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冒険の始まり
ハバー大陸一周の旅 51
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「いいよ。下手に神様敬うより、知ってた方が良いでしょ」
「…ま、まぁ、神だからとて、何でも出来る訳ではないのでな、す、少しぐらいは…」
「で、ディルも神の仲間入りしちゃったって、事なんだね。…何気に、神に拾われちゃってたって事か、しかも、神にこの世界の説明も受けたという事になるのかな?結構、定番設定にハマってたんだなぁ…」
また、リョウが、何やら、呟いている。
しかし、神か…
「ん?もう、そうなるのか…」
「嫌そうな顔をするではない、それに、まだ、神にはなっとらんぞ、目覚めかけた神の力の一部が漏れ出ただけじゃ」
「うわ、一部が漏れ出ただけで、星全体に及ぶ大災害を引き起こすんだ…ディル、気を付けないとダメじゃん」
……
「…はい」
リョウくん、俺に対してどんどん容赦なくなっているような…保護者としての威厳が、マジで失くなってないかい?
泣いていいかな…?
「ホッホッホー、リョウやお主は大したものだな。ワシ達の事といい、ディルの事まで、そんな言葉だけで許してくれるのか?」
「許す?よく分からないけど、誰にだって失敗はあるでしょ。しかも、起こったことに対してあれこれ言っていれば、その事を無かったことに出来る訳じゃないんだから、同じことが起きないように注意して、直せるところはサッサッと直して、前に進んだ方が良いじゃん。あ、じゃ、なくて、良いと思います…」
おお、ヤバイ、俺より大人なのか?
「リョウは、素晴らしいのぉ。そこでじゃ、前に進むために、お主達にも、手伝って欲しいのじゃ」
「まぁ、俺は当事者だから、出来ることは何でもやるよ」
「僕も、やるよ。ちょうど、ガラン様に収納箱貰ったし、物資運びとか出来るよ!」
「私もです。他にも、出来ることがあれば、お手伝いします!」
リョウ達が、そう言うと、ユキ以外のみなも、頷いて同意を示してくれる。良い、仲間だなぁ…と、感慨深くなる。
しかし、ユキの様子が、本当に落ち着かない。俺を見て、うーうー唸っている。
「先ず、ディル、お前の力の所為で、暴走している雪の女王の説得に行け」
「え?雪の女王と繋がりのあるユキが、こんな状態なのに?俺が行ったら更に酷くならないか?」
「なるかもな」
「ユキが懐いてたシスじゃダメなの?」
「ダメじゃ。お主が行って、暴走を止めよ」
どうしてもか…
「勅命承ります」
じいちゃんの前に片膝ついて、頭を下げる。
「バレンとユキも連れて今すぐ行け」
俺は、頷いて立ち上がると、リョウとクラリーの間で、震えてるユキに近づく、ユキは二人の服の裾を掴みながら後退り、俺を睨んでくる。
嫌われたなぁー…しかも、言葉を忘れたのか、無言の圧力が、これは、かなりヘコむな…
更に近づくと、リョウが、両手を広げ立ちふさがる。
「待ってよ。僕達、まだ、夕飯食べてないんだよ『腹が減っては戦ができぬ』って言葉がニホンにはあるんだよ。何かやる時には、体調とかも整えなきゃダメじゃん」
「そ、そうだな…食事は大事だ」
「でしょ」
思わずじいちゃんを振り向くと、目が点になっていた。
うわっ、シリアスぶったけど、ちょっと恥ずかしいな…
「さぁ、ユキちゃんも来て」
と、言いつつ、リョウが、ユキを抱っこして、テーブルにつく。
「ほら、昨日、ユピロー様がくれたスイカズラのジャム、凄く美味しいよ。これを、ディルが、作ってくれたテオの薄ぱんに塗ってあげる。それで、半分に折ってから、くるくる巻けば、持ちやすいよ。はい、食べてみて」
リョウの膝に乗りながら、リョウが作ってくれたサンド?と言っていいのかな?まぁ、ジャムサンドとしておこう。
それをユキが受け取りかぶりつく。
「どう?美味しい?」
ユキが、コクりと頷き、黙々と食べる。
「ディル様が、作ったスープも食べてください」
ジャムサンドが食べ終わるタイミングで、クラリーちゃんが、魔術で温め直したスープをユキの前に置く。
ユキは、ジィーとクラリーちゃんを見てから、スプーンを持って食べ始める。
「どうですか?」
「…おいしいのです」
!
