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善と悪
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「いつからそこにいた!」
「落ち着いてください。俺は別にあなたの敵じゃあないですよ」
シェイクジョーさんが剣を抜いてぐっと腰を低く構えたので、俺はそれを抑えるように、両手を上げて無抵抗な自分をアピールした。
「……」
シェイクジョーさんはその端正な顔立ちを不快感を隠すことなく歪めていた。
「どうです? 敵意がないことを理解してくれましたか?」
俺は敵意はなかった。今のところは……だが。
「……いいでしょう。ですが、まずはあなたが何者かを具体的かつ簡潔に教えてくれませんか?」
流石は騎士団長と言ったところか。
シェイクジョーさんはすぐに俺が敵意を持っていないことを見抜いたのか、両手で構えた剣を下におろして軽く脱力した。
「俺はゲイルです。ニーフェさんから頼まれて、あなたとウォーブルの状況を確認しに来ました。ニーフェさんが心配していましたよ?」
俺は少しずつシェイクジョーさんとの距離を詰めながら言った。
ニーフェさんの言葉とはまるで違うウォーブルの現況には数多くの疑問点があったので、ここで直接本人に聞いておきたい。
「……ニーフェ? そんな人は知りませんね」
シェイクジョーさんは平然と惚け始めたが、ほんの僅かだが視線が不規則に動いているので、あまり信用できる言葉ではないことがわかる。
だが、若くして騎士団長になっただけあって、表面上には動揺や心の乱れがほとんど見られないので、こちらも油断はできなさそうだ。
「そうですか。では、ウォーブルの現況と俺が持っている情報の相違点だけ言いますね」
俺はシェイクジョーさんとの距離が残り二メートルほだになったところで立ち止まり、少し首を上に傾けてシェイクジョーさんの目を見た。
「ウォーブルが干魃の事態に直面しているという情報は本当ですか? 仮に旱魃していないのだとしたら、ニーフェさんから貰った水の石はどこへいったのですか?」
俺はシェイクジョーさんの耳にしっかりと聞こえるように、ゆっくりと言葉を紡いでいった。
いきなり核心に迫りすぎたようにも思えるが、この問題の中心人物の一人であるシェイクジョーさんの顔色と、その後と対応を見れば全てが明らかになるので、俺は惜しみなく全ての手札を切った。
「旱魃? 水の石? 何のことだかわかりませんね……。そのようなこと言うためにここに来たのであれば、早急に立ち去ることをおすすめします」
シェイクジョーさんは俺から顔を背けると、嘲笑するように誤魔化した。同時に腰に垂らした麻袋の中から掌程の大きさしかない縦笛を取り出した。
何かをする気のようだ。まあ、大方予想がつく。
フリードリーフさんが立ち去る前から近くには複数の気配を感じていたからな。
「お気遣いどうも。残念ながら、俺は立ち去るわけにはいかないんですよ。ニーフェさんと約束をしたのでね」
俺は特に取り乱すことなくそう言いきった。
その事実について認める気はさらさらないらしいが、俺は双方の情報を知っているので、これである程度の善悪がはっきりした。
「そうですか。なら無理やりにでも失礼します——」
シェイクジョーさんは一瞬で息を吸い込んでから縦笛に口をつけると、縦笛は胸に響くような低い音を鳴らし始めた。
その瞬間に前後左右からシェイクジョーさんの部下であろう大勢の棋士が参上し、俺のことをグルリと囲った。
「……やはりか」
こうなることはある程度予想はしていた。
外部訓練やら内部訓練やら耳馴染みのない言葉を言っていたこともそうだし、シェイクジョーさんとフリードリーフが話している最中にもこの気配が近くにあったからな。
今頃、フリードリーフも秘密裏に投獄でもされているのだろう。
「やつは知りすぎた。すぐに投獄しろ。明日には私自らが国王様に報告をするから決して外部には漏らすな。いいな?」
「「「御意!」」」
シェイクジョーさんの言葉に騎士たちは息の揃った返事をすると、俺のことを強引に地面に押さえつけて手に太めの縄をかけた。
「抵抗はいいのか? まあ、したところで勝ち目はないがな。連れて行け。やつと同じ牢に投獄しろ。負け犬同士仲良くな」
「……」
シェイクジョーさんは無言を貫く俺に見ながらそう言い言うと、醜い笑みを浮かべてその場から立ち去った。
かくいう俺は抵抗しようとも考えていたが、ここはフリードリーフと会うチャンスなので、あえて捕まるという選択をした。
「立て! 自力で歩け!」
「……」
ニーフェさんとシェイクジョーさんの関係について騎士たちは知らないはずだが、不自然なくらい忠実に命令を守っているな。
ここもしっかりと調べないとな。
それにしてもまさかイグワイアに続いて、またもや国の問題に首を突っ込んでしまうとは。
