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第1章
第9話『赤く止まった足元に』
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本性を見せたベルフェゴールは、白々しくもまだ電子錠につながれたまま。
寝台で横たわって、こちらの様子を伺っている。
(コイツは自分のことを『怠惰の悪魔』だと言っていた……ってことは、無駄を嫌うはず。
考えろ……考えろ! なんでこうなってる、なんで俺に契約を持ち掛けた……?)
口の中がカラカラに渇いて──その割に、頭はどんどん冷えてくる。
(…………これは賭けだけど。少なくとも、興味は惹ける!)
「ねぇ、」
「お前、穏便に済ませたいんだろ? だからこんな回りくどいやり方してる」
「…………」
横長の瞳孔がキュッと狭まった。──やたらと嬉しそうな顔をして。
正解、だったか……? 怯みそうになる心を叱咤して続ける。
「俺は何をされても、納得できない契約はしない。小屋の外は包囲されてるだろう。
───里中で暴れるか? 魔力が余ってればの話だけど」
「……お~」
「電子錠を壊した方が脅せるのに、よほどカツカツなんだな。
機械生命体を壊すのにはもちろん、
自分の世界へ帰るためにも、出来るだけ温存しておきたい……だろ?」
強気にそう言い切れば、感激したように拍手してきた。
「エラいっ! 冷静によく判断できましたぁ。うぅーん、やっぱり気に入っちゃった……。
契約するのはきみがいいよぉ、面倒くないのもとてもイイ!」
「………なぜ俺に目をつけた」
小屋に到着するまで、他の先輩たちがいたのに。
「えー、そんな理由知りたい? どこが好き~?なんて、女の子みたいっ」
「ぜひ知りたいね。そんな風に挑発して、はぐらかすなら余計に。
聞かれたことには答えるんだろ?」
「………ぼくたち悪魔は、人間の足元から揺らぎが見えるんだぁ。
それが何を指してるのか、実はハッキリ分かってないんだけど。
揺らいでるほど誘惑しやすい、ってのはあるかもぉ?」
嘘の可能性もあるけど、今はその必要がなさそうだ。
「俺はそんなに揺らいでたってことか?」
「逆、逆。ピシィッって静止してて……まぁ、それは聖職者で時々みるんだけど。
それだけじゃなくて──とっても、ぼく好みの赤でねぇ……。
もうグッと来ちゃってさぁ、この子を落としたら楽しそ~って」
気色悪い言い方をされてゾッとする。俺に嫌われる天才か……?
ベルフェゴールは恍惚の表情で続けた。
「───経験上、きみは必ず苦しむよ。その代わり、大きなことも成し遂げる。
こんな辺鄙な世界まで来て、面倒いことするんだからさ。
せっかくなら愉快な子と遊びたいよぉ」
つくづく説得する気があるのかと疑問に思うけど。
「そんなに俺を気に入ったなら、考える時間くらい寄越せよ。前向きに検討してる」
そう言えば、悪魔は寝台の上で頬杖をつきながら、
「じゃあぼくらが出会うまでの続きっ! それが終わるまでは待ったげる。
………さっき端折ってたでしょ?
時間が欲しいなら、今度はもっと詳しいトコまで聞かせてよぉ」
と、こちらの足元を見てせがむのだった。
自宅で幼馴染を迎える所から、だっただろうか。
───あの日常は、大切な思い出なのに。まるでこれから、穢されるようだった。
寝台で横たわって、こちらの様子を伺っている。
(コイツは自分のことを『怠惰の悪魔』だと言っていた……ってことは、無駄を嫌うはず。
考えろ……考えろ! なんでこうなってる、なんで俺に契約を持ち掛けた……?)
口の中がカラカラに渇いて──その割に、頭はどんどん冷えてくる。
(…………これは賭けだけど。少なくとも、興味は惹ける!)
「ねぇ、」
「お前、穏便に済ませたいんだろ? だからこんな回りくどいやり方してる」
「…………」
横長の瞳孔がキュッと狭まった。──やたらと嬉しそうな顔をして。
正解、だったか……? 怯みそうになる心を叱咤して続ける。
「俺は何をされても、納得できない契約はしない。小屋の外は包囲されてるだろう。
───里中で暴れるか? 魔力が余ってればの話だけど」
「……お~」
「電子錠を壊した方が脅せるのに、よほどカツカツなんだな。
機械生命体を壊すのにはもちろん、
自分の世界へ帰るためにも、出来るだけ温存しておきたい……だろ?」
強気にそう言い切れば、感激したように拍手してきた。
「エラいっ! 冷静によく判断できましたぁ。うぅーん、やっぱり気に入っちゃった……。
契約するのはきみがいいよぉ、面倒くないのもとてもイイ!」
「………なぜ俺に目をつけた」
小屋に到着するまで、他の先輩たちがいたのに。
「えー、そんな理由知りたい? どこが好き~?なんて、女の子みたいっ」
「ぜひ知りたいね。そんな風に挑発して、はぐらかすなら余計に。
聞かれたことには答えるんだろ?」
「………ぼくたち悪魔は、人間の足元から揺らぎが見えるんだぁ。
それが何を指してるのか、実はハッキリ分かってないんだけど。
揺らいでるほど誘惑しやすい、ってのはあるかもぉ?」
嘘の可能性もあるけど、今はその必要がなさそうだ。
「俺はそんなに揺らいでたってことか?」
「逆、逆。ピシィッって静止してて……まぁ、それは聖職者で時々みるんだけど。
それだけじゃなくて──とっても、ぼく好みの赤でねぇ……。
もうグッと来ちゃってさぁ、この子を落としたら楽しそ~って」
気色悪い言い方をされてゾッとする。俺に嫌われる天才か……?
ベルフェゴールは恍惚の表情で続けた。
「───経験上、きみは必ず苦しむよ。その代わり、大きなことも成し遂げる。
こんな辺鄙な世界まで来て、面倒いことするんだからさ。
せっかくなら愉快な子と遊びたいよぉ」
つくづく説得する気があるのかと疑問に思うけど。
「そんなに俺を気に入ったなら、考える時間くらい寄越せよ。前向きに検討してる」
そう言えば、悪魔は寝台の上で頬杖をつきながら、
「じゃあぼくらが出会うまでの続きっ! それが終わるまでは待ったげる。
………さっき端折ってたでしょ?
時間が欲しいなら、今度はもっと詳しいトコまで聞かせてよぉ」
と、こちらの足元を見てせがむのだった。
自宅で幼馴染を迎える所から、だっただろうか。
───あの日常は、大切な思い出なのに。まるでこれから、穢されるようだった。
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