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Chapter.3 ウィンミルトン編
Episode.19 町の事情
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「どうぞ、中へ」
町長さんの案内で俺達は家へと招かれた。
中へ入り、大人数の来訪なので広い場所がいいだろうと食卓を囲む広間へと案内される。
「いてて」
俺はエリックとトールに肩を借り、何とか目の前にある椅子に腰掛ける事が出来た。
フィオに治療してもらったが、以前説明した様に痛みだけは何故か残るのですぐに全快とはいかない。
「改めてさっきはありがとう、皆が来てくれて助かったよ」
町長さんは全員に腰掛ける様に言い、さっきの一件での礼を口にする。
「いえ、クリフさんが無事で良かったです」
その町長さんの言葉に俺達を代表してエリックが答えた。
その後、町長さんと自己紹介をお互いにして彼の名前がクリフ・ラングフォードであると聞かされる。
「君もありがとう、怪我をさせてしまって申し訳ない」
クリフさんは俺の方へ視線を向けると申し訳なさそうに頭を下げた。
「いやー、この程度で済んだから大丈夫です」
本音を言えば、まだ痛むが心配させるのは悪いと思ったので精一杯の笑顔で答える。
「それで君と横の妖精の方は、どういう経緯でこの町に?」
一連の会話を終え、クリフさんは俺とフィオが町に来た理由について尋ねてきた。
「それは……」
俺は彼の問いに答え、この町にやって来た経緯について説明した。
Episode.19 町の事情
「なるほど、君達はあの盗賊達を何とかする為に来てくれたんだね」
説明するとクリフさんは納得した様に頷き、はしたものの同時に困った表情を浮かべて何やら考え始めた。
「俺は弱いですけど、フィオは強いから安心してください」
さっきの無様な姿を見て不安になってないか心配になり、クリフさんにそう説明する。
「いや、それを心配している訳ではないんだ」
そう言ってクリフさんは、心配している事情について話してくれた。
事情と言うのは町に住む住民達の事で、彼らは面倒だから金を渡して盗賊団にはさっさと立ち去ってもらおうと考えているらしい。
だから、盗賊団を追い払う事や退治などの案も出たが全て町民によって反対されてしまったと聞かされた。
「皆、臆病者なんだよ」
それを横で聞いていたロナがそう呟き、同じ意見なのかトールも激しく頷いている。
「私も盗賊団に金を渡すのは反対なんだ、渡しても立ち去ってくれる保証はないだろう?」
クリフさんの意見は尤もだ、金を渡したら今度はもっと大きな額を要求してくるかもしれない。
「王都の騎士団にも遣いを出して相談はしたんだ、答えは瘴魔の大規模な討伐作戦があるので人員は割けないというものだったよ」
ラットヴィルの時も思ったが、この国を治めている王都とは随分頼りない所らしい。
「騎士団も駄目、抵抗するのも駄目って八方塞がりじゃねーか」
クリフさんの発言で我慢していたトールが爆発し、不満をぶちまける。
「なら、あたし達が何とかするしかないわね」
黙っていたフィオがクリフさんの話を聞き、今度は自分の意見を口にし始めた。
「で、ですが……」
「町民が反対するんでしょ? なら、あたし達が“勝手に行動して盗賊団を倒した”って事にすればいいのよ」
クリフさんはフィオの意見に反論しようとするが、それを踏まえた上で彼女は発言を続ける。
フィオの意見は正直無茶苦茶だが、他の選択肢が盗賊団に金を渡す事なので否定しようにも代案が浮かばない。
「しかし、大勢の盗賊団を君達だけで倒すというのは……」
「ああ、それに関しては心配ないと思うわ」
その言葉と共にフィオは、あの盗賊団が嘘をついているんじゃないかと予想を立て始めた。
理由はそんなに大人数で悪さをしているのなら、ルドルフさんの所に噂の一つも届かないのはおかしいからである。
「ま、今は予想だけだから次は奴らの後を尾けて確認してみましょう」
フィオの意見を聞き、暫く黙っていたクリフさんが口を開いた。
「……分かりました、ならお願いしてもいいかな?」
クリフさんも盗賊団の思い通りにはさせたくないのか、そう言って俺達に後の事を託してくれた。
クリフさんと話し合った後、エリックが町に来る前に言っていた俺達の歓迎会をトールの家で開いてくれる事になった。
案内されるまま付いて行くと家というより、バーの様な出で立ちの建物が見えてきた。
「え、あそこ?」
「そう、トールの家は酒場を経営してるんだよ」
酒盛りして大賑わいと言った様子で、中から楽しそうに騒ぐ声が聞こえてくる。
「随分賑やかね」
人混みが苦手なのか、フィオは微妙な表情を浮かべている。
