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第Ⅰ章 私は悪役令嬢
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「お嬢様、大丈夫ですか?」
声をかけられ目を開けると心配そうに私を見つめる、私と同じ真っ黒な目があった。
黒い髪と目、褐色の肌をした従者
母が唯一自国から連れて来た乳母の息子イスファーン
「うなされていましたよ」
元敵国故にオスファルト国の王女であった母、その血を継ぎ、特徴がある私は周囲から遠巻きにされたり、嫌われている。
王女であり、気位の高い母はルラーン人と歩み寄ることをしないのも大きな要因だろう。
父と母の間に愛はない。
所詮は政略結婚だ。
「懐かしい夢を見たわ」
「夢ですか、どのような?」
母にとって私は自分の自尊心を満たす道具だった。
この国唯一の公女
そしてエーメント殿下の婚約者
母は私が王妃になった暁には裏からこの国を牛耳るつもりなのだろう。
果たしてこの国はその程度のことも推測できない程、愚鈍だろうか。
「取るに足らない、くだらない夢よ」
「そうですか。最近あまり寝れていないようですが、何か心配事でも」
……心配事
『お姉様、見て。エーメント殿下が私にくださったの。エーメント殿下はお優しい方ね。私が妹というだけで私まで気遣ってくださるのだから』
そう言って嬉しそうに笑うのは妹のアリシア。
金色の髪に青い目、そして白磁のようは肌。
父の血が濃く出たアリシアは一目見ただけではオスファルトの血を引いているとは思えない。
彼女の明るい性格もあり社交界の人気者となった。
たくさんの縁談話が来ているし、父もアリシアのことはとても可愛がっていた。
ただアリシアは王妃様に顔立ちが似ており、王妃様との子ではないかと噂されている。
父は王家の縁戚であり、血がだいぶ薄れているが王妃様も元は王家の出なので似ていてもおかしくはない。
「お嬢様?」
「心配事なんて何もないわ」
『お姉様、今日はねエーメント殿下がピクニックに誘ってくださったのよ』
頭の中でアリシアの言葉が木霊する。
何も心配することなんてない。
殿下は妹のアリシアを気遣ってくださっているだけ。
ただ、それだけよ。
「お嬢様、本当に何もないですか?」
イスファーンは私の頬を両手ではさみ、私の目を覗き込む。
時々イスファーンがする、癖のようなものだと私は考えているけどこの時のイスファーンは少し怖い。
彼が私に何かをすることなんてあり得ないのに。
「俺に嘘、ついてませんか?」
まるで嘘は許さないと言われてるみたいだった。
だから私は彼の視線から逃れたくて目をそらした。
「本当に何もないわ」
心配事なんてない。
私が少し気にしすぎなだけよ。
わざわざイスファーンに言うことでもない。
「そうですか。分かりました。でも、どんな些細なことでもいいので何かあれば言ってくださいね。俺はお嬢様の味方です。どんなことからもお嬢様をお守りします」
「大袈裟ね」
私が苦笑するとようやくイスファーンは私から離れた。
「約束ですよ」と、念を押して。
声をかけられ目を開けると心配そうに私を見つめる、私と同じ真っ黒な目があった。
黒い髪と目、褐色の肌をした従者
母が唯一自国から連れて来た乳母の息子イスファーン
「うなされていましたよ」
元敵国故にオスファルト国の王女であった母、その血を継ぎ、特徴がある私は周囲から遠巻きにされたり、嫌われている。
王女であり、気位の高い母はルラーン人と歩み寄ることをしないのも大きな要因だろう。
父と母の間に愛はない。
所詮は政略結婚だ。
「懐かしい夢を見たわ」
「夢ですか、どのような?」
母にとって私は自分の自尊心を満たす道具だった。
この国唯一の公女
そしてエーメント殿下の婚約者
母は私が王妃になった暁には裏からこの国を牛耳るつもりなのだろう。
果たしてこの国はその程度のことも推測できない程、愚鈍だろうか。
「取るに足らない、くだらない夢よ」
「そうですか。最近あまり寝れていないようですが、何か心配事でも」
……心配事
『お姉様、見て。エーメント殿下が私にくださったの。エーメント殿下はお優しい方ね。私が妹というだけで私まで気遣ってくださるのだから』
そう言って嬉しそうに笑うのは妹のアリシア。
金色の髪に青い目、そして白磁のようは肌。
父の血が濃く出たアリシアは一目見ただけではオスファルトの血を引いているとは思えない。
彼女の明るい性格もあり社交界の人気者となった。
たくさんの縁談話が来ているし、父もアリシアのことはとても可愛がっていた。
ただアリシアは王妃様に顔立ちが似ており、王妃様との子ではないかと噂されている。
父は王家の縁戚であり、血がだいぶ薄れているが王妃様も元は王家の出なので似ていてもおかしくはない。
「お嬢様?」
「心配事なんて何もないわ」
『お姉様、今日はねエーメント殿下がピクニックに誘ってくださったのよ』
頭の中でアリシアの言葉が木霊する。
何も心配することなんてない。
殿下は妹のアリシアを気遣ってくださっているだけ。
ただ、それだけよ。
「お嬢様、本当に何もないですか?」
イスファーンは私の頬を両手ではさみ、私の目を覗き込む。
時々イスファーンがする、癖のようなものだと私は考えているけどこの時のイスファーンは少し怖い。
彼が私に何かをすることなんてあり得ないのに。
「俺に嘘、ついてませんか?」
まるで嘘は許さないと言われてるみたいだった。
だから私は彼の視線から逃れたくて目をそらした。
「本当に何もないわ」
心配事なんてない。
私が少し気にしすぎなだけよ。
わざわざイスファーンに言うことでもない。
「そうですか。分かりました。でも、どんな些細なことでもいいので何かあれば言ってくださいね。俺はお嬢様の味方です。どんなことからもお嬢様をお守りします」
「大袈裟ね」
私が苦笑するとようやくイスファーンは私から離れた。
「約束ですよ」と、念を押して。
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