ユキがポツリと呟いた。
「ほら、ディル達も、突っ立ってないで、座って食べなよ。じゃないと、お腹すいて、力が出せないよ。…あっ、もしかして、ディルは、お腹すいていた方が、変な力が出なくて良いとか?」
「はぁ、逆だろ。腹が減りすぎて、思考がおかしくなって、俺も暴走してしまうかもしれない」
「まぁ、それは大変ですね。しっかり食べてから、出掛けて下さい」
「そうだよ。ディル、はい、ちゃんと座って食べて」
リョウがジャムサンドを量産しつつ、俺に、隣の席を促す。少し、用心しつつ、リョウの隣に腰かけるが、スープに夢中になっているユキは変わらず食べ続けている。
俺も、スプーンを手に取り、スープを食べる。
クラリーちゃんは、俺が作ったなんて言ったが、最後の味の調整は、二人に任せたものだ。
「旨いな」
「でしょぉ!なんてね、ディルが、作ったんだから、自画自賛してる」
「いや、最後の仕上げはお前達だろ」
「味見をしただけですよ」
「そうだよ。ディルって何気に、料理上手だよね。夜営でケーキとかも、パッパッと作っちゃうし、この世界の男性人って、こんなに料理スキル高いの?」
「いいえ、父様やお祖父様方は、あまりしないですよ」
「そうなんだ。ディルの料理、メチャクチャ美味しいよね。ユキちゃん」
リョウの言葉に釣られて、ユキが俺を見た。
「…ま、まぁ、神だからとて、何でも出来る訳ではないのでな、す、少しぐらいは…」
「で、ディルも神の仲間入りしちゃったって、事なんだね。…何気に、神に拾われちゃってたって事か、しかも、神にこの世界の説明も受けたという事になるのかな?結構、定番設定にハマってたんだなぁ…」
また、リョウが、何やら、呟いている。
しかし、神か…
「ん?もう、そうなるのか…」
「嫌そうな顔をするではない、それに、まだ、神にはなっとらんぞ、目覚めかけた神の力の一部が漏れ出ただけじゃ」
「うわ、一部が漏れ出ただけで、星全体に及ぶ大災害を引き起こすんだ…ディル、気を付けないとダメじゃん」
……
「…はい」
リョウくん、俺に対してどんどん容赦なくなっているような…保護者としての威厳が、マジで失くなってないかい?
泣いていいかな…?
「ホッホッホー、リョウやお主は大したものだな。ワシ達の事といい、ディルの事まで、そんな言葉だけで許してくれるのか?」
「許す?よく分からないけど、誰にだって失敗はあるでしょ。しかも、起こったことに対してあれこれ言っていれば、その事を無かったことに出来る訳じゃないんだから、同じことが起きないように注意して、直せるところはサッサッと直して、前に進んだ方が良いじゃん。あ、じゃ、なくて、良いと思います…」
おお、ヤバイ、俺より大人なのか?
