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1話 労働にいそしむ
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時は流れて2172年、SGの登場で少子高齢化なんて何処吹く風、人口はV字回復し今では日本の人口は1億5千万を突破した。また全人口に占めるSCの割合は93%を記録し、もはやNonは過去のものとして扱われ、SCからは差別されるようになっていた。
「いらっしゃいませー」
コンビニでけだるげに働く僕、河内正人19歳ももはや絶滅危惧種となったNonの一人だ。差別されているといっても、別に奴隷のように扱われたり、人権がないわけでもない。ただちょびっと人生がハードモードなだけだ。一流企業に入れないのはあたりまえ。中小企業ですら一流の大学を出ていなければ入ることは出来ない。
「560円でーす」
商品を袋に詰める作業を淡々とこなし、袋を客に渡す。
「ありがとーございましたー」
なんの面白みもない仕事だが、大学の学費を払うために辞めるわけにはいかない。両親はこのSCでなければつらい時代にわざわざSGを用いない出産を選択するような変人ではあるが、しっかり現実が見えている人でもあったので、幼少期から教育に力を入れてくれていた。そのためなんとか地方の名門といわれる大学に入学することが出来たのだが、家計が厳しいことを重々承知なので学費は自分で払うといい家をでた。大学の近くに家賃3万の、築何年なのか知りたくもないようなオンボロ安アパート借り、一人暮らしをしている。
「今日お客さん少ないね。」
そう言うのは同じく大学一年生の花道沙羅。SCだがNonの僕にも分け隔てなく接してくれる良い娘だ。彼女のようにやる気に満ち溢れているわけではないのでけだるげに返す。
「いいよ。少なくて。お客さんがいくら来ようと給料変わるわけじゃないし。」
むしろ少なくていい。なんなら来ないでほしい。
「相変わらずやる気ないね~。でもあんまりお客さん来なくてお店つぶれちゃったら困るでしょ?」
確かに一理あるが、別にバイト先なんて探せばいくらでもある。何もこのコンビニがすべてというわけではないのだ。でもそれを言うのも面倒くさい。
「そーだね。」
そう投げやりに返事をすると
「今、別に他にもバイト先なんていくらでもあるし、、、みたいなこと考えたでしょ」
この人はエスパーか。ズバリ言い当てられてしまった。
「よくわかったね」
驚いて言うと
「当たり前じゃん。何年の付き合いだと思ってんの~」
胸を張り自信満々に返される。
「まだ3か月くらいだけど」
すかさずツッコむ。すると、
「そーいえばそうだったね」
と言いながらケタケタと笑う。
この人と過ごす時間は気楽でいい。この時間が一番楽しい。まあ本人には口が裂けても言えないが。沙羅が思い出したように言う。
「けど、店長曰く本当に厳しいらしいよ。もういつつぶれてもおかしくないってさ。」
「まあ今時個人経営のコンビニなんてはやらないでしょ。しかもレジも旧式のやつだし。僕が客だったら絶対来ないよ、こんな店。」
コンビニなんて至る所にあるし、そのほとんどが大手のフランチャイズだ。わざわざこんな寂れた個人経営の店に来るような奇特な客はそれほどいない。SGなどという神をも恐れぬ技術を生み出しておきながらも、いまだに人々は額に汗水たらして働いている。技術的にはほぼすべての仕事をAIに任せることができるそうだが、そうするとSGによってV字回復した人口に見合うだけの働き口がなくなってしまう。そのためあえて全自動化には踏み切っていないらしい。とはいえ、この店で使っているような、一々会計のたびにレジが開いて従業員がお釣りを数えるようなレジはもはや絶滅危惧種だ。初めて見たときには驚きのあまり「おぉう」と変な声が出てしまった。
「え~、あたしこの店のレトロな感じ、嫌いじゃないよ。」
