堕天使様との恋は前途多難です!〜この恋は筋書きにありません!〜

明夏 向日葵

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聖騎士様の凱旋

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スカーレットはセレスタイン城の書斎で、辺境に派遣されていた幼馴染アーサーの活躍を伝える記事を見つけ、思わず顔を輝かせた。

「やっと…アーサーの夢が叶ったのね!」
その記事によると、辺境で数々の功績を残したアーサーは、騎士団長に認められ、聖騎士へと昇格したのだ。スカーレットの目には、誇らしげなアーサーの姿が映ったかのようだった。

「随分と嬉しそうだな」
ラファエルが背後から低く声をかける。スカーレットは振り返り、にこやかに記事を見せる。

「見てください!これを!
辺境騎士団、勝利を収め、凱旋帰国!」

ラファエルは眉をひそめ、冷たい視線を送る。
「その記事がどうした?」
「アーサーがついに聖騎士なれたのですよ!彼の長年の夢が、努力が報われたのです!」
スカーレットの声には、心からの喜びが込められていた。

その様子を見たコロネが、スカーレットの膝の上にちょこんと乗ってくる。ナイトも、まるで喜びを分かち合うかのように首を傾げた。

「ねぇ、アーサーに送るのは何がいいかしら?やっぱり花束かしら…」
目を爛々と輝かせ、スカーレットは夢中で考え込む。
ラファエルはその光景を見て、無言でスカーレットの肩を抱き寄せる。けれど、顔には不服そうな影が浮かんでいた。
「…お前、その男が好きなのか?」
スカーレットは少し驚き、手で彼の腕を押さえた。
「好きと言われれば…友達としては好きですわ。でも誤解しないでくださいまし!私にとってはアーサーは家族で兄のような存在ですわ」
「兄か…」
ラファエルは低く呟き、目を細める。

「どうしたのですか、ラファエル様?もしかして、やきもちですか?」
「そ、そんなわけあるか…!俺が何処の馬の骨かわからん男に嫉妬するわけない…」
しかし、ラファエルの握った拳はわずかに震え、視線はスカーレットから記事へと釘付けだった。

「なら、明日凱旋パレードを見に行ってもいいですわよね?」
「好きにしろ」
その答えに、スカーレットは小さく飛び跳ねて喜ぶ。
「ありがとうございます♪ラファエル様!」

ラファエルはそんな彼女の頭をそっと撫でながら、心の中でつぶやいた。

(…アーサーだろうが、誰だろうが、彼女は俺だけのものだ…)

***
その日、庭園には甘い日差しが差し込み、二人の間には小さな嫉妬と大きな愛情が入り混じる、幸福な時間が静かに流れていた。

朝にスカーレットが笑顔でアーサーに花束を見繕っていた姿を思い出して、ラファエルは胸の奥でじわじわとしたもやもやを感じていた。
(あんな嬉しそうな顔、あまり見たことないぞ…。本当はあの男のことが好きなのでは?)
ラファエルは自室を歩き回りながら自問する。

そこへ、クラウスが静かに入ってきた。

「ぼっちゃま、落ち着いてくださいませ。寝巻きで歩き回らないでくださいませ」

ラファエルはクラウスに顔をしかめる。
「クラウス、スカーレットはあのアーサーとかいうやつが好きなのか?」

「また唐突でございますな。しかし、スカーレット様が好きなのは紛れもなくぼっちゃまですよ。それは一番、ぼっちゃま自身がお分かりなのでは?」

「確かにそうだが…彼女が他の男と話しているだけで、こう胸がムカムカするというか…なんというか…」

「それは嫉妬でございますよ、ぼっちゃま。そんなにスカーレット様が心配なら、ついて行けばよろしい話では?スカーレット様と仲のいいところをそのアーサーとかいう人に見せつける絶好のチャンスでは?」

「クラウス!お前は天才だ!」

ラファエルは決意を固め、急いで部屋を飛び出す。

「そうと決まれば、スカーレットを追いかけねば!」

「お待ちください、ぼっちゃま。寝巻きで出歩かれるのはよろしくありません」

「…あ…」
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