

文字の大きさ
4 / 10

― 第四話:未来がズレても、君への気持ちは変わらない ―

しおりを挟む
ある日を境に──
風間くんの“未来の予言”は、少しずつズレはじめた。

「明日のお弁当、たぶん卵焼きがハート型になってるはず」
「……ふつうの四角だったけど」

「体育祭、君のリレーは3位になると思う」
「……優勝したけど?」

「おかしいな……」と首を傾げる風間くんは、
ほんの少し、焦ったように見えた。

 

あれほど的中していた“彼の未来”は、
ゆっくりと軌道を外れていく。

そして──決定的だったのは、進路希望調査のとき。

「ねえ、君って、推薦で文系行くんじゃなかったっけ?」

「……私、理系に出すつもりだけど?」

その瞬間、風間くんの顔に、
ほんの一瞬だけ、寂しそうな影が差した。

「……そうか。変わったんだ、未来」

 

彼の“未来”と、私の“今”が、すれ違っていく。

それがなぜだか、胸の奥をきゅっと締めつけた。

 

* * * 

 

「未来なんて、最初からなかったんじゃないの?」
放課後の屋上。夕焼け空に背を向けながら、私は問いかけた。

「全部、でたらめだったんじゃないの?
 私の気を引くために、適当に言ってただけでしょ?」

沈黙。

でも、風間くんは怒らなかった。
ふっと笑って、小さく呟いた。

「……そうだね。未来なんて、あてにならない」

その言葉に、私はハッとして顔を上げた。

風間くんの横顔が、ほんの少しだけ、揺れて見えた。

「でもさ。
それでも君のそばにいたいと思ったのは、“いまの僕”なんだよ。
“未来だから”好きなんじゃない。
“今日の君”を見て、好きになったんだって、何度も思ってる」

 

“未来”という言葉がどこかに消えていくようだった。

代わりに、今、この瞬間だけが、
たしかにここにあるような気がした。

 

風間くんの声が、もう一度だけ風に乗って届く。

「未来が変わっても、君を好きなことは、変わらないよ」

 

それは、嘘でも予言でもなくて、
ただの「いま」の気持ちだった。

その“ただのいま”が、私にはとても、特別に思えた。

 

──つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

18年愛

俊凛美流人《とし・りびると》
恋愛
声を失った青年と、かつてその声に恋をしたはずなのに、心をなくしてしまった女性。 18年前、東京駅で出会ったふたりは、いつしかすれ違い、それぞれ別の道を選んだ。 そして時を経て再び交わるその瞬間、止まっていた運命が静かに動き出す。 失われた言葉。思い出せない記憶。 それでも、胸の奥ではずっと──あの声を待ち続けていた。 音楽、記憶、そして“声”をめぐる物語が始まる。 ここに、記憶に埋もれた愛が、もう一度“声”としてよみがえる。 54話で完結しました!

その出会い、運命につき。

あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

憧れの彼は一途で優しくて時々イジワル

RIKA
恋愛
営業課長・永瀬綋司は、その容姿や優秀ぶりから多くの女性社員にとって憧れの的。 久遠香澄もその一人だが、過去の恋愛で負ったトラウマから自分に自信がもてず恋愛を封印して過ごしていた。 ある日、香澄は会社帰りに偶然永瀬と駅で遭遇する。 永瀬に誘われて二人で食事に行くことになり緊張する香澄だが、話しているうちに少しずつ緊張もほぐれてゆく。 話題が恋愛の話になったとき、彼は香澄に向かって突然驚くべき言葉を口にした。 「好き。――俺の彼女になってくれない?」

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ

月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていた男女の恋の物語。 (謝罪)以前のあらすじは初稿のでした。申し訳ございませんでした。

処理中です...