追放されてから数年間ダンジョンに篭り続けた結果、俺は死んだことになっていたので、あいつを後悔させてやることにした

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刀を作ろう!

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「——ってことがあったんだけど、ユルメルはそいつについて何か知ってるか?」

 俺はユルメルにドウグラスとの一件を掻い摘んで話した。
 
「んー……ドウグラスかぁ……ごめんね。ちょっとわかんないや」

 ユルメルは腕を組んで目を瞑りながら考えてくれたが、特に心当たりはなかったようだ。
 アノールドでBランク冒険者と言えば結構有名なはずだが、アノールドに来たばかりだと言っていユルメルが知らないのも無理はないだろう。

「そっか。ならいいや。悪い、変な話聞かせたな」

 俺はユルメルに軽く頭を下げた。

 正直、先程の出来事はお世辞にも気持ちの良い話とは言えないからな。

「ううん! ゲイルが無事だったんだし、必要な素材を集められないのも無理はないよ! 全然気にしないで!」

 ユルメルは首をブンブンと横に振りながら俺のことを慰めてくれているようだが、何か勘違いをしているみたいだな。

「素材はあるぞ? 今の話は素材を回収し終えてから起こった話だからな」

 俺は足元に置いていたバックパックをテーブルの上に乗せた。
 刀を打ち直すための素材はそれほど大きいものではないので、バックパックの膨らみは出発した時と大きい変化はないが、手で持ってみれば確かに重さを感じる。
 その証拠にテーブルは壊れてしまいそうなほど鈍い音を出して大きく揺れている。

「うんうん! 流石にゲイルが強いと言ってもこんな短時間で……え……? ど、どういうこと!?」

 ユルメルはやれやれと言ったような仕草をしていたが、突然バンっとテーブルを叩いて立ち上がった。

 情緒どうなってんだよ……。

「これと……これ……あと別のものに使えるかなってこれも取ってきたぞ」

 俺はなぜか状況を理解することができていないユルメルの前に一つずつ素材を出していった。

「え! えぇ!? は……ぁ……?」

 しかし二体のモンスターから取ってきた複数の素材を一つずつ出していくたびに、ユルメルは驚きの表情を浮かべながら小さな悲鳴のような声をあげていく。

 そして俺が最後の一つをテーブルに置き終えてバックパックを片付けた頃には、ユルメルは若干引き気味の姿勢で俺のことを見つめていた。

「どうだ? これで足りそうか? 必要ならもっと取ってくるが……」

 俺はユルメルに確認を取るが、ユルメルは完全に魂が抜けており放心状態になっていた。
 どうやら俺が素材を持ってきすぎたみたいだ。
 ユルメルのためを思ってやったんだが、悪いことをしてしまったな。

「はぁ……」

 俺はひとつ溜め息をついて考えた。

 俺が頬でもぶって無理に正気を取り戻させてもいいのだが少し申し訳ないし、ここは静かに待っているとしよう。時間はまだあるしな。






「もう大丈夫か?」

「……う、うん! ごめんね。ちょっと……いや、凄く驚いちゃった!」

 俺がハッと我に返ったように目をパチクリさせたユルメルに声をかけてみると、ユルメルは満面の笑顔を作っていた。
 驚いてはいるものの、やはり嬉しかったみたいだな。

「そ、そうか。素材は足りるんだよな?」

「足りるどころじゃないよ! 刀も作れるし、なんなら他の武器だって作れるよ!」

 ユルメルは素材でできた小さな山を瞳を輝かせながら見ていた。
 まるで親からプレゼントを貰った子供みたいだな。

「そんなにか?」

 俺はバックパックに適当に入れてきたのだが、ユルメルからすれば中々の量だったようだ。

「うん! そ、それでゲイルに相談があるんだけど……」

「ん? なんだ?」

 ここで突然ユルメルが両の指をちょんちょんと突き合わせながらモジモジし始めた。
 恥ずかしがっているというか、言い出しにくいことがあるというか、そんな女の子らしい仕草を見せられると五十歳だという現実を忘れてしまいそうだ。

「な、なんでもするから……えっと……その……素材が余ったら僕に譲って欲しいなぁ……なんて……無理だよね……」

「いいぞ」

 そんなことなら別に構わない。
 死んでくれとか、アノールドから出て行けとか言われていたら断ったが、そんなお願いなら全く問題はない。

「ほ、ほんと!? いいの? こんなに強力なモンスターの素材だよ?」

 ユルメルはチラチラと俺の顔色を伺いながら言った。

 魔法は得意でもあまり戦闘経験がなさそうなユルメルからすれば、こんな素材を譲ってもらうのはおこがましいことだと思っているだろうが、俺から言わせてみれば全く問題はないから安心してほしい。

「ああ。その代わり最高の刀を打ってくれよ?」

 俺は中央にあった素材を全てユルメルの方に寄せた。

「……うん! 僕頑張るよ! じゃあ早速だけどどんな刀を作るか決めよっか!」

 ユルメルは胸の前で小さく拳を握ると、側にあった棚の中から一枚の真白い紙を取り出した。

「そうだな……まず、刀の形状と重さは——」

 俺は途端に職人の顔になったユルメルに応えようと、真面目に刀の形状や重さ、普段の感覚や意識していることを鮮明に言葉で伝えていく。

 そして、ついにこの作業はおよそ一時間にも上ったのだった。

 どんな刀ができるのか楽しみでならないな。

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