姫君殺しの騎士様

淡雪 理依奈

文字の大きさ
15 / 16
ばんがいへん

姫と騎士のお戯れ

しおりを挟む
姫に雇われたのが9月10日、国の女神アレスが生まれた日。

そんな日に祝われた俺の会は見事なものだった。
どんちゃん騒ぎ飲めや歌えの大合唱うるさいぐらいに楽しい一日でもっと続いてほしいとも思うが
でも、祭りには終わりがあり終わるからこそ待ち遠しいのだ。

まぁ、そんなこんな
古い年季の入ったドア。

ドアノブさえもくすんで、掃除行き届いた屋敷の中で明らかに異質な部屋。

誰も、近寄ろうとしないしそれどころか怯えている様子さえ見える。
開かずの間というやつだ。


そこに
そこそこ、優秀な騎士から大出世を果たした俺。
カルデア・キリシュ。

俺は、基本姫から貰った姫の隣の部屋でしか生活して居らず普通に暮らしていれば噂話は耳に入らないはずなのだが。

姫を、屋敷のあちらこちらで見守る事が多くなり給仕さんなどと話す機会が多くなり…必然的にという感じだ。

今日は、たまたま掃除当番。
怖いと言うより…好奇心に押されてしまいそうでドアの前を掃いたりしながら居るがどうしても気になってしまう。

普段はドアの前なんかに居ただけで噂話になるが今日だったら掃除熱心な人。と言うだけで終われるから長く居るのかもしれない。

ガタンッ、ドドッ。

何かが倒れたりする音にビックリしながら息を呑む。
考えるより先に
さっきまで怖がっていたのに、何故か開けてしまう。


「おい!誰か…い」

大声で雄叫びの様に叫びかけたその時。

そこには大量の本と少し入ってくる日の光を浴びながら寝る姫だった。
銀色の綺麗な髪に光は反射して艶々と輝く。


丸まった姿は愛らしいものだったが手のすぐ近くの本の山が倒れているところを見るとつまり姫の寝相のせいらしい。

こんなに音がなるものなのかと驚きながらも姫を見る。

外傷が無いかと髪を少しどかし顔を見る。
目を見えるところに傷がないのを確認し安心して近くに座る。


大きな図書館のようにでかい本棚と脚立がある。
ちらほら抜けているところと姫の近くにある本何を読んでるのか気になりながら題名や中身を見る。

「絵本…じゃないな。純文学に推理物、詩集とか…節操ないな。」

それでもまだ11歳の子供が見るようなそして読めるような量でもないのだが…

「大変なんだろな…姫様って」

無垢な子供の寝顔を見る分には全く苦労なんて知らない顔なんだが努力して、王族として暮らしているのだろう。

姫に近づき頭を撫でる。
撫でようとした時、

がっしり手を掴まれた。

「幼女趣味なの?」

きょとんの寝起きのとろんした目で掴んでない方の腕で口に手を当て欠伸をする。


「私が可愛いのはわかるけど…手を出しちゃダメよ?」

そう言うと、あっさり俺の手を解放し本をある程度重ねると身なりを整えて出ていった。

今日9月11日、
俺、カルデア・キリシュは姫の本性を垣間見た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

彼女の離縁とその波紋

豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

処理中です...