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第1章
第12話『憧れの天渡衆』
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四人で大いに食べて、すっかり満腹になった後。朔摩義兄さんは、感心したように微笑みながら言う。
「こんなに食べたのは久し振り。
八兼がここまで大きくなったのは、きっと妹の料理のお陰だね」
それを受けた男は、なぜか複雑そうな顔をしながら、
「……そうとも、言えますかね……。はい……。そのうち話しますよ……」
と歯切れが悪い。
標準体型の俺と違って、この親友は190を超えた長躯で、やたらと育った筋肉。童顔のくせに。
対して柚芽もちょっと小柄。どうも胸と尻だけに、すべての栄養がいったらしい。
そんな柚芽は当然の反応だが、褒められて誇らしげだ。
「えへへ、ありがとうございます。ねえ紅、美味しかった? 女子力高いでしょ?」
「高い高い。ほんとに旨かったよ、ありがと!
特にあの汁物なんだったんだ? 鶏肉……ニワトリじゃないよな? 一番いけた」
そう素直に告げると、「わーい」と過剰なまでに喜びながら、
「あれはねえ、キジなんだよ。お肉はさっぱりしてるけど、お出汁が濃厚でしょう?
気に入ってくれたんなら、今度はお鍋にしてみるね」
と提案してくれる。もちろんお願い、と答えれば、頬を赤らめて嬉しそうだ。
すると、朔摩義兄さんが片付け始めたので、慌てて八兼と汚れた皿をまとめて洗い始める。じゃないと叱られる。
この人は小さくてあどけない顔立ちなのに、威厳というか圧が凄い。戦っても絶対勝てないということは、幼い時に身をもって叩き込まれたので……。
◆◆◆◆
その後、それぞれに他愛の無い話をしてから二人は帰宅した。
八兼ときたら「クレはたぶん合格するよー。なんとなくそう思う」と適当なことを言い残して。
──まあ、あいつのカンは妙に当たるから、ちょっと期待しちゃうけど。
そう思いながら、早めについた寝床でしみじみと決意を新たにする。
(俺は地上へ行って………自分の手で新しい本を探したい)
地上時代の作品はそれなりに流通してるけど、引用にあった題名を情報統合局に問い合わせても、「写しが無いから製本できない」と言われることが、かなり多い。
それに地上で遺物として見つけても、紙だから損傷が激しく……触るだけで破れることが多いらしいから、あまり増えないという実情がある。
(だけど天渡衆になって出世すれば、本を中心に捜索できる機会を作れるかもしれないし!)
自分で見つけたら特別引換券も大幅に割引される特典つき。
俺が地上を目指すのは、まだ見ぬ名著を手にするためなのだ。
それにしても中々眠れないかもと心配していたけど、心地よい満腹感のために瞼が重くなる。
ああ、それにしてキジ、旨かったな…。
◆◆◆◆
寝台で脚をバタつかせているベルフェゴールは、
「なんだかぼくもお腹すいてきたぁ」
と言い出した。
大した興味もなかったけど、
「悪魔って人間と同じもの食べるのか?」
なんて尋ねたら、気色の悪いことを告げられた。
「餓死なんてしないけど、ぼく料理上手なんだよぉ。絶対その女の子にも負けないよ?
契約してくれた後に、作ってあげるね」
「………間に合ってる。本当に」
「こんなに食べたのは久し振り。
八兼がここまで大きくなったのは、きっと妹の料理のお陰だね」
それを受けた男は、なぜか複雑そうな顔をしながら、
「……そうとも、言えますかね……。はい……。そのうち話しますよ……」
と歯切れが悪い。
標準体型の俺と違って、この親友は190を超えた長躯で、やたらと育った筋肉。童顔のくせに。
対して柚芽もちょっと小柄。どうも胸と尻だけに、すべての栄養がいったらしい。
そんな柚芽は当然の反応だが、褒められて誇らしげだ。
「えへへ、ありがとうございます。ねえ紅、美味しかった? 女子力高いでしょ?」
「高い高い。ほんとに旨かったよ、ありがと!
特にあの汁物なんだったんだ? 鶏肉……ニワトリじゃないよな? 一番いけた」
そう素直に告げると、「わーい」と過剰なまでに喜びながら、
「あれはねえ、キジなんだよ。お肉はさっぱりしてるけど、お出汁が濃厚でしょう?
気に入ってくれたんなら、今度はお鍋にしてみるね」
と提案してくれる。もちろんお願い、と答えれば、頬を赤らめて嬉しそうだ。
すると、朔摩義兄さんが片付け始めたので、慌てて八兼と汚れた皿をまとめて洗い始める。じゃないと叱られる。
この人は小さくてあどけない顔立ちなのに、威厳というか圧が凄い。戦っても絶対勝てないということは、幼い時に身をもって叩き込まれたので……。
◆◆◆◆
その後、それぞれに他愛の無い話をしてから二人は帰宅した。
八兼ときたら「クレはたぶん合格するよー。なんとなくそう思う」と適当なことを言い残して。
──まあ、あいつのカンは妙に当たるから、ちょっと期待しちゃうけど。
そう思いながら、早めについた寝床でしみじみと決意を新たにする。
(俺は地上へ行って………自分の手で新しい本を探したい)
地上時代の作品はそれなりに流通してるけど、引用にあった題名を情報統合局に問い合わせても、「写しが無いから製本できない」と言われることが、かなり多い。
それに地上で遺物として見つけても、紙だから損傷が激しく……触るだけで破れることが多いらしいから、あまり増えないという実情がある。
(だけど天渡衆になって出世すれば、本を中心に捜索できる機会を作れるかもしれないし!)
自分で見つけたら特別引換券も大幅に割引される特典つき。
俺が地上を目指すのは、まだ見ぬ名著を手にするためなのだ。
それにしても中々眠れないかもと心配していたけど、心地よい満腹感のために瞼が重くなる。
ああ、それにしてキジ、旨かったな…。
◆◆◆◆
寝台で脚をバタつかせているベルフェゴールは、
「なんだかぼくもお腹すいてきたぁ」
と言い出した。
大した興味もなかったけど、
「悪魔って人間と同じもの食べるのか?」
なんて尋ねたら、気色の悪いことを告げられた。
「餓死なんてしないけど、ぼく料理上手なんだよぉ。絶対その女の子にも負けないよ?
契約してくれた後に、作ってあげるね」
「………間に合ってる。本当に」
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