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檻の中のフリードリーフ
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「へへへ、お前は明日にはこの世からいなくなるだろうよ! シェイクジョーさんに盾ついた者同士、冷たい檻の中で仲良くしてな!」
シェイクジョーの部下である数人の騎士は、俺のことを月明かりのみが差し込む薄暗い檻の中に放り込むと、ケタケタと笑いながらその場を後にした。
「……」
俺は結構な大きさがある檻の中をぐるりと見回した。
角の方に一つ用を足すための穴が設置しているだけで、それ以外のものは一切見当たらない。
この檻の中にいるのは俺ともう一人の男のみ。
「——アンタは何者だ? うちの国のもんじゃねぇだろ?」
用を足すための穴とは反対側の角に座っている一人の男が口を開いた。
「まあな。シェイクジョーの核心に迫ったら投獄されたんだ」
俺は男がいる場所に向かってゆっくりと歩きながら言った。
男との距離が縮まると同時に、やがて徐々に視界が暗闇に慣れていくことで、遂に男の顔がはっきりと見えた。
「そうかい。俺も少し警鐘を鳴らしたらこのザマさ。一国の騎士団長がこんな目に遭うなんて情けねぇよ」
フリードリーフは諦めを孕んだ笑みを浮かべていた。
よく見ると、銀色に輝く鎧と大剣を装備しておらず、なんともまあ騎士団長とは言い難いような格好になっていた。
かくいう俺も刀を奪われているので人のことは言えないが。
「……シェイクジョーについてはどこまで知っている?」
フリードリーフは一メートルほど離れた位置に腰を下ろした俺に聞いてきた。
石造りで硬く冷たい地面は、お世辞にも心地がいいとは言えない。
「……あいつは他国と何らかの取引をしている。国王様に内緒でな。確かに剣や魔法の腕は相当なもんだが、それだけで騎士団長になれるほど世間は甘くない。それに、俺の部下だったやつらも突然あいつに寝返ったから、何か隠していることは確かだな」
フリードリーフは一つため息をつくと、静かな口調で俺の知らないことまで事細かに教えてくれた。
それにしても国王に内緒で取引か。
フリードリーフの部下を寝返らせたことも含めて、かなり大きな利権が関係していそうだな。
「……」
「……アンタはどうなんだ?」
無言で情報の整理をしていた俺の顔を、フリードリーフは横目で見てきた。
「水の石……って聞いたことはあるか?」
「文献で見たことがあるな。かなり価値のある魔道具だったはずだが……まさかそれを?」
フリードリーフは少し考えるような素振りを見せたが、水の石が魔道具だということをすぐに答えた。
「ああ。シェイクジョーはある者を騙し込んで水の石を手に入れていた。取引ってのはそれを横流ししていたんだろうな。俺はシェイクジョーが善人で優しいやつっていうのを聞いていたんだけどな……」
俺は当初はシェイクジョーが善、フリードリーフが悪、という認識でいたのだが、その認識はあっという間に覆された。
俺がニーフェさんの悪意の全くない、良くも悪くも素直な言葉を信じきっていたからだ。
「あいつは外面が良くてズル賢いんだ。だから国民もあいつに好意的なんだ。そのせいで俺は相対的に評価されるハメになっているけどな」
俺はフリードリーフの個人的な愚痴が混ざったような言葉を聞きながら、その場に立ち上がって辺りの気配を探るとともに、鉄格子に手を当てて硬さを確かめた。
「何をしてんだ? ここには武器もないし、その鉄格子は魔法を通さないんだ」
フリードリーフは俺の行動を見て呆れたような口調で言った。
「安心しろ。そもそもの自力が違うんだ。こんな鉄格子くらい素手で破壊できるさ——ほらな?」
俺は魔法を通さないこと以外に関しては普通の硬さと形状の鉄格子を、素手で力任せに捻じ曲げた。
鉄格子はすぐにぐにゃりと歪み、人一人分が悠々と通れるスペースを作り出す。
「……馬鹿なのか」
フリードリーフは驚きの表情を浮かべていたが、俺に送られた言葉は賛辞ではなく、化け物を見るような口調で紡がれた悪口だった。
俺はそんな言葉をスルーして檻の外へ出た。
目の前にある階段を上って分厚い扉を開ければ、そこはもう敵が彷徨く危険地帯だ。
覚悟を決めていくべきだろう。
「いくぞ」
