堕天使様との恋は前途多難です!〜この恋は筋書きにありません!〜

明夏 向日葵

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あの夜の真実

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ラファエルの「完全に元気になったら容赦しない」という言葉が、耳の奥にまだ熱を残していた。
その余韻に包まれながら、スカーレットは胸に手を当て、鼓動の速さを必死に落ち着けようとする。

――その時が来るのを思うと、不安で……でも、同時に胸の奥が甘く疼く。
まるで、怖さと嬉しさが入り混じった、初めての感情。
ラファエル様に求められることがこんなにも心を揺さぶるなんて……。

彼の強い腕に抱きしめられる未来を想像するだけで、頬が熱くなる。
「わ、私は……どうなってしまうのかしら……」
思わず呟き、枕に顔を埋めてしまう。

だが――すぐに意識を切り替えるように、スカーレットは瞳を開いた。
「いけない……」
今は甘い夢に酔っている場合ではない。

今回の事件。
自分が倒れ、ラファエルが暴走しかけ、ジルベールが介入したあの夜。
すべての原因はまだ完全に解明されていない。
誰が仕組み、何が狙いだったのか……。

「……ちゃんと収拾をつけなければ」
スカーレットは小さく息を整えた。
愛に胸を震わせながらも、彼女の心には確かに使命感が息づいている。

ラファエルと共に生きていくと決めたのなら――ただ守られるだけでなく、共に困難を乗り越えられる存在でいたい。
その想いが、彼女の瞳に強い光を宿していた。

スカーレットは魔王城の静かな廊下を歩きながら、心の中で決意を固めていた。
――まずはジルベール様に、現状を確認しなければ。

胸の奥にまだラファエルとの甘い余韻が残っているが、それ以上に、今回の事件の真相を知る必要があった。
息を整え、扉をノックすると、ジルベールが穏やかに顔を上げた。

「スカーレット、来たか」

スカーレットは一礼し、静かに尋ねる。
「ジルベール様、あの夜の件の詳細を教えていただけますか……」

ジルベールは少し間を置いて、重い口を開く。
「……全ての黒幕は、マリアだ。」

スカーレットの手が震える。
「……聖女マリア様が……?どうして、そんなことを……」

「理由はわからん。だが、あやつは聖女らしからぬ行いをした」
ジルベールは深く息をつく。
「そして、ラファエルが暴走したことで王城は大きく壊れた。その際、ラファエルを暗殺しようとしていた王妃も負傷したらしい。その後、王宮に一度偵察に行ったが、あの件以降、ラファエルを恐れ、口にすることすら憚り、誰も宮に近づけずに引きこもっているという」

スカーレットは唇を噛み締める。
――王妃がラファエルを狙うことは、もうないのね……。

「だが、問題はまだ残っている」
ジルベールの目が真剣になる。
「聖女マリアをどうするか、だ。君ならどうする、スカーレット?」

スカーレットは深く息をつき、心の中で決意を固める。
――彼女が何をしようとしても、私が止めなければ。
――ラファエルの暴走も、王国の混乱も、もう二度と起こさせない。

「……私に、考える時間をください」
スカーレットの声は揺れていたが、瞳は揺らがなかった。
「……でも、必ず、聖女マリアを止めます。彼も、王国も、守るために」

ジルベールは静かに頷く。
「わかっているな、スカーレット。ラファエルも、このことには勘付いている。君と共に、あやつを止める覚悟はできているはずだ」

胸の奥で、ラファエルの存在を強く感じながら、スカーレットは小さく拳を握った。
――絶対に、彼も、みんなも守ってみせる

その覚悟は、静かな魔王城にひときわ強く響いた。
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