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kaoru

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第四章 節約生活?

九十話

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「直也伯父さんは、俺達の事、どう思っているんだろう?」

 母さん話からだと、竜神様の行為には否定的な意見を持っているようだった。

「うーん、人間だった時は、気がつかなかったけど、凄く心配していたのだと思う。私に対して、反対意見や注意ばかりしていたから、鬱陶しくて、距離を取っちゃったけど、それが失敗だったのかなぁって、最近思うのよ」

「失敗って?」

「…ちょっと、あなた達には言いにくいのよね…」

「…父さんの事?」

「そう、それも、なんだけど…あっ、そうだ。あなた達に注意することがあったのよ」

「「えっ?なに?」」

「あなた達、病院にはあまり行かないようにしてね」

「ん?なんで、急にそんな…あっ、そういえば…俺達、人間じゃないんだっけ?」

「そういえば…竜神様が、そんなようなこと言ってたね…」

「そうなのよ。特にDNA検査はしないでね。血液検査も、あまり細かくはダメみたいなのよ。他には…レントゲンやMRIなんかは、大丈夫みたいだけど…」

「DNA検査って…遺伝子に異常があるってこと?」

「そうみたいなの。私には、よく分からないけど、そのー、あなた達の遺伝子は、私の情報しかないらしいのよ」

「んんん?なに?光輝分かる?」

「えっと、俺達の体は、母さんの遺伝情報だけで、父さんの情報は、全然ないってこと?」

「そうらしいのよ」

「らしいって…それって、可能なの?」

「さぁ?私もそう聞かされたから、でも、もっと、早く聞きたかったわね。そうすれば、結婚なんかしなくて済んだのに…って、違うわねぇ、私が、ちゃんと兄さんや父さんの話を聞いていれば良かったのよねぇ」

「…えっと、ごめん。父さんが死んだ時の事、聞いても、いい?」

「えっと、…ええ、恥ずかしいけど、話しておいた方がいいわよね。ただ、結婚の事から話した方がいいかしらね。実は…」

 竜神様が、不完全な蘇生と言ったり、情報を少しずつ与えて導けばと言っていた理由が分かった。

 生き返った母さんは、俺達を産む事に対して、凄いプレッシャーを感じていたらしい。しかも、何故か、早く産まなければいう焦りもあって、早くから婚活らしきものをしていた。…でも、不完全な蘇生のせいで、感情を上手く表に出せなかった母さんは、付き合っても、直ぐにフラれてしまい結婚出来ないまま、三十になり、更に焦り、結婚相談所で、『即結婚』なんていう怪しい条件を出していた男性に飛び付いてしまったそうだ…

「それが、父さん?」

「そうなのよ」

「父さんは、何故、そんなに焦ってたの?」

「子供に聞かせていい話じゃないけど…ちょっと、問題のある女性と付き合っていて、その旦那さんを、欺く為に結婚したかったみたいなの」

「旦那ってことは…既婚者と付き合っていたの?結婚する前から、不倫していたってこと?」

「そうなのよ。私としては、あなた達が産めれば良かったから、理由を聞いても、特に何も思わなくて、結婚に同意したのよ。父さん達は、凄く反対したけどね…」

…だよね…普通、そんなの反対されるよね…って、いうか、父さんの事、好きじゃなかったってこと?そんな相手と、結婚出来てしまう母さんって…不完全な蘇生だからって事なのかな?

で、後は、俺達ができたから、母さんは、離婚しても良いと思っていたらしいけど、父さんは、何故か話し合いはせずに、ズルズルと結婚生活は続き…って、言っても、父さんは殆ど家に居なかったけどね。
 しかも、父さんは、更に、危ない女性に手を出して、その関係者が、母さんにまで接触してきた事で、母さんは離婚を決意したけど、父さんは逃げてばかりで、話は進まなかったので、疲れてしまったらしい…
 そこで、弁護士をたてて…というときに父さんは亡くなった。
 母さんの側にいた精霊達の仕業みたいに正兄は言っていたけど、実は、そんなことはなく、本当に事故か、付き合っていた女性の方の仕業じゃないかということだ、この辺は、人間とは違い真相追及、解明なんて事はしないのが精霊なんだそうだ。
 取り敢えず、邪魔者がいなくなったからラッキーという感じだったらしい…
 なんか、暗く受け止めていたけど、違ったのか…記憶ってあんまり当てにならないな…
 しかも、俺達は、時がくれば自然と母さんの胎内に宿ったらしい…どういう仕組みか分からないけれど…

「結婚の必要無かったって、さっき言っていたけど、それは、父さんが亡くなった後分かったの?」

「……うっ、それがね。兄さんが、竜神様に聞いていて知っていたから、父さんも母さんも、何度も言っていたらしいのよ…ただ、私が聞かなかっただけで、勝手に思い込んで、勝手に押し進めたの…ほら、都会だったら、未婚の母でもいいかと思ったけど、田舎はね、いろいろあるから…先ずは、結婚って、思い込んでたのよね。…本当、人間だった時の自分は、恥ずかしすぎる人生だったわ…」
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