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しおりを挟む「あの、このままセックスも……しますか? 一応、ググりました……肛門に……ですよね。入るかわかりませんが……」
春の申し出に孝太郎は、無理です、と答えた。
「そんなのいきなり入りませんよ! それはその、上級者のやつです!」
「そうなんですか?」
「おれは今したのも……セックスやと思います」
そう言った孝太郎に春は、えへへ、と笑顔を見せて抱きつく。
「じゃたぼくたちセックスしちゃったってことですか」
「裸でそんなやらしい事言わないで下さい……」
欲情した孝太郎がキスを仕掛け、また腰を押し付けてペニスを擦り付ける。また1度ずつ達してから申し訳無さそうに孝太郎は言った。
「……あの、ご飯にしましょうか。このまま裸でいたらもう延々しちゃいそうで」
「あ、気づかなくてすみません! 孝太郎くんお腹空いてますよね。そうしましょう!」
シャワーしてきます、と春は落ちていた服を抱えて裸のまま浴室に駆けて行った。孝太郎は起き上がり、キッチンに移動して手を洗う。そして大きなお鍋に水を入れて火にかけてから浴室のドアを開けた。裸でシャワーを浴びていた春がビクッとして振り返る。
「春さん、おれもシャワー……」
「あ、出ます」
そう言ってそそくさと出ようとした春に孝太郎は甘えるように抱き留めてキスを仕掛ける。春が、あの、と意を決したように切り出した。
「ぼくの身体……どう思いますか?」
「どうって……めちゃくちゃエッチで肌もすべすべでたまらんかったですけど……今も」
真顔でそんな感想を述べた孝太郎に、そうじゃなくて、と春は否定した。
「筋肉ないの、嫌じゃないですか?」
「全く。どうでもいいです」
「ぼく、体育会系じゃないですけど……」
孝太郎は春の指にあるペンだこを愛おしそうに撫でて答えた。
「文化系、ですよね春さん。好きです」
そう言って指にキスすると春は顔を赤らめて、先に浴室から出て行った。シャワーを終えた孝太郎は服を着て、キッチンに戻る。冷凍していたベーコンとしめじをフライパンで軽く炒めてから、冷蔵庫にあった生クリームの残り、コンソメ、粉チーズを目分量で入れていった。パスタ用のお皿を出しながら春が言った。
「いつも思うんですけど、孝太郎くんレシピ一切見ないのすごいですよね」
「逆に見るの面倒で」
「それで美味しいのが凄いです」
お湯が湧いてからパスタを茹でて、ソースと絡めて2人分のお皿に綺麗に盛り付けた。あっという間にできたパスタに春が、美味しそう! とはしゃぐ。いただきます、といつものように向かいあって手を合わすともう、何事もなかったかのようにいつも通りの2人だった。孝太郎が、春さん、と声をかける。春が顔をあげると孝太郎が言った。
「今から仕事しますか?」
「そのつもりでしたけど……」
そう春が答えると孝太郎が寂しそうな顔をしたので春は、後回しにします、と答えた。
「今は孝太郎くんと一緒に寝て、仕事は起きてからしようかな」
孝太郎はパァッと笑顔になったがすぐに、あ、と声を上げて眉を下げた。
「……でも迷惑じゃないですか? おれに生活リズム合わせるの。疲れてほしくないです」
「いえ。実は昨日緊張して全然寝れてないのでめちゃくちゃ眠くて。食べながら眠くなってきちゃいました」
孝太郎が、はは、と笑う。春は言った。
「ぼく自由業でよかったって思ってます。もし普通のフルタイム会社員だったら孝太郎くんと時間合わないじゃないですか。だから……よかったです。ね、一緒に寝ましょう」
ふふ、と笑った春から目をそらし孝太郎は言った。
「なんか今頃になって……死ぬほど緊張してきました……」
「え! なんでですか」
「おれどっか変じゃなかったですか? 夢中になって途中気ぃ使えんかったし……」
「そんなのぼくの方が……ちょっと、やめましょう。普通のときにその話するの」
むず痒い空気の中、パスタを食べ終わる。片付けを終えてから洗面所で2人並んで歯磨きをした。ベッドに入ってから、春が孝太郎に抱きついて言った。
「心臓、凄い」
「だって好きやから……」
どちらともなくまた、キスを繰り返す。春が孝太郎の脚に自分の脚を絡ませると、孝太郎が言った。
「もう変なことはしないんで少しだけ……触りたいです」
春が頷くと孝太郎は春の服の裾から手を入れてお腹を触る。
「ッ……前から思ってたんですけど……孝太郎くんぼくのお腹よく触りますよね」
「嫌でした?」
「嫌じゃないけど……恥ずかしいです、筋肉ないから」
そう言った春のお腹を愛しげに撫でて孝太郎は言った。
「筋肉いらないです。おれ、ご飯食べたあとの春さんのお腹触るの好きなんです。ちょっとぽこっとしてるの。おれの飯いっぱい食べてくれたなーって」
春は、あの、と切り出した。
「裸で寝るの……駄目ですか。2人とも」
「全然駄目じゃないです」
そう答えた孝太郎は服を脱ぎ、床に落とす。春ももぞもぞと脱いで裸になった。横になり、布団の中で抱き合うと肌と肌がぴったりと密着する。孝太郎は春の感触を確かめるように、脊椎に沿って手を滑らせた。
「春さんの肌……気持ちいい……」
「骨っぽくないですか?」
「そこがセクシーです」
ええ? と春は呆れたように笑った。孝太郎は春の身体を挟み込むように、脚を絡ませる。春がしがみつくように抱き返すと孝太郎はいっそう強く抱きしめた。
「春さんほんまに大好きです。好き……春さん、どうしよう。もう全部好きすぎてやばいです……死にそう」
そう言って縋り付く孝太郎に春は言った。
「また泣いてる。目腫れちゃいますよ。明日も夜、お仕事でしょう」
孝太郎は、今日だけはいいんです、と幸せそうに笑った。
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