「さ、遠慮なく入ってくれ」
トールに押される様な形で俺とフィオは店内に入る。
「いらっしゃい、……あら、見ない顔ね?」
店に入ると茶色い髪をした長髪の美女が声をかけてきた。
「あ、アデラさん、お疲れ様です」
俺達が戸惑っていると、エリックが代わりに受け答えをしてくれる。
「あれ、あんた達も一緒なの? なら、この人は……」
アデラと呼ばれた女性はそう呟いた後、にやりと笑みを浮かべた。
「そう、賢者様……の居候だよ」
「居候? 賢者様じゃなくて?」
本当ならルドルフさんが来ているはずなので、アデラさんのこの反応は当然である。
困惑した表情を浮かべているアデラさんに三人は事情を話し、理解してもらった後でお互いに簡単な自己紹介をした。
「なるほど、賢者様じゃないのに無理させてごめんね」
「いえ、そんな、役に立てるか分からないですけど頑張ります」
そう言って申し訳なさそうに頭を下げるアデラさんを見て恐縮し、素直な自分の気持ちを伝える。
「ありがとう、料理を振る舞うぐらいしか出来ないけど楽しんでいってね」
それを言い終えるとアデラさんは注文待ちをしているお客さん元へ向かって行った。
その後、歓迎会を予定通りしてくれる事になり、客の少ない奥の席で俺達は運ばれてくる料理に舌鼓を打った。
料理を食べている時に聞いたが、アデラさんはトールのお姉さんで亡くなった両親の後を継いで女手一つで酒場を切り盛りしているらしい。
アデラさんも苦労している様だ。
また彼女も盗賊団の事はよく思っていないらしく、何とかしてくれるなら協力は惜しまないと言ってくれた。
「うまうま」
俺は折角開いてくれた歓迎会を堪能しようと、初めて食べる魚や野菜、果物を心ゆくまで味わう。
中でも一際美味しかったのがパンである。
ここのは屋敷で食べていた固いのとは違い、柔らかいふっくらしたパンもあったのだ。
味は普通なのだが、長いこと柔らかいパンを食べていなかったのでかなり美味しく感じられた。
肉料理は……うん、美味しかったが何の肉か気になって味を楽しむ余裕があんまりなかったと正直に言っておこう。
「……ふぅ」
一通り料理を楽しんだ後、一息つこうと皆とは少し離れた席に座る。
「ロスト、料理はもういいの?」
休んでいた所にロナが飲み物を持ってやって来た。
「うん、充分堪能したよ」
彼女が差し出した飲み物を受け取り、返事をする。
「そっか、楽しんでくれた?」
「ああ、楽しかったよ、皆にも後でお礼言わないとな」
ロナはその返答に満足したのか、うんうんと頷き俺の横に座った。
「今日はごめんね、早く町を何とかしたくてロストに無茶させちゃった」
「自分の住んでる町だし、焦る気持ちは分かるからもういいよ」
同じ事をもう一度やられたら本気で怒る自信はあるが、彼女達がそこまで馬鹿じゃないと信じたい。
「明日から大変だけど、皆で一緒に頑張ろうね?」
俺はロナのその言葉に頷くと決意を新たにし、明日から何をすれば役に立てるのかを必死に考える事にした。
町長さんの案内で俺達は家へと招かれた。
中へ入り、大人数の来訪なので広い場所がいいだろうと食卓を囲む広間へと案内される。
「いてて」
俺はエリックとトールに肩を借り、何とか目の前にある椅子に腰掛ける事が出来た。
フィオに治療してもらったが、以前説明した様に痛みだけは何故か残るのですぐに全快とはいかない。
「改めてさっきはありがとう、皆が来てくれて助かったよ」
町長さんは全員に腰掛ける様に言い、さっきの一件での礼を口にする。
「いえ、クリフさんが無事で良かったです」
その町長さんの言葉に俺達を代表してエリックが答えた。
その後、町長さんと自己紹介をお互いにして彼の名前がクリフ・ラングフォードであると聞かされる。
「君もありがとう、怪我をさせてしまって申し訳ない」
クリフさんは俺の方へ視線を向けると申し訳なさそうに頭を下げた。
「いやー、この程度で済んだから大丈夫です」
本音を言えば、まだ痛むが心配させるのは悪いと思ったので精一杯の笑顔で答える。
「それで君と横の妖精の方は、どういう経緯でこの町に?」
一連の会話を終え、クリフさんは俺とフィオが町に来た理由について尋ねてきた。
「それは……」
俺は彼の問いに答え、この町にやって来た経緯について説明した。
Episode.19 町の事情
「なるほど、君達はあの盗賊達を何とかする為に来てくれたんだね」
説明するとクリフさんは納得した様に頷き、はしたものの同時に困った表情を浮かべて何やら考え始めた。
「俺は弱いですけど、フィオは強いから安心してください」
さっきの無様な姿を見て不安になってないか心配になり、クリフさんにそう説明する。
「いや、それを心配している訳ではないんだ」
そう言ってクリフさんは、心配している事情について話してくれた。
