決着は来世でつけると約束した勇者と魔王はお隣さんで幼馴染になる

八神 凪

文字の大きさ
47 / 48

49.提案と刺客

しおりを挟む
「放課後……!!」
「誰に言っているんですかアセーファ先生」

 教室の入口に向かってカッと見開くアセーファに、今日の日直当番の生徒が呆れた眼差しを向けていた。

「またフィアーム先生が来るかもしれないじゃないですか……!」
「逃げなきゃいいのに……そんじゃバイバイー先生!」
「売買……!? 売られる!?」
「酷い勘違いですね!?」
「相変わらずだなあ」
「まあいつもこの時間にフィアーム副学長いるものね」

 そんな会話の中、ロイ達もギルドへ向かおうかと準備を進めていた。
 フィーシアが入口に目を向けながら苦笑していると、不意にフィアームが現れた。

「出たぁぁぁ!?」
【うるさいぞアセーファ先生。今日は先に教員室へ行ってくれ。私はロイ君達に用があるのだ】
「おや、どうしたんですか?」
「なんでアセーファ先生が聞くのさ……それで実際なにかあったんですか?」
【それは……ふむ、ここではなんだな。移動しよう】

 フィアームの言葉になぜか近づいてきたアセーファが首を傾げ、ミトラがため息を吐いて質問をし直した。
 すると彼は頷いてから、この場を移動すると示唆してきた。
 ロイ達は顔を見合わせてからギルドへ急ぎたい気持ちを抑えてフィアームに着いていく。
 副学長室へ到着すると、ひとまず立ったまま話を聞くことになった。

「どうして呼ばれたんですか?」
【ロイ君はともかく、他のメンバーがギルドに行くというのを聞いてな。もしこのまま続けるなら部として設立しないかと思ったのさ】
「部……!? いや、学生がするのはあまり良くないって……」
【確かにそうだ。だが、平民で冒険者志望の者なども居る。自己責任ではあるが、引率の教員が居ればいいのではないかと思ってな。実際、過去に希望者がいた】

 ギルド部(仮)を作ってみようという試みらしいことを口にする。今後、そういう需要も出てくるのではとのこと。

「なるほど」
「本当のところは?」

 フィーシアが納得した後、リアムが本当は? と尋ねる。するとフィアームはため息を吐きながら言う。

【流石に貴族の子が、親の許可があるとはいえ学院側が素知らぬ顔もできない。だからテリアがそうしようと言ったのだ】
「あー……」
「確かにロイやリアムが強いとはいえ、子供だけで放置している形になるか」
【逆に言えば、学院の外でなにをやっていても気にしなくていいのだが、ロイ君のように学生が出入りしているなら『自分も』となるだろう】

 勝手にいく者も居るかもしれない。ギルドはもちろん弾くが、無駄な時間を使わされるため不満は起こるだろうと。
 だから許可をするのであれば教員引率を軸にし、監視を兼ねてまとめた方がお互いいい関係になれる。

「教員は決まっているんですか?」
【なんでお前がいるのだアセーファ先生……いや、決まっていない】

 そこで何故かついてきていたアセーファが勝手にお茶を入れながら尋ねてきた。
 フィアームが呆れながら返すと、続けてリアムが口を開く。

「というか私と先輩は歴史研究部だからギルド部には入らないですよ?」
【まあ、そこはまだ決まっていないから保留だ。とりあえずギルド部、作ってみないか?】
「うーん……」

 ロイは一通り話を聞いて、腕組みをして考える。正直なところ、この話はスルーしたいと考えている。

「(単純にお金が欲しいだけだからなあ俺って。魔物討伐が受けにくくなるのは避けたいんだけど――)」
「どうするの? もし部を作るなら色々援助するけど」
「僕もいいよ」
「……よし、ちょっと考えさせてください」
【そうか。まあ、教員も決まっていないし今日は話だけでもと思っていただけだからな。引き留めて悪かった】
「いえ! 悪くないとは思うんですが、やっぱり危険なので」
【こちらもルールは考えておくよ】
「また明日ねー」
【お前も教員室へ行くんだ……!!】

 ロイの言葉にフィアームが理解を示していた。ついでにアセーファをしかりつける。そんなやり取りを苦笑しながらロイ達はギルドへ向かった――

◇ ◆ ◇

「あ、あの、ゴルドさん。どうしてギルドへ……?」
「あいつの後を追うためだ」
「ロイってやつのことですかい?」

 一方そのころ、ギルドの近くにはゴルドと取りまきの二人が隠れていた。
 サダが困惑しながら尋ねると、ゴルドは緊張な面持ちで答える。
 ウガがロイのことかと聞いたところ無言で頷いた。

「マジでギルドに出入りしているのか……」
「ああ。最近はクラスメイト達を連れている」
「ひぇ……確かに強かったと思いますが、そこまでとは……」

 取りまき二人は自分達には考えられないと身震いする。だが、ゴルドは二人へ言う。

「村人たちを追いかけて、実際になにをやっているか確認する。魔物と遭ったら戦闘になる。武器は……持っているな」
「「え!?」」
「っと、来たようだ。もう少し待つか――」
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...