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第1章
第80話《シマちゃんとベンチにて》
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「てかすずめちゃんの方こそ最近どうなの~?彼氏とか出来た?あ、好きな人とかでもいいんだけど。」
「ああ。いるにはいる…けど。」
ベンチに腰掛けて数拍置いた後、シマちゃんの方もお返しとばかりに俺に彼氏の有無を聞いてきたので、正直に答える。
俺の彼氏が総一郎だという事は観客にも知っている人がちらほらいるので嘘はつけない。
「えっ?そっ……か……。」
俺の返事が想定外だと言わんばかりに目を見開いて、捨てられた子犬みたいな寂しげな声を出すシマちゃんに会場中が感情移入して、思わずため息を漏らしているのが聞こえる。
まぁ、俺に彼氏がいる事はシマちゃんが一番よく知っているはずだから全部演技なんだけどな…。
なんなら総一郎の事をヤバ崎だとかあだ名つけてたし。
「あ…そうだよね……。すずめちゃんももう大学生だし…。……実は僕もね…好きな人がいるの……。」
「え、好きな人?でもさっきはいないって言ってなかった?」
「うん、それはまぁ、そうなんだけど。えっとね…、じゃぁもう……思い切って言うけど、好きな人って……すっ…す××ちゃんの事なんだよねっ!」
シマちゃんが今更恥ずかしそうにもごもごとして、目をぎゅっと瞑りながら最後辺りの声量を極限まで小さくして、マイクにギリギリ届く程度の微かな声量で呟く。
高級なマイクが案外綺麗に音を拾って、《すずめちゃん》とはっきり聞こえたが、ここで、《え。俺の事?ありがとう!》だなんて空気を読まずに直球で聞き返したら雰囲気がぶち壊しになるので、ここはひたすら恋愛ドラマ等でよく見る鈍感なヒロインっぽくとぼけておこう。
「す…何?ごめん、聞こえなかった。もう一回言って?」
「っ!だ、だから!僕がずっとそばにいて欲しいのは…~~~っ!もういいもん!すずめちゃんのバカっ!鈍ちん!」
俺のすっとぼけた返事に、シマちゃんが頬を膨らませて、今まで俺の肩に乗っけていた頭をどけて思いっきりそっぽを向く。
一瞬本気で拗ねたのかな?と焦ったが、また客席に見えない角度で2回もウインクしてきたので、どうやら大正解だったようだ。
客席の様子を見てみると、いつの間にか皆してハラハラとしつつも本気で俺達を見守っている雰囲気が出来あがっていて、シマちゃんの演技力がどれだけ光っているのかが分かる。
『シ、シ、シ、シマたんんん……!』
『うああぁぁ胸がきゅってなる~~!!』
『そうだよね、友達に好きな気持ちを拒絶されるの怖いんだよね…!』
『Ω同士の淡い関係がエモすぎる…!』
『シマちゃん、頑張れ………!』
ちらっと見えた観客の中には胸をおさえている人もいて、審査が順調にいっている事に心底安堵する。
(いい感じに観客の心も鷲掴みにできてるな。)
よし、注目を浴びているうちにこのまま一気に告白まで持っていくぞ…!…と、意気込んだ矢先、シマちゃんがベンチにそのまま横たわり、今度は俺の膝にぽすんと頭を乗っけてきた。いわゆる膝枕というやつだ。
(あれ…これは、もう少しいちゃいちゃ作戦を続行する方向で行こうという事なのかな?)
シマちゃんの意図を組んでひとまず膝に乗っかってきた頭を軽く撫でてやると、さっきまで怒っていた(ような顔を作っていた)シマちゃんが、にへらと笑顔になる。
「えへへ、すずめちゃんの膝の上は僕の《いつもの》特等席だもんね♪」
「はいはい。全く、シマちゃんが勝手に頭乗っけて来るくせに。それで…機嫌は直ったの?」
「うん!あっ、いやまだ!すずめちゃんがもっと僕の頭を撫でてくれたら直る!!」
まるで俺が今まで何回も膝枕してきたかのように話をかましてくるシマちゃんに、それとなく話を合わせて頭を撫でるのを続行する。
この様子を見て、まさか俺達がまだ昨日出会ったばかりの名前しか知らない浅い仲だとは観客達も思うまい。
『いつも膝枕してるとか、これはガチだ!』
『嗚呼、あの二人の間に挟まれたい…!!』
『あの二人ってすごく仲よさげだけど、幼馴染だったりするのかな?』
『絶対そうだろ。やっぱりさ、あの距離感でしか味わえない《良さ》があるよなぁ』
『二人ともいいなぁ…。両方に場所変わってほしいぜ…膝枕したいしされてみたい…。』
『いやそれ、誰もいなくならんか?まぁ気持ちは分かるけど!』
「あのね、すずめちゃん…。このままでいいから聞いて。」
「え?うん…。分かった。」
観客の熱が最高潮に達した事で、シマちゃんが頭を撫でていない方の俺の片手を両手でいじいじと手遊びしながら真剣そうな声を出した。
