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2話 また労働にいそしむ
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家についた瞬間、布団にダイブしたい気持ちを抑えてノートパソコンを開ける。次はオンラインで家庭教師のバイトだ。時給のよさにつられて始めたバイトだが中々楽しい。自分が今までに習得した知識を人にわかるように説明するというのは思っていたよりも難しくて、それゆえに伝わった時の達成感はひとしおだ。今教えているのは二人。高校2年の男子と高校3年の女子だ。今日は男子の生徒の授業だ。慣れた手つきでオンラインのルームに接続する。
「こんばんは。授業を始めます。」
「こんばんは。めっちゃいきなり始めるじゃないですか。もうちょいなんか雑談から始めましょうよ~」
そう不満を漏らすのは生徒の佐久間文也。
「先週そういって授業全然進まなかったよね?」
「おれそんな一杯一気に学べませんよ。」
「けど学校の成績かなり上がったじゃん。この調子でいこうよ。」
「ひえ~おっかないなあ、まったく。」
そういいつつも授業は集中して聞いてくれるのでありがたい。
授業が中盤に差し掛かったところで文也が口を開いた。
「そういえば正人さんって彼女いましたっけ?」
「、、、授業中だ。」
「その返し、いないのバレバレなうえにダサいんでやめといた方がいいっすよ。」
「まじか。」
「まじっす。」
少し心にダメージが入った。別に欲しいとは思わないが、いないと大声で言えるほどメンタルが頑丈なわけでもない。
「そういう文也はどうなんだよ」
そう尋ねると
「聞いてくださいよ~。最近彼女ができたんですよ。それでどこかデートに連れて行ってあげたいんですけど、なんかいいところ知りませんか?」
とあっけらかんと言った。
「逆に聞きたいがそんなもん知っていると思うのか?」
「いや~もしかしたら彼女できたときのためにめっちゃそういうの詳しい人かもしれないじゃないですか~。」
「僕がそういうタイプに見えるか?」
「いや~、先生はそういうことにほとんど無頓着なタイプだろうな~」
「だいたい僕はNonだからな。恋愛なんておいそれとできることじゃないよ。」
「そういえば先生Nonでしたね。先生美形なんでしょっちゅう忘れちゃうんですよね」
SGによって人々は圧倒的に美形になった。そのため、美形でなければNonであることはまるわかりなのだ。僕は幸い両親が美形で、自分もその遺伝子をうまく受け継いで生まれることができたから見た目でNonとばれることはまずない。とはいえNonであることに変わりはないし、それを隠して付き合うのは自分的に納得できないのでしないが。すると文也は言葉を必死に紡ぐようにしていった。
「う~ん、自分はNonじゃないんで偉そうに言えないんですけど、Nonであることが恋愛できないことと直接イコールじゃないと思うんですよね~。恋愛に限った話じゃなく、、、自分バカなんでうまいこと言えないんですけど、、、」
ハッとさせられた。文也はこういうところが鋭い。確かに何でもかんでもNonであることを理由にするのは違う。
「いや、伝わったよ。」
そう僕は優しく微笑んみながら言った。
そんなこんな言っていると時間はあっという間に過ぎ、授業はお開きとなった。
パソコンの電源を落とし、部屋の電気を落とし布団にもぐる。明日も一限から大学があるので早く寝たい。布団に潜ってから文也に言われたことを思い出しながら考えた。自分はNonであることをいやだと思ったことはないが、普段から差別されることに慣れてしまって、自分のことを自分で差別してしまうようになっている部分があるんじゃないか?そんなことを考えながら沈み込むように寝入った。
「こんばんは。授業を始めます。」
「こんばんは。めっちゃいきなり始めるじゃないですか。もうちょいなんか雑談から始めましょうよ~」
そう不満を漏らすのは生徒の佐久間文也。
「先週そういって授業全然進まなかったよね?」
「おれそんな一杯一気に学べませんよ。」
「けど学校の成績かなり上がったじゃん。この調子でいこうよ。」
「ひえ~おっかないなあ、まったく。」
そういいつつも授業は集中して聞いてくれるのでありがたい。
授業が中盤に差し掛かったところで文也が口を開いた。
「そういえば正人さんって彼女いましたっけ?」
「、、、授業中だ。」
「その返し、いないのバレバレなうえにダサいんでやめといた方がいいっすよ。」
「まじか。」
「まじっす。」
少し心にダメージが入った。別に欲しいとは思わないが、いないと大声で言えるほどメンタルが頑丈なわけでもない。
「そういう文也はどうなんだよ」
そう尋ねると
「聞いてくださいよ~。最近彼女ができたんですよ。それでどこかデートに連れて行ってあげたいんですけど、なんかいいところ知りませんか?」
とあっけらかんと言った。
「逆に聞きたいがそんなもん知っていると思うのか?」
「いや~もしかしたら彼女できたときのためにめっちゃそういうの詳しい人かもしれないじゃないですか~。」
「僕がそういうタイプに見えるか?」
「いや~、先生はそういうことにほとんど無頓着なタイプだろうな~」
「だいたい僕はNonだからな。恋愛なんておいそれとできることじゃないよ。」
「そういえば先生Nonでしたね。先生美形なんでしょっちゅう忘れちゃうんですよね」
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「う~ん、自分はNonじゃないんで偉そうに言えないんですけど、Nonであることが恋愛できないことと直接イコールじゃないと思うんですよね~。恋愛に限った話じゃなく、、、自分バカなんでうまいこと言えないんですけど、、、」
ハッとさせられた。文也はこういうところが鋭い。確かに何でもかんでもNonであることを理由にするのは違う。
「いや、伝わったよ。」
そう僕は優しく微笑んみながら言った。
そんなこんな言っていると時間はあっという間に過ぎ、授業はお開きとなった。
パソコンの電源を落とし、部屋の電気を落とし布団にもぐる。明日も一限から大学があるので早く寝たい。布団に潜ってから文也に言われたことを思い出しながら考えた。自分はNonであることをいやだと思ったことはないが、普段から差別されることに慣れてしまって、自分のことを自分で差別してしまうようになっている部分があるんじゃないか?そんなことを考えながら沈み込むように寝入った。
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