『自称・未来の旦那様』― 運命より、いまを信じたかった ―

だって、これも愛なの。

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番外編:最初の夢 ― あの日、君の名前も知らなかった。でも、笑っていた君を知っていた。―

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夢のなかで、君は笑っていた。

白いシャツに、透けるような光。
名前も、場所も、時間もわからなかったのに──
なぜかその笑顔だけは、やけに鮮明で。

僕は、そのときからずっと、君を探していたんだと思う。

 

最初に見たその夢は、中学生のときだった。
ふと目を覚ました朝、
なぜか「会わなきゃいけない人がいる」って思った。

──でも、そんなのバカみたいだよね。
そんな気持ち、誰にも言えなかった。

だから僕は、ただの夢だって、自分に言い聞かせた。

 

でも、あるときからその夢は、少しずつ“未来”の形をとりはじめた。

・君の誕生日
・君の癖(驚くと左手で口をおさえる)
・君が雨の日に傘を忘れること
・君が将来、何に悩むのか

……全部、夢の中の君が、ぽつりぽつりと話してくれた。

だから僕は信じてみた。
「この夢の通りに、君がいる世界がある」って。

 

──そして、春。転校の日。

窓際の席に座っていた君を見て、僕は確信した。

ああ、やっと、見つけた。

あの夢の中の君に、やっと出会えた。

 

「未来で結婚するって、誰かから聞いたから──」
そう言ったのは、たぶん、嘘じゃないけど本当でもなかった。

“聞いた”のは、夢の中の“君自身”だった。

でも、そんなことを信じてもらえるわけがない。

だから、ちょっとくらい、胡散臭くてもいい。
君の気を引けたら、それでいいと思った。

だって、夢じゃなくて、“いまここにいる君”と、話してみたかったから。

 

未来なんて、確かなものじゃない。
でも、「君と一緒にいたい」って気持ちは、
未来からやってきたんじゃない。

あの日、君の笑顔に出会った“夢”から──
そのままずっと、僕の中にあったんだ。

 

──たとえ予知がすべて外れたとしても。
君が違う道を選んでも。
もう夢を見なくなったとしても。

「君を好きだったこと」だけは、
ずっと、確かなままで残っている。

 

夢は終わった。
でも、君といる“今日”が始まった。

 

──これは、僕にとって最初で最後の、
君に出会うための夢だったんだ。

 

──おわり。
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