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3話 大学に行く
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次の日、午前7時。目覚ましの音がけたたましく鳴り、無理やり眠りから覚めさせられる。今は七月、夏だから布団から何とか出ることができたが、冬になると布団から出ることは困難を極めるだろう。そんなことをぼんやりと考えながらのそりと体を持ち上げる。布団から起き上がると体を伸ばす。体のあちこちがポキポキとなり、やっと意識がはっきりと覚醒してきた。カーテンを開けると憎いくらいにさわやかな朝を太陽が告げる。朝食の準備、もっとも冷蔵庫からパンと牛乳を取り出すだけだが、をしてもそもそと食べ始める。朝はどうにも食欲がわかないのでなかなか食べ進めることができない。やっとの思いで食べ終えると、すでに時計の針は八時を過ぎたことを示している。急いで着替えて家を飛び出す。愛車の自転車に鍵を差し、急いでまたがり出発する。一面に広がる畑を横目に自転車を漕ぐ。じんわりと汗をかいてきたころ、大学に到着した。どうして自転車を漕いでいる最中はそれほど汗をかかないのに、降りてからはまるで噴水のように際限なくあふれてくるんだろう、そんなことをぼんやり考えているうちに教室に到着した。後ろの方の席を確保してしまうと、あとは授業が始まるまでやることがないので、てきとうにスマホをいじる。スマホをいじることにも飽きてきたころ、後ろから肩をたたかれた。
「やっほー、かわっち。今日もけだるげだね~。」
後ろを振り返ると沙羅がいた。
「おはよう。あとけだるげじゃない。やる気に満ち溢れている。」
「やる気に満ち溢れている人はそんな今にも帰りたそうな顔はしないと思うな~」
「仕方ないじゃないか。この授業好きじゃないんだよ。」
「うーん、それには同感かな~。現実から目を背けた綺麗事ってあんまり好きじゃないんだよね。まあ、かわっちが帰りたそうな顔してるのはこの授業に限った話じゃないけどね。」
一限目はSCNon学。SCとNonのこれからを考えるという講義だ。毎回学生がどうすればSCとNonが仲良くやっていけるか案を出すのだが、それらはだいたい孟子もびっくりの性善説で構成されており、とても現実的とは言えない。そういった綺麗事は普段差別される側の自分も聞いていて気持ちのいいことではない。そういう発表している学生たちも決して悪い人ではないのだろうが、どうも正しいことを言っている正しい自分偉いという感じがしてしまうのだ。沙羅とおしゃべりに興じていると、講師が教室にやってきて一週間のうち最も憂鬱な授業が始まった。
「やっほー、かわっち。今日もけだるげだね~。」
後ろを振り返ると沙羅がいた。
「おはよう。あとけだるげじゃない。やる気に満ち溢れている。」
「やる気に満ち溢れている人はそんな今にも帰りたそうな顔はしないと思うな~」
「仕方ないじゃないか。この授業好きじゃないんだよ。」
「うーん、それには同感かな~。現実から目を背けた綺麗事ってあんまり好きじゃないんだよね。まあ、かわっちが帰りたそうな顔してるのはこの授業に限った話じゃないけどね。」
一限目はSCNon学。SCとNonのこれからを考えるという講義だ。毎回学生がどうすればSCとNonが仲良くやっていけるか案を出すのだが、それらはだいたい孟子もびっくりの性善説で構成されており、とても現実的とは言えない。そういった綺麗事は普段差別される側の自分も聞いていて気持ちのいいことではない。そういう発表している学生たちも決して悪い人ではないのだろうが、どうも正しいことを言っている正しい自分偉いという感じがしてしまうのだ。沙羅とおしゃべりに興じていると、講師が教室にやってきて一週間のうち最も憂鬱な授業が始まった。
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