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― 第四話:未来がズレても、君への気持ちは変わらない ―
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ある日を境に──
風間くんの“未来の予言”は、少しずつズレはじめた。
「明日のお弁当、たぶん卵焼きがハート型になってるはず」
「……ふつうの四角だったけど」
「体育祭、君のリレーは3位になると思う」
「……優勝したけど?」
「おかしいな……」と首を傾げる風間くんは、
ほんの少し、焦ったように見えた。
あれほど的中していた“彼の未来”は、
ゆっくりと軌道を外れていく。
そして──決定的だったのは、進路希望調査のとき。
「ねえ、君って、推薦で文系行くんじゃなかったっけ?」
「……私、理系に出すつもりだけど?」
その瞬間、風間くんの顔に、
ほんの一瞬だけ、寂しそうな影が差した。
「……そうか。変わったんだ、未来」
彼の“未来”と、私の“今”が、すれ違っていく。
それがなぜだか、胸の奥をきゅっと締めつけた。
* * *
「未来なんて、最初からなかったんじゃないの?」
放課後の屋上。夕焼け空に背を向けながら、私は問いかけた。
「全部、でたらめだったんじゃないの?
私の気を引くために、適当に言ってただけでしょ?」
沈黙。
でも、風間くんは怒らなかった。
ふっと笑って、小さく呟いた。
「……そうだね。未来なんて、あてにならない」
その言葉に、私はハッとして顔を上げた。
風間くんの横顔が、ほんの少しだけ、揺れて見えた。
「でもさ。
それでも君のそばにいたいと思ったのは、“いまの僕”なんだよ。
“未来だから”好きなんじゃない。
“今日の君”を見て、好きになったんだって、何度も思ってる」
“未来”という言葉がどこかに消えていくようだった。
代わりに、今、この瞬間だけが、
たしかにここにあるような気がした。
風間くんの声が、もう一度だけ風に乗って届く。
「未来が変わっても、君を好きなことは、変わらないよ」
それは、嘘でも予言でもなくて、
ただの「いま」の気持ちだった。
その“ただのいま”が、私にはとても、特別に思えた。
──つづく。
風間くんの“未来の予言”は、少しずつズレはじめた。
「明日のお弁当、たぶん卵焼きがハート型になってるはず」
「……ふつうの四角だったけど」
「体育祭、君のリレーは3位になると思う」
「……優勝したけど?」
「おかしいな……」と首を傾げる風間くんは、
ほんの少し、焦ったように見えた。
あれほど的中していた“彼の未来”は、
ゆっくりと軌道を外れていく。
そして──決定的だったのは、進路希望調査のとき。
「ねえ、君って、推薦で文系行くんじゃなかったっけ?」
「……私、理系に出すつもりだけど?」
その瞬間、風間くんの顔に、
ほんの一瞬だけ、寂しそうな影が差した。
「……そうか。変わったんだ、未来」
彼の“未来”と、私の“今”が、すれ違っていく。
それがなぜだか、胸の奥をきゅっと締めつけた。
* * *
「未来なんて、最初からなかったんじゃないの?」
放課後の屋上。夕焼け空に背を向けながら、私は問いかけた。
「全部、でたらめだったんじゃないの?
私の気を引くために、適当に言ってただけでしょ?」
沈黙。
でも、風間くんは怒らなかった。
ふっと笑って、小さく呟いた。
「……そうだね。未来なんて、あてにならない」
その言葉に、私はハッとして顔を上げた。
風間くんの横顔が、ほんの少しだけ、揺れて見えた。
「でもさ。
それでも君のそばにいたいと思ったのは、“いまの僕”なんだよ。
“未来だから”好きなんじゃない。
“今日の君”を見て、好きになったんだって、何度も思ってる」
“未来”という言葉がどこかに消えていくようだった。
代わりに、今、この瞬間だけが、
たしかにここにあるような気がした。
風間くんの声が、もう一度だけ風に乗って届く。
「未来が変わっても、君を好きなことは、変わらないよ」
それは、嘘でも予言でもなくて、
ただの「いま」の気持ちだった。
その“ただのいま”が、私にはとても、特別に思えた。
──つづく。
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