姫君殺しの騎士様

淡雪 理依奈

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ばんがいへん

姫様は、お口が悪い

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あんな最悪な出会いを経ても、
姫の表面上は特に変わらず最近はよく欠伸をしている。

表面上はと言う言葉の通り人気の無いところでは姫は相変わらず口が悪い。

「今日は家庭教師の小言が多かった!」とか。
「剣の試合で負けた奴が絡んできてうざかった!」とか。

滅多に人に弱音を吐かない姫がそんな事を言うのを驚きながら聞いていた。

初対面なら、優しく微笑む可愛らしい女の子。
身内にだって、いい子で通っているしかと言えば自分より弱いと口が悪い。
この場合剣の強さもあるが基本王国での立場の強さの問題だ。

俺はどうなのだろうか。
愚痴こそ聞くものの〝俺〟という一つの個人が姫から評価を貰うのは良くも悪くもない。

そんな時に姫と騎士団のみんなの口論が聞こえる。

姫の事だから口で負ける事は無いだろうが…、口以外に手を出されても大丈夫ではあるが剣がないと姫は…

「だから、自分新入りの教育の為に!」
「はぁ?自分が出来もしないのに。毎朝早く起きて決闘場の掃除しろとか、貴方が新人の頃にそんなしきたりはありませんでした。」

思った通りの口論を繰り広げながら一歩も引かない姫。
それでもさせたい、ならとまくしたてる。

「10日。貴方ができたら認めます。」

「なんで、現騎士団の総括役の私が!」


「うるさい。自分ができないんならまず言わないでくださいよ。」

心底汚いものを見る軽蔑の目。

「てめぇ…」

剣を怒りのまま姫に振るう、総括役殿。

「姫に、手を出すのはやめてください。」

指で剣を挟み、ぽいっと投げる。
「騎士団、やめてください。」
少女はそうだけ言うとくるっとまわって帰っていく。


「姫、」
「マリーって呼んで。」
いきなりお腹の当たりに顔を押し付けられて驚きながらも返事をする。
「マリーさん。」

「はぁ。」
「なぜ、ため息を…」
「そんな羊みたいに言われても嬉しくないわよ。
今日は、剣を向けられてビビったのよ。貴方が来ない可能性もあったし。」

飽きたように離れると、髪をさらさらと撫でる。

「ケーキ作らなきゃ行けないから、付いてきて。」

俺の手をぎゅっと握りながら、引っ張る彼女。
不貞腐れた顔は変わらない。

「分かりましたよ。」

それでも姫、辛くても怖くても俺は、姫を守りますそれが




役目ですから。
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