俺一人だけの情報だと不安が残ったが、この人の話を聞けたことで情報の信憑性がグッと高まった。
敬語や呼び方などに関しては既にどうでも良くなっており、俺は数年間に渡ってシェイクジョーの言葉に騙されていたニーフェさんに早く真実を伝えたくなっていた。
シェイクジョーの部下である数人の騎士は、俺のことを月明かりのみが差し込む薄暗い檻の中に放り込むと、ケタケタと笑いながらその場を後にした。
「……」
俺は結構な大きさがある檻の中をぐるりと見回した。
角の方に一つ用を足すための穴が設置しているだけで、それ以外のものは一切見当たらない。
この檻の中にいるのは俺ともう一人の男のみ。
「——アンタは何者だ? うちの国のもんじゃねぇだろ?」
用を足すための穴とは反対側の角に座っている一人の男が口を開いた。
「まあな。シェイクジョーの核心に迫ったら投獄されたんだ」
俺は男がいる場所に向かってゆっくりと歩きながら言った。
男との距離が縮まると同時に、やがて徐々に視界が暗闇に慣れていくことで、遂に男の顔がはっきりと見えた。
「そうかい。俺も少し警鐘を鳴らしたらこのザマさ。一国の騎士団長がこんな目に遭うなんて情けねぇよ」
フリードリーフは諦めを孕んだ笑みを浮かべていた。
よく見ると、銀色に輝く鎧と大剣を装備しておらず、なんともまあ騎士団長とは言い難いような格好になっていた。
かくいう俺も刀を奪われているので人のことは言えないが。
「……シェイクジョーについてはどこまで知っている?」
フリードリーフは一メートルほど離れた位置に腰を下ろした俺に聞いてきた。
石造りで硬く冷たい地面は、お世辞にも心地がいいとは言えない。
「……あいつは他国と何らかの取引をしている。国王様に内緒でな。確かに剣や魔法の腕は相当なもんだが、それだけで騎士団長になれるほど世間は甘くない。それに、俺の部下だったやつらも突然あいつに寝返ったから、何か隠していることは確かだな」
フリードリーフは一つため息をつくと、静かな口調で俺の知らないことまで事細かに教えてくれた。
それにしても国王に内緒で取引か。
フリードリーフの部下を寝返らせたことも含めて、かなり大きな利権が関係していそうだな。
「……」
「……アンタはどうなんだ?」
無言で情報の整理をしていた俺の顔を、フリードリーフは横目で見てきた。
「水の石……って聞いたことはあるか?」
「文献で見たことがあるな。かなり価値のある魔道具だったはずだが……まさかそれを?」
フリードリーフは少し考えるような素振りを見せたが、水の石が魔道具だということをすぐに答えた。
「ああ。シェイクジョーはある者を騙し込んで水の石を手に入れていた。取引ってのはそれを横流ししていたんだろうな。俺はシェイクジョーが善人で優しいやつっていうのを聞いていたんだけどな……」
俺は当初はシェイクジョーが善、フリードリーフが悪、という認識でいたのだが、その認識はあっという間に覆された。
俺がニーフェさんの悪意の全くない、良くも悪くも素直な言葉を信じきっていたからだ。
「あいつは外面が良くてズル賢いんだ。だから国民もあいつに好意的なんだ。そのせいで俺は相対的に評価されるハメになっているけどな」
俺はフリードリーフの個人的な愚痴が混ざったような言葉を聞きながら、その場に立ち上がって辺りの気配を探るとともに、鉄格子に手を当てて硬さを確かめた。
「何をしてんだ? ここには武器もないし、その鉄格子は魔法を通さないんだ」
フリードリーフは俺の行動を見て呆れたような口調で言った。
「安心しろ。そもそもの自力が違うんだ。こんな鉄格子くらい素手で破壊できるさ——ほらな?」
俺は魔法を通さないこと以外に関しては普通の硬さと形状の鉄格子を、素手で力任せに捻じ曲げた。
鉄格子はすぐにぐにゃりと歪み、人一人分が悠々と通れるスペースを作り出す。
「……馬鹿なのか」
フリードリーフは驚きの表情を浮かべていたが、俺に送られた言葉は賛辞ではなく、化け物を見るような口調で紡がれた悪口だった。
俺はそんな言葉をスルーして檻の外へ出た。
目の前にある階段を上って分厚い扉を開ければ、そこはもう敵が彷徨く危険地帯だ。
覚悟を決めていくべきだろう。
「いくぞ」
俺一人だけの情報だと不安が残ったが、この人の話を聞けたことで情報の信憑性がグッと高まった。
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