「物は言いようだね。」
そうやって軽口をたたいているうちに上がりの時間になった。
「あ、時間じゃ~ん。あがろっか。」
「そうだね。じゃ、またね。お疲れ様~」
さっさと制服をたたんで帰路につく。
「いらっしゃいませー」
コンビニでけだるげに働く僕、河内正人19歳ももはや絶滅危惧種となったNonの一人だ。差別されているといっても、別に奴隷のように扱われたり、人権がないわけでもない。ただちょびっと人生がハードモードなだけだ。一流企業に入れないのはあたりまえ。中小企業ですら一流の大学を出ていなければ入ることは出来ない。
「560円でーす」
商品を袋に詰める作業を淡々とこなし、袋を客に渡す。
「ありがとーございましたー」
なんの面白みもない仕事だが、大学の学費を払うために辞めるわけにはいかない。両親はこのSCでなければつらい時代にわざわざSGを用いない出産を選択するような変人ではあるが、しっかり現実が見えている人でもあったので、幼少期から教育に力を入れてくれていた。そのためなんとか地方の名門といわれる大学に入学することが出来たのだが、家計が厳しいことを重々承知なので学費は自分で払うといい家をでた。大学の近くに家賃3万の、築何年なのか知りたくもないようなオンボロ安アパート借り、一人暮らしをしている。
「今日お客さん少ないね。」
そう言うのは同じく大学一年生の花道沙羅。SCだがNonの僕にも分け隔てなく接してくれる良い娘だ。彼女のようにやる気に満ち溢れているわけではないのでけだるげに返す。
「いいよ。少なくて。お客さんがいくら来ようと給料変わるわけじゃないし。」
むしろ少なくていい。なんなら来ないでほしい。
「相変わらずやる気ないね~。でもあんまりお客さん来なくてお店つぶれちゃったら困るでしょ?」
確かに一理あるが、別にバイト先なんて探せばいくらでもある。何もこのコンビニがすべてというわけではないのだ。でもそれを言うのも面倒くさい。
「そーだね。」
そう投げやりに返事をすると
「今、別に他にもバイト先なんていくらでもあるし、、、みたいなこと考えたでしょ」
この人はエスパーか。ズバリ言い当てられてしまった。
「よくわかったね」
驚いて言うと
「当たり前じゃん。何年の付き合いだと思ってんの~」
胸を張り自信満々に返される。
「まだ3か月くらいだけど」
すかさずツッコむ。すると、
「そーいえばそうだったね」
と言いながらケタケタと笑う。
この人と過ごす時間は気楽でいい。この時間が一番楽しい。まあ本人には口が裂けても言えないが。沙羅が思い出したように言う。
「けど、店長曰く本当に厳しいらしいよ。もういつつぶれてもおかしくないってさ。」
「まあ今時個人経営のコンビニなんてはやらないでしょ。しかもレジも旧式のやつだし。僕が客だったら絶対来ないよ、こんな店。」
コンビニなんて至る所にあるし、そのほとんどが大手のフランチャイズだ。わざわざこんな寂れた個人経営の店に来るような奇特な客はそれほどいない。SGなどという神をも恐れぬ技術を生み出しておきながらも、いまだに人々は額に汗水たらして働いている。技術的にはほぼすべての仕事をAIに任せることができるそうだが、そうするとSGによってV字回復した人口に見合うだけの働き口がなくなってしまう。そのためあえて全自動化には踏み切っていないらしい。とはいえ、この店で使っているような、一々会計のたびにレジが開いて従業員がお釣りを数えるようなレジはもはや絶滅危惧種だ。初めて見たときには驚きのあまり「おぉう」と変な声が出てしまった。
「え~、あたしこの店のレトロな感じ、嫌いじゃないよ。」
「物は言いようだね。」
そうやって軽口をたたいているうちに上がりの時間になった。
「あ、時間じゃ~ん。あがろっか。」
「そうだね。じゃ、またね。お疲れ様~」
さっさと制服をたたんで帰路につく。
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