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結婚式編:未来の約束を、今日という日に ― ふたりで、ここまで歩いてきた。だから、未来もきっと大丈夫。―
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春の風がやさしく吹いていた。
教会の鐘の音が遠くで鳴っている。
控室の窓から見えるのは、花の咲いた小道と、やわらかく揺れる光。
私は、真っ白なドレスを着て立っていた。
「……本当に、今日が来たんだな」
鏡の中の私は、少し泣きそうで、でも笑っていた。
──未来の旦那様、って、最初に彼が言ったとき。
あのときは、ほんとうに信じられなかった。
だけど今、
その“未来”が、いま目の前にある。
* * *
バージンロードの先、
彼──風間 蓮が、まっすぐ私を見つめていた。
タキシード姿なんて、ちょっと似合わないような、
でも一瞬で胸がいっぱいになるような、そんな顔。
「……君が歩いてくる未来を、何度夢に見たかわからないよ」
ふたりだけの小さな声で、彼が言った。
「今日がその日だってわかってても、
やっぱり、君が一歩ずつ近づいてくるのを見ると、どうしようもなく、泣きそうになる」
私も、小さな声で答えた。
「私はね、未来がどうなるかなんて、ずっとわからなかったけど、
あなたと一緒にいた“毎日”が、ちゃんとこの日につながってた気がするの」
「予知なんかじゃなくて、
信じたいと思った気持ちの積み重ねが、今日ここにあるんだよね」
誓いの言葉も、指輪も、キスも。
ひとつひとつが、どこか照れくさくて、
だけど、すべてが本物だった。
* * *
披露宴の終わり、ふたりで手をつないで、テラスに出た。
夕暮れの空が広がっていた。
「ねえ、覚えてる? はじめて話しかけてきた日」
「もちろん。『未来で結婚するって聞いたから』って言ったやつでしょ。
あれ、人生でいちばん胡散臭いナンパだったよね?」
「でも、結婚したじゃん?」
「……ねえ、それ、プロポーズのときに言ってたら、めちゃくちゃキザだったよ?」
「え、言おうか迷ってたんだけど……」
「ほんとにやめて正解(笑)」
ふたりで笑い合って、
私はそっと蓮の肩に頭を預けた。
「ありがとう。夢じゃなくて、今日を選んでくれて」
「ありがとう。信じてくれて。いっしょに歩いてきてくれて」
その言葉に、風がやさしく吹いた。
あの頃、未来なんて知らなかった。
知らなかったからこそ、
何度も選び直して、何度も迷って、
やっと、ここにたどり着いた。
私たちの物語は、今日で“一区切り”。
でも──
未来は、まだまだ続いていく。
“予知のない未来”を、ふたりでつくる日々が。
そしてきっと、いつか、
新しい誰かに、こんなふうに言う日が来るのかもしれない。
「──未来で君に会うって、知ってたよ」
──おわり。
教会の鐘の音が遠くで鳴っている。
控室の窓から見えるのは、花の咲いた小道と、やわらかく揺れる光。
私は、真っ白なドレスを着て立っていた。
「……本当に、今日が来たんだな」
鏡の中の私は、少し泣きそうで、でも笑っていた。
──未来の旦那様、って、最初に彼が言ったとき。
あのときは、ほんとうに信じられなかった。
だけど今、
その“未来”が、いま目の前にある。
* * *
バージンロードの先、
彼──風間 蓮が、まっすぐ私を見つめていた。
タキシード姿なんて、ちょっと似合わないような、
でも一瞬で胸がいっぱいになるような、そんな顔。
「……君が歩いてくる未来を、何度夢に見たかわからないよ」
ふたりだけの小さな声で、彼が言った。
「今日がその日だってわかってても、
やっぱり、君が一歩ずつ近づいてくるのを見ると、どうしようもなく、泣きそうになる」
私も、小さな声で答えた。
「私はね、未来がどうなるかなんて、ずっとわからなかったけど、
あなたと一緒にいた“毎日”が、ちゃんとこの日につながってた気がするの」
「予知なんかじゃなくて、
信じたいと思った気持ちの積み重ねが、今日ここにあるんだよね」
誓いの言葉も、指輪も、キスも。
ひとつひとつが、どこか照れくさくて、
だけど、すべてが本物だった。
* * *
披露宴の終わり、ふたりで手をつないで、テラスに出た。
夕暮れの空が広がっていた。
「ねえ、覚えてる? はじめて話しかけてきた日」
「もちろん。『未来で結婚するって聞いたから』って言ったやつでしょ。
あれ、人生でいちばん胡散臭いナンパだったよね?」
「でも、結婚したじゃん?」
「……ねえ、それ、プロポーズのときに言ってたら、めちゃくちゃキザだったよ?」
「え、言おうか迷ってたんだけど……」
「ほんとにやめて正解(笑)」
ふたりで笑い合って、
私はそっと蓮の肩に頭を預けた。
「ありがとう。夢じゃなくて、今日を選んでくれて」
「ありがとう。信じてくれて。いっしょに歩いてきてくれて」
その言葉に、風がやさしく吹いた。
あの頃、未来なんて知らなかった。
知らなかったからこそ、
何度も選び直して、何度も迷って、
やっと、ここにたどり着いた。
私たちの物語は、今日で“一区切り”。
でも──
未来は、まだまだ続いていく。
“予知のない未来”を、ふたりでつくる日々が。
そしてきっと、いつか、
新しい誰かに、こんなふうに言う日が来るのかもしれない。
「──未来で君に会うって、知ってたよ」
──おわり。
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