「リョウは、素晴らしいのぉ。そこでじゃ、前に進むために、お主達にも、手伝って欲しいのじゃ」
「まぁ、俺は当事者だから、出来ることは何でもやるよ」
「僕も、やるよ。ちょうど、ガラン様に収納箱貰ったし、物資運びとか出来るよ!」
「私もです。他にも、出来ることがあれば、お手伝いします!」
リョウ達が、そう言うと、ユキ以外のみなも、頷いて同意を示してくれる。良い、仲間だなぁ…と、感慨深くなる。
しかし、ユキの様子が、本当に落ち着かない。俺を見て、うーうー唸っている。
「先ず、ディル、お前の力の所為で、暴走している雪の女王の説得に行け」
「え?雪の女王と繋がりのあるユキが、こんな状態なのに?俺が行ったら更に酷くならないか?」
「なるかもな」
「ユキが懐いてたシスじゃダメなの?」
「ダメじゃ。お主が行って、暴走を止めよ」
どうしてもか…
「勅命承ります」
じいちゃんの前に片膝ついて、頭を下げる。
「バレンとユキも連れて今すぐ行け」
俺は、頷いて立ち上がると、リョウとクラリーの間で、震えてるユキに近づく、ユキは二人の服の裾を掴みながら後退り、俺を睨んでくる。
嫌われたなぁー…しかも、言葉を忘れたのか、無言の圧力が、これは、かなりヘコむな…
更に近づくと、リョウが、両手を広げ立ちふさがる。
「待ってよ。僕達、まだ、夕飯食べてないんだよ『腹が減っては戦ができぬ』って言葉がニホンにはあるんだよ。何かやる時には、体調とかも整えなきゃダメじゃん」
「そ、そうだな…食事は大事だ」
「でしょ」
思わずじいちゃんを振り向くと、目が点になっていた。
うわっ、シリアスぶったけど、ちょっと恥ずかしいな…
「さぁ、ユキちゃんも来て」
と、言いつつ、リョウが、ユキを抱っこして、テーブルにつく。
「ほら、昨日、ユピロー様がくれたスイカズラのジャム、凄く美味しいよ。これを、ディルが、作ってくれたテオの薄ぱんに塗ってあげる。それで、半分に折ってから、くるくる巻けば、持ちやすいよ。はい、食べてみて」
リョウの膝に乗りながら、リョウが作ってくれたサンド?と言っていいのかな?まぁ、ジャムサンドとしておこう。
それをユキが受け取りかぶりつく。
「どう?美味しい?」
ユキが、コクりと頷き、黙々と食べる。
「ディル様が、作ったスープも食べてください」
ジャムサンドが食べ終わるタイミングで、クラリーちゃんが、魔術で温め直したスープをユキの前に置く。
ユキは、ジィーとクラリーちゃんを見てから、スプーンを持って食べ始める。
「どうですか?」
「…おいしいのです」
!
ユキがポツリと呟いた。
「ほら、ディル達も、突っ立ってないで、座って食べなよ。じゃないと、お腹すいて、力が出せないよ。…あっ、もしかして、ディルは、お腹すいていた方が、変な力が出なくて良いとか?」
「はぁ、逆だろ。腹が減りすぎて、思考がおかしくなって、俺も暴走してしまうかもしれない」
「まぁ、それは大変ですね。しっかり食べてから、出掛けて下さい」
「そうだよ。ディル、はい、ちゃんと座って食べて」
リョウがジャムサンドを量産しつつ、俺に、隣の席を促す。少し、用心しつつ、リョウの隣に腰かけるが、スープに夢中になっているユキは変わらず食べ続けている。
俺も、スプーンを手に取り、スープを食べる。
クラリーちゃんは、俺が作ったなんて言ったが、最後の味の調整は、二人に任せたものだ。
「旨いな」
「でしょぉ!なんてね、ディルが、作ったんだから、自画自賛してる」
「いや、最後の仕上げはお前達だろ」
「味見をしただけですよ」
「そうだよ。ディルって何気に、料理上手だよね。夜営でケーキとかも、パッパッと作っちゃうし、この世界の男性人って、こんなに料理スキル高いの?」
「いいえ、父様やお祖父様方は、あまりしないですよ」
「そうなんだ。ディルの料理、メチャクチャ美味しいよね。ユキちゃん」
リョウの言葉に釣られて、ユキが俺を見た。
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