20 / 87
第二章
act 6 ヘロイン
しおりを挟む
けれど瞳は戸惑っていた。
それが本当に解決への道なのだろうか?
「瞳、腕を出せよ」
「賢司…、あたし嫌だよ」
「いいから、早く腕出せよ」
有無を言わさぬ賢司の言葉に、瞳は渋々腕を差し出した。
内肘の静脈に針が刺さる。それを押しながら賢司はぽつり言う。
「これ、何時もより多いからな」
「えっ?」
時既に遅し。
身体中が焼ける様に熱くなった。
「あ、あ…つい…」
「熱いか?効いただろう。今日のはヘロインが入ってるからな」
もう目も開けられない程、ぐるぐる廻る。
熱かった身体は、急速に冷えてゆく。
「瞳、俺の乳首を舐めて感じさせろ」
顎がカクカク痙攣している。
それでも賢司は瞳に自分の乳首を舐める様に強要するのだった。ヘロイン…?
ヘロインってなに…?
また違う薬をあたしに使ったの?
賢司はあたしをどうするつもりなの…?
瞳の狼狽が伝わって来るような身体の痙攣。
止めようにも止まらない。反対に心臓は破裂しそうなほどに早鐘を打っている。
苦しい…。
苦しい…。
「瞳、どうだ?効いただろう?もう動けねぇな」
その、賢司の言葉が何を意味するのかすら、瞳には判らなかった。
ただ…。
賢司の言いなりに、賢司を気持ち良くさせるだけの、マリオネットの様に。
「け、んじ…、離さない、で…」
「あぁ、薬が効きすぎて恐いんだろ?俺はお前の傍にいるよ…」
それでも瞳の痙攣は治まらない。
何がそんなに恐いのかすら、瞳には判らない。
ただ…恐怖に支配されていたのは事実だった。
「このまま独りぼっちになったら恐怖でおかしくなっちまうな」
「やめて…、あたしを離さないで…」
「そうだな、俺を感じさせたら離さないで傍にいてやるよ」
感じさせたら…?
恐怖が瞳を支配する。
恐い。
何がそんなに恐いのかすら、理解出来ない。
自力で動く事すらままならない今、瞳には賢司の存在こそが全てだった。
その賢司に置き去りにされたら、間違いなくあたしは狂ってしまう。
もしかしたら、そのままショックで死んでもおかしくない状態だ。
それほど、瞳は狼狽していた。
賢司は何を考えているのかが、判らない…。
あたしは、殺されるのだろうか?
どうしても拭い取れない、賢司への疑心。
愛してるなんて、本当は嘘で、あたしが邪魔なのではないのだろうか?
一つの思いに、瞳の頭は、すっかり固まってしまっていた。
「け、んじ…、あた、しが…邪魔…?」
「またそんな事言うのか、瞳?いつ俺がお前を邪魔者にした?」
「う、ん…」
本当にそう思っているのだろうか?
ならば、何故?
あたしにこんなに強い薬を使うの?
ヘロインと云えば、コカインに並んで、依存性の強い薬だ。
コカインは、よくドラマのワンシーン等に使われる事が多いが、スケール等で真っ直ぐに横一連に列べて、それをストローで一気に鼻から吸い込む。
直接脳に効く薬としては、最強なのだろう。
およそ、覚醒剤等比べ物には成らないのかも知れない。
ヘロインは、別名、クイーンオブドラッグの名前を持つ。
自律神経に直接影響する。ヘロイン中毒に為ると、体温の調整が出来なくなる。
突然暑くなったり、それこそ真冬のプールにでも飛び込んだ様に、寒気がしたり、全身を吐息がかかっただけでも襲って来る激しい痛み、その繰り返しだ。
これで正常で居られる筈はないだろう。
それが本当に解決への道なのだろうか?
「瞳、腕を出せよ」
「賢司…、あたし嫌だよ」
「いいから、早く腕出せよ」
有無を言わさぬ賢司の言葉に、瞳は渋々腕を差し出した。
内肘の静脈に針が刺さる。それを押しながら賢司はぽつり言う。
「これ、何時もより多いからな」
「えっ?」
時既に遅し。
身体中が焼ける様に熱くなった。
「あ、あ…つい…」
「熱いか?効いただろう。今日のはヘロインが入ってるからな」
もう目も開けられない程、ぐるぐる廻る。
熱かった身体は、急速に冷えてゆく。
「瞳、俺の乳首を舐めて感じさせろ」
顎がカクカク痙攣している。
それでも賢司は瞳に自分の乳首を舐める様に強要するのだった。ヘロイン…?
ヘロインってなに…?
また違う薬をあたしに使ったの?
賢司はあたしをどうするつもりなの…?
瞳の狼狽が伝わって来るような身体の痙攣。
止めようにも止まらない。反対に心臓は破裂しそうなほどに早鐘を打っている。
苦しい…。
苦しい…。
「瞳、どうだ?効いただろう?もう動けねぇな」
その、賢司の言葉が何を意味するのかすら、瞳には判らなかった。
ただ…。
賢司の言いなりに、賢司を気持ち良くさせるだけの、マリオネットの様に。
「け、んじ…、離さない、で…」
「あぁ、薬が効きすぎて恐いんだろ?俺はお前の傍にいるよ…」
それでも瞳の痙攣は治まらない。
何がそんなに恐いのかすら、瞳には判らない。
ただ…恐怖に支配されていたのは事実だった。
「このまま独りぼっちになったら恐怖でおかしくなっちまうな」
「やめて…、あたしを離さないで…」
「そうだな、俺を感じさせたら離さないで傍にいてやるよ」
感じさせたら…?
恐怖が瞳を支配する。
恐い。
何がそんなに恐いのかすら、理解出来ない。
自力で動く事すらままならない今、瞳には賢司の存在こそが全てだった。
その賢司に置き去りにされたら、間違いなくあたしは狂ってしまう。
もしかしたら、そのままショックで死んでもおかしくない状態だ。
それほど、瞳は狼狽していた。
賢司は何を考えているのかが、判らない…。
あたしは、殺されるのだろうか?
どうしても拭い取れない、賢司への疑心。
愛してるなんて、本当は嘘で、あたしが邪魔なのではないのだろうか?
一つの思いに、瞳の頭は、すっかり固まってしまっていた。
「け、んじ…、あた、しが…邪魔…?」
「またそんな事言うのか、瞳?いつ俺がお前を邪魔者にした?」
「う、ん…」
本当にそう思っているのだろうか?
ならば、何故?
あたしにこんなに強い薬を使うの?
ヘロインと云えば、コカインに並んで、依存性の強い薬だ。
コカインは、よくドラマのワンシーン等に使われる事が多いが、スケール等で真っ直ぐに横一連に列べて、それをストローで一気に鼻から吸い込む。
直接脳に効く薬としては、最強なのだろう。
およそ、覚醒剤等比べ物には成らないのかも知れない。
ヘロインは、別名、クイーンオブドラッグの名前を持つ。
自律神経に直接影響する。ヘロイン中毒に為ると、体温の調整が出来なくなる。
突然暑くなったり、それこそ真冬のプールにでも飛び込んだ様に、寒気がしたり、全身を吐息がかかっただけでも襲って来る激しい痛み、その繰り返しだ。
これで正常で居られる筈はないだろう。
0
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる