追放されてから数年間ダンジョンに篭り続けた結果、俺は死んだことになっていたので、あいつを後悔させてやることにした

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悪魔の存在

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「実は——」

 俺はアウタートさんに事のあらましを隠す事なく全て伝えた。
 アウタートさんは話の節々でテーブルの端にある薄い板を凝視していたが、それ以外特にアクションを起こすわけでもなく、静かに話を聞いてくれていた。

「——ということになってて、今は俺が悪人になっています」

「そうでしたか」

 俺が数分間に渡る一人語りをしている最中、アウタートさんは特に不快な表情を見せることはなかった。
 むしろ先ほどよりも表情が柔らかい気がするくらいだ。

「ええ。それで……どうでしょうか? 見に来てもらえますか?」

 これで断られてしまったらもう打つ手はない。

 もちろん、クエストをちまちま受けて、俺は悪者ではないということを少しずつわからせることも可能だとは思うが、それだと時間がかかりすぎるし何より効率が悪い。
 ここで良い返事を聞くことができれば、かなりの収穫となる。

「わかりました。ですが、もう一つだけ聞かせてください」

 アウタートさんは俺の言葉に前向きな返事をして小さく笑ったかに見えたが、すぐにグッと眉間に皺を寄せた。
 同時にテーブルの端に置いてある薄い板を回収すると、再び懐に収めた。

「……なんですか?」

 俺はアウタートさんがずっと気にかけている薄い板の存在が気になったが、今はスルーすることにした。

「どのようにしてわたくしに怪しくないものだという証明をするおつもりで?」

「少々生意気なことを言いますが、その日になればわかりますよ」

 俺はニヤリと口角を上げて答えた。
 本当は何も考えていなかったが、ここは意味ありげなことを言って誤魔化すことにしたのだ。
 人の嘘が完璧にわかる人などいるわけがないので、おそらく大丈夫だろう。

「そうですか」

 アウタートさんは静かに返事をすると同時にソファから立ち上がると、扉の方へ向かって歩いていった。
 時間的にも話はここまでなのかもしれないな。

「……最後に一つだけ情報の共有をしておきます」

 アウタートさんは一度扉に手をかけたが、何か言いそびれたことでもあるのか、こちらに振り返る事なく口を開いた。

「俺なんかに情報の共有をしてもいいんですか?」

 先ほどまであれだけ怪しんでいたのにどういう風の吹き回しだろうか。
 こんな瞬時に気が変わったとでもいうのか。

「ええ。あなたなら大丈夫でしょう。それで、情報の共有ですが端的に申し上げます。最近、アノールドの付近で最低でもAランク相当の実力を持つであろう悪魔の目撃が確認されたとのことです……。では、失礼します」

 アウタートさんの言い方からは確かな深刻さが伝わってきた。さらに俺と話している時よりも遥かにシリアスな口調と雰囲気だった。
 
 それにアウタートさんは聞き捨てならない単語を言っていたな。

「……悪魔か」

 世界には現時点で三体の悪魔がいるとされている。
 元々冒険者というのは主に悪魔を倒すための職業として、数百年前に出来たものだ。
 ここ数十年間は悪魔の姿が確認されていなかったので、モンスターを専門的に狩る職業として認識されていたが、まさかここにきて悪魔が姿を現すとはな……。

「気をつけないとな」

 俺はアウタートさんから貰った情報を頭に入れてから、横でいつの間にか眠りについていたレイカさんを背負って王宮を後にした。
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