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第1章
第8話『頼みごとの仕方』
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ここまで悪魔ベルフェゴールに語ったけど、もちろん朔摩義兄さんや白梅姉さんのことは言っていない。
「うーん、きみたちの世界は、完璧な地下空間を作り上げた上に
天渡衆なんて個性的な職業があるんだねぇ~。面白いなぁ」
「お前の世界とは似ていないのか?」
なんとなく……コイツの地元と違っていてほしいと思う。
「あんまり似てない~。特に《神》がいないのが、この世界の一番の個性だと思う。
それに人間だって……なーんかぼくらの世界と違う気がするぅ」
「どこが? 見た目の話か?」
「───なぜかぁ、ぼくにも分からない。欲が少ない……? 環境のせい? うーん」
向こうの世界の人間たちも、地上時代の人類みたいに「もっともっと」と欲しがってるんだろうか。
悪魔は金髪をふらふら揺らしながら、何やら独り言を呟いている。
「ぼくらの科学技術より上……かぁ。教主って何者~?」
「人口は大体1万人ねぇ、いつから地下にいるんだろ」
「獣の体を借りて地上……危険……収支合ってるぅ?」
小声すぎて、何を言ってるのかよく聞こえないけど、もうこのまま放っておくか。
いい加減、人を呼びに行こうと席を立つと。
悪魔は白い本……『ラツィエルの書』を取り出して、やたらと開閉しながら俺の目を見て嗤う。
「──あ、おしっことか、したくなった? それなら僕に言ってねぇ」
「? なんでお前に言わなきゃ……──!?」
外への扉が開かない。生体認証がさっぱり反応していないらしい。
呼出端末、監視映写機に続いて……。これは、もしかしなくても。
「………どうやったんだ」
「意外と気づくの遅かった~。本をパタパタしてる姿、健気すぎて……くふふ。
さっきも言ったと思うけど、ぼくは《怠惰》を司る悪魔だからさ。機械に権能があるのぉ。
あれって要は、楽するために作られたものだしね~」
さすがに青ざめる俺に向かって、やけに自慢げに言う。
「だからぼくが機械生命体の大元をハッキング──破壊しろって、サタンに派遣されたんだよぉ」
まずい。
男は「でもガブ……ルとか、メタトロンでも良かったじゃん~…」などとグチっぽく何か言っているが、それどころじゃない。
この地下居住区は、教主様が遠隔で管理している機械と人工知能によって支えられている。
機械に権能があるとかいうコイツが、悪意を持って操作してしまったら。
(誰だって分かる。空気・水・熱──すべてが致命的。俺たちはどこにも逃げられない……!)
冷や汗が吹き出てくる。誰もここに来ないのなんて、当たり前だった。
どうにかしないと。どうすれば……どうすればいい。まずは考える時間が必要だ。
「……えへへ、きみがさっき言ってた『頼みごとの仕方』だっけ?もちろん知ってるよぉ。
①物で釣る➁恩をチラつかせる③情に訴える。そんでもって、④暴力で脅す───でしょ?」
命の恩人だなんて言葉に惑わされた俺がバカだった。
必ず、巻き返してみせる………巻き返さなければ。
「うーん、きみたちの世界は、完璧な地下空間を作り上げた上に
天渡衆なんて個性的な職業があるんだねぇ~。面白いなぁ」
「お前の世界とは似ていないのか?」
なんとなく……コイツの地元と違っていてほしいと思う。
「あんまり似てない~。特に《神》がいないのが、この世界の一番の個性だと思う。
それに人間だって……なーんかぼくらの世界と違う気がするぅ」
「どこが? 見た目の話か?」
「───なぜかぁ、ぼくにも分からない。欲が少ない……? 環境のせい? うーん」
向こうの世界の人間たちも、地上時代の人類みたいに「もっともっと」と欲しがってるんだろうか。
悪魔は金髪をふらふら揺らしながら、何やら独り言を呟いている。
「ぼくらの科学技術より上……かぁ。教主って何者~?」
「人口は大体1万人ねぇ、いつから地下にいるんだろ」
「獣の体を借りて地上……危険……収支合ってるぅ?」
小声すぎて、何を言ってるのかよく聞こえないけど、もうこのまま放っておくか。
いい加減、人を呼びに行こうと席を立つと。
悪魔は白い本……『ラツィエルの書』を取り出して、やたらと開閉しながら俺の目を見て嗤う。
「──あ、おしっことか、したくなった? それなら僕に言ってねぇ」
「? なんでお前に言わなきゃ……──!?」
外への扉が開かない。生体認証がさっぱり反応していないらしい。
呼出端末、監視映写機に続いて……。これは、もしかしなくても。
「………どうやったんだ」
「意外と気づくの遅かった~。本をパタパタしてる姿、健気すぎて……くふふ。
さっきも言ったと思うけど、ぼくは《怠惰》を司る悪魔だからさ。機械に権能があるのぉ。
あれって要は、楽するために作られたものだしね~」
さすがに青ざめる俺に向かって、やけに自慢げに言う。
「だからぼくが機械生命体の大元をハッキング──破壊しろって、サタンに派遣されたんだよぉ」
まずい。
男は「でもガブ……ルとか、メタトロンでも良かったじゃん~…」などとグチっぽく何か言っているが、それどころじゃない。
この地下居住区は、教主様が遠隔で管理している機械と人工知能によって支えられている。
機械に権能があるとかいうコイツが、悪意を持って操作してしまったら。
(誰だって分かる。空気・水・熱──すべてが致命的。俺たちはどこにも逃げられない……!)
冷や汗が吹き出てくる。誰もここに来ないのなんて、当たり前だった。
どうにかしないと。どうすれば……どうすればいい。まずは考える時間が必要だ。
「……えへへ、きみがさっき言ってた『頼みごとの仕方』だっけ?もちろん知ってるよぉ。
①物で釣る➁恩をチラつかせる③情に訴える。そんでもって、④暴力で脅す───でしょ?」
命の恩人だなんて言葉に惑わされた俺がバカだった。
必ず、巻き返してみせる………巻き返さなければ。
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