私がガチなのは内緒である

ありきた

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3章 一線を越えても止まらない

16話 ひたすらイチャイチャ

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 日曜日の朝。萌恵ちゃんのキスで目を覚ますと同時に、身動きできないことに気付く。
 深く考えずとも原因はすぐに理解できた。
 私を絶対に離さないという意思表示かのように力強く、それでいて痛みをまったく感じない慈しみのある抱擁。
 意図してか偶然か、腕だけは自由に動かせる。キスを続けながら、私の方からもギュッと抱きしめる。

「萌恵ちゃん、おはよう」

「おはよ~。んふふっ、真菜大好き~っ」

 キスの合間に朝のあいさつを交わしたら、すぐさま再開。
 唇や舌の感触、甘く熱い吐息を味わっていると、あまりの快感に脳が蕩けそうになる。
 シンプルなキスの魅力も計り知れないけど、私たちはただ唇を重ねているだけではない。
 口内の唾液を丸ごと交換するように舌を濃密に絡ませ、息継ぎのわずかな時間でさえも、相手の唇をペロペロと舐めたりして有効活用する。果てしなく淫靡にも思えるけど、純粋な想いが溶け合う至極清廉な行為だ。

***

 いつもより長めに布団で過ごした後は、朝の支度を済ませて散歩に出発する。
 玄関で腰を下ろして靴を履いていると、萌恵ちゃんが後ろからそっと抱き着いてきた。
 あえて必要以上に時間をかけ、背中に伝わる温もりと柔らかさを堪能する。

「真菜~っ、大好きっ! 愛してるっ!」

 玄関を出るや否や、私を昇天させかねない言葉を発しつつ腕に抱き着く萌恵ちゃん。
 私も素直な気持ちを伝え、密着したまま足並みをそろえて歩き出す。

***

 散歩も終盤に差しかかり、住宅街の中心部にある小ぢんまりとした公園の公衆トイレに足を運ぶ。
 尿意を催したわけではない。切なそうに目を細める萌恵ちゃんに導かれるまま、同じ個室に入って鍵をかけた。
 壁を背に立ち、狭い空間で萌恵ちゃんと向き合う。
 さびれた雰囲気を感じさせるものの手入れが行き届いており、公衆トイレ特有の悪臭もない。
 以前学校のトイレでキスした際の記憶が脳裏に浮かび、否応なく期待に胸が膨らむ。

「真菜、ごめんね。あたし……家まで我慢できそうにないっ」

 ドンッと扉に手を突き立て、十数分ぶりに唇を奪われる。
 ついさっきまで物音一つなかった場所も、いまはもう静寂とは無縁だ。
 洗い息遣い、粘着質な水音、衣擦れや扉が軋む音。私たちのキスによって、この空間に様々な音がもたらされる。
 こんな状況になって、平常心を保てるわけがない。
 萌恵ちゃんは家まで我慢できないと言ったけど、おそらくいまの私は彼女以上に歯止めが利かなくなっている。
 背中に手を回して抱き寄せ、体の前面を余さず密着させる。
 散歩の休憩にしては少しばかり激しく、個室を後にする頃には二人とも肩で息をしていた。
 この時点で、ハッキリと確信できる。今日はたまに訪れる、萌恵ちゃんがひたすら甘えてくる日だ。
 起きてからいまに至るまで着替えとか洗顔とか様々な行動を経ているわけだけど、一度として萌恵ちゃんから離れていない。抽象的な意味ではなく、文字通りどこかしらの部位が常に触れ合っている。

***

 帰宅してから真っ先に行動を起こしたのは、私の方だった。
 先ほどのお返しとばかりに、靴を雑に脱ぎ捨てながら、廊下で萌恵ちゃんを優しく押し倒す。
 普段からきれいに掃除している甲斐があり、余計なことを気にせず楽しめる。
 体勢のおかげで、主導権はこちらにある。頬や額にキスの雨を落としてから、切なそうに震えるピンクの唇に自分のそれを重ね合せた。
 口が自由になれば、それがどんなに短い時間であれ、愛を囁いてくれる。私も言葉と行動で自分の気持ちを示し、思う存分に濃密なひとときを楽しむ。

***

 期待を遥かに上回る勢いで、この後ひたすらイチャイチャした。
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