(!そろそろ告白タイムに入るみたいだな。)
俺はシマちゃんの演技を邪魔しないよう静かに相槌を打つ事に専念する。
「ああ。いるにはいる…けど。」
ベンチに腰掛けて数拍置いた後、シマちゃんの方もお返しとばかりに俺に彼氏の有無を聞いてきたので、正直に答える。
俺の彼氏が総一郎だという事は観客にも知っている人がちらほらいるので嘘はつけない。
「えっ?そっ……か……。」
俺の返事が想定外だと言わんばかりに目を見開いて、捨てられた子犬みたいな寂しげな声を出すシマちゃんに会場中が感情移入して、思わずため息を漏らしているのが聞こえる。
まぁ、俺に彼氏がいる事はシマちゃんが一番よく知っているはずだから全部演技なんだけどな…。
なんなら総一郎の事をヤバ崎だとかあだ名つけてたし。
「あ…そうだよね……。すずめちゃんももう大学生だし…。……実は僕もね…好きな人がいるの……。」
「え、好きな人?でもさっきはいないって言ってなかった?」
「うん、それはまぁ、そうなんだけど。えっとね…、じゃぁもう……思い切って言うけど、好きな人って……すっ…す××ちゃんの事なんだよねっ!」
シマちゃんが今更恥ずかしそうにもごもごとして、目をぎゅっと瞑りながら最後辺りの声量を極限まで小さくして、マイクにギリギリ届く程度の微かな声量で呟く。
高級なマイクが案外綺麗に音を拾って、《すずめちゃん》とはっきり聞こえたが、ここで、《え。俺の事?ありがとう!》だなんて空気を読まずに直球で聞き返したら雰囲気がぶち壊しになるので、ここはひたすら恋愛ドラマ等でよく見る鈍感なヒロインっぽくとぼけておこう。
「す…何?ごめん、聞こえなかった。もう一回言って?」
「っ!だ、だから!僕がずっとそばにいて欲しいのは…~~~っ!もういいもん!すずめちゃんのバカっ!鈍ちん!」
俺のすっとぼけた返事に、シマちゃんが頬を膨らませて、今まで俺の肩に乗っけていた頭をどけて思いっきりそっぽを向く。
一瞬本気で拗ねたのかな?と焦ったが、また客席に見えない角度で2回もウインクしてきたので、どうやら大正解だったようだ。
客席の様子を見てみると、いつの間にか皆してハラハラとしつつも本気で俺達を見守っている雰囲気が出来あがっていて、シマちゃんの演技力がどれだけ光っているのかが分かる。
『シ、シ、シ、シマたんんん……!』
『うああぁぁ胸がきゅってなる~~!!』
『そうだよね、友達に好きな気持ちを拒絶されるの怖いんだよね…!』
『Ω同士の淡い関係がエモすぎる…!』
『シマちゃん、頑張れ………!』
ちらっと見えた観客の中には胸をおさえている人もいて、審査が順調にいっている事に心底安堵する。
(いい感じに観客の心も鷲掴みにできてるな。)
よし、注目を浴びているうちにこのまま一気に告白まで持っていくぞ…!…と、意気込んだ矢先、シマちゃんがベンチにそのまま横たわり、今度は俺の膝にぽすんと頭を乗っけてきた。いわゆる膝枕というやつだ。
(あれ…これは、もう少しいちゃいちゃ作戦を続行する方向で行こうという事なのかな?)
シマちゃんの意図を組んでひとまず膝に乗っかってきた頭を軽く撫でてやると、さっきまで怒っていた(ような顔を作っていた)シマちゃんが、にへらと笑顔になる。
「えへへ、すずめちゃんの膝の上は僕の《いつもの》特等席だもんね♪」
「はいはい。全く、シマちゃんが勝手に頭乗っけて来るくせに。それで…機嫌は直ったの?」
「うん!あっ、いやまだ!すずめちゃんがもっと僕の頭を撫でてくれたら直る!!」
まるで俺が今まで何回も膝枕してきたかのように話をかましてくるシマちゃんに、それとなく話を合わせて頭を撫でるのを続行する。
この様子を見て、まさか俺達がまだ昨日出会ったばかりの名前しか知らない浅い仲だとは観客達も思うまい。
『いつも膝枕してるとか、これはガチだ!』
『嗚呼、あの二人の間に挟まれたい…!!』
『あの二人ってすごく仲よさげだけど、幼馴染だったりするのかな?』
『絶対そうだろ。やっぱりさ、あの距離感でしか味わえない《良さ》があるよなぁ』
『二人ともいいなぁ…。両方に場所変わってほしいぜ…膝枕したいしされてみたい…。』
『いやそれ、誰もいなくならんか?まぁ気持ちは分かるけど!』
「あのね、すずめちゃん…。このままでいいから聞いて。」
「え?うん…。分かった。」
観客の熱が最高潮に達した事で、シマちゃんが頭を撫でていない方の俺の片手を両手でいじいじと手遊びしながら真剣そうな声を出した。
(!そろそろ告白タイムに入るみたいだな。)
俺はシマちゃんの演技を邪魔しないよう静かに相槌を打つ事に専念する。
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