自業自得とはいえ、今後はもう少し考えて行動しないといけないかもな。
「落ち着いてください。俺は別にあなたの敵じゃあないですよ」
シェイクジョーさんが剣を抜いてぐっと腰を低く構えたので、俺はそれを抑えるように、両手を上げて無抵抗な自分をアピールした。
「……」
シェイクジョーさんはその端正な顔立ちを不快感を隠すことなく歪めていた。
「どうです? 敵意がないことを理解してくれましたか?」
俺は敵意はなかった。今のところは……だが。
「……いいでしょう。ですが、まずはあなたが何者かを具体的かつ簡潔に教えてくれませんか?」
流石は騎士団長と言ったところか。
シェイクジョーさんはすぐに俺が敵意を持っていないことを見抜いたのか、両手で構えた剣を下におろして軽く脱力した。
「俺はゲイルです。ニーフェさんから頼まれて、あなたとウォーブルの状況を確認しに来ました。ニーフェさんが心配していましたよ?」
俺は少しずつシェイクジョーさんとの距離を詰めながら言った。
ニーフェさんの言葉とはまるで違うウォーブルの現況には数多くの疑問点があったので、ここで直接本人に聞いておきたい。
「……ニーフェ? そんな人は知りませんね」
シェイクジョーさんは平然と惚け始めたが、ほんの僅かだが視線が不規則に動いているので、あまり信用できる言葉ではないことがわかる。
だが、若くして騎士団長になっただけあって、表面上には動揺や心の乱れがほとんど見られないので、こちらも油断はできなさそうだ。
「そうですか。では、ウォーブルの現況と俺が持っている情報の相違点だけ言いますね」
俺はシェイクジョーさんとの距離が残り二メートルほだになったところで立ち止まり、少し首を上に傾けてシェイクジョーさんの目を見た。
「ウォーブルが干魃の事態に直面しているという情報は本当ですか? 仮に旱魃していないのだとしたら、ニーフェさんから貰った水の石はどこへいったのですか?」
俺はシェイクジョーさんの耳にしっかりと聞こえるように、ゆっくりと言葉を紡いでいった。
いきなり核心に迫りすぎたようにも思えるが、この問題の中心人物の一人であるシェイクジョーさんの顔色と、その後と対応を見れば全てが明らかになるので、俺は惜しみなく全ての手札を切った。
「旱魃? 水の石? 何のことだかわかりませんね……。そのようなこと言うためにここに来たのであれば、早急に立ち去ることをおすすめします」
シェイクジョーさんは俺から顔を背けると、嘲笑するように誤魔化した。同時に腰に垂らした麻袋の中から掌程の大きさしかない縦笛を取り出した。
何かをする気のようだ。まあ、大方予想がつく。
フリードリーフさんが立ち去る前から近くには複数の気配を感じていたからな。
「お気遣いどうも。残念ながら、俺は立ち去るわけにはいかないんですよ。ニーフェさんと約束をしたのでね」
俺は特に取り乱すことなくそう言いきった。
その事実について認める気はさらさらないらしいが、俺は双方の情報を知っているので、これである程度の善悪がはっきりした。
「そうですか。なら無理やりにでも失礼します——」
シェイクジョーさんは一瞬で息を吸い込んでから縦笛に口をつけると、縦笛は胸に響くような低い音を鳴らし始めた。
その瞬間に前後左右からシェイクジョーさんの部下であろう大勢の棋士が参上し、俺のことをグルリと囲った。
「……やはりか」
こうなることはある程度予想はしていた。
外部訓練やら内部訓練やら耳馴染みのない言葉を言っていたこともそうだし、シェイクジョーさんとフリードリーフが話している最中にもこの気配が近くにあったからな。
今頃、フリードリーフも秘密裏に投獄でもされているのだろう。
「やつは知りすぎた。すぐに投獄しろ。明日には私自らが国王様に報告をするから決して外部には漏らすな。いいな?」
「「「御意!」」」
シェイクジョーさんの言葉に騎士たちは息の揃った返事をすると、俺のことを強引に地面に押さえつけて手に太めの縄をかけた。
「抵抗はいいのか? まあ、したところで勝ち目はないがな。連れて行け。やつと同じ牢に投獄しろ。負け犬同士仲良くな」
「……」
シェイクジョーさんは無言を貫く俺に見ながらそう言い言うと、醜い笑みを浮かべてその場から立ち去った。
かくいう俺は抵抗しようとも考えていたが、ここはフリードリーフと会うチャンスなので、あえて捕まるという選択をした。
「立て! 自力で歩け!」
「……」
ニーフェさんとシェイクジョーさんの関係について騎士たちは知らないはずだが、不自然なくらい忠実に命令を守っているな。
ここもしっかりと調べないとな。
それにしてもまさかイグワイアに続いて、またもや国の問題に首を突っ込んでしまうとは。
自業自得とはいえ、今後はもう少し考えて行動しないといけないかもな。
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