事情と言うのは町に住む住民達の事で、彼らは面倒だから金を渡して盗賊団にはさっさと立ち去ってもらおうと考えているらしい。
だから、盗賊団を追い払う事や退治などの案も出たが全て町民によって反対されてしまったと聞かされた。
「皆、臆病者なんだよ」
それを横で聞いていたロナがそう呟き、同じ意見なのかトールも激しく頷いている。
「私も盗賊団に金を渡すのは反対なんだ、渡しても立ち去ってくれる保証はないだろう?」
クリフさんの意見は尤もだ、金を渡したら今度はもっと大きな額を要求してくるかもしれない。
「王都の騎士団にも遣いを出して相談はしたんだ、答えは瘴魔の大規模な討伐作戦があるので人員は割けないというものだったよ」
ラットヴィルの時も思ったが、この国を治めている王都とは随分頼りない所らしい。
「騎士団も駄目、抵抗するのも駄目って八方塞がりじゃねーか」
クリフさんの発言で我慢していたトールが爆発し、不満をぶちまける。
「なら、あたし達が何とかするしかないわね」
黙っていたフィオがクリフさんの話を聞き、今度は自分の意見を口にし始めた。
「で、ですが……」
「町民が反対するんでしょ? なら、あたし達が“勝手に行動して盗賊団を倒した”って事にすればいいのよ」
クリフさんはフィオの意見に反論しようとするが、それを踏まえた上で彼女は発言を続ける。
フィオの意見は正直無茶苦茶だが、他の選択肢が盗賊団に金を渡す事なので否定しようにも代案が浮かばない。
「しかし、大勢の盗賊団を君達だけで倒すというのは……」
「ああ、それに関しては心配ないと思うわ」
その言葉と共にフィオは、あの盗賊団が嘘をついているんじゃないかと予想を立て始めた。
理由はそんなに大人数で悪さをしているのなら、ルドルフさんの所に噂の一つも届かないのはおかしいからである。
「ま、今は予想だけだから次は奴らの後を尾けて確認してみましょう」
フィオの意見を聞き、暫く黙っていたクリフさんが口を開いた。
「……分かりました、ならお願いしてもいいかな?」
クリフさんも盗賊団の思い通りにはさせたくないのか、そう言って俺達に後の事を託してくれた。
クリフさんと話し合った後、エリックが町に来る前に言っていた俺達の歓迎会をトールの家で開いてくれる事になった。
案内されるまま付いて行くと家というより、バーの様な出で立ちの建物が見えてきた。
「え、あそこ?」
「そう、トールの家は酒場を経営してるんだよ」
酒盛りして大賑わいと言った様子で、中から楽しそうに騒ぐ声が聞こえてくる。
「随分賑やかね」
人混みが苦手なのか、フィオは微妙な表情を浮かべている。
「さ、遠慮なく入ってくれ」
トールに押される様な形で俺とフィオは店内に入る。
「いらっしゃい、……あら、見ない顔ね?」
店に入ると茶色い髪をした長髪の美女が声をかけてきた。
「あ、アデラさん、お疲れ様です」
俺達が戸惑っていると、エリックが代わりに受け答えをしてくれる。
「あれ、あんた達も一緒なの? なら、この人は……」
アデラと呼ばれた女性はそう呟いた後、にやりと笑みを浮かべた。
「そう、賢者様……の居候だよ」
「居候? 賢者様じゃなくて?」
本当ならルドルフさんが来ているはずなので、アデラさんのこの反応は当然である。
困惑した表情を浮かべているアデラさんに三人は事情を話し、理解してもらった後でお互いに簡単な自己紹介をした。
「なるほど、賢者様じゃないのに無理させてごめんね」
「いえ、そんな、役に立てるか分からないですけど頑張ります」
そう言って申し訳なさそうに頭を下げるアデラさんを見て恐縮し、素直な自分の気持ちを伝える。
「ありがとう、料理を振る舞うぐらいしか出来ないけど楽しんでいってね」
それを言い終えるとアデラさんは注文待ちをしているお客さん元へ向かって行った。
その後、歓迎会を予定通りしてくれる事になり、客の少ない奥の席で俺達は運ばれてくる料理に舌鼓を打った。
料理を食べている時に聞いたが、アデラさんはトールのお姉さんで亡くなった両親の後を継いで女手一つで酒場を切り盛りしているらしい。
アデラさんも苦労している様だ。
また彼女も盗賊団の事はよく思っていないらしく、何とかしてくれるなら協力は惜しまないと言ってくれた。
「うまうま」
俺は折角開いてくれた歓迎会を堪能しようと、初めて食べる魚や野菜、果物を心ゆくまで味わう。
中でも一際美味しかったのがパンである。
ここのは屋敷で食べていた固いのとは違い、柔らかいふっくらしたパンもあったのだ。
味は普通なのだが、長いこと柔らかいパンを食べていなかったのでかなり美味しく感じられた。
肉料理は……うん、美味しかったが何の肉か気になって味を楽しむ余裕があんまりなかったと正直に言っておこう。
「……ふぅ」
一通り料理を楽しんだ後、一息つこうと皆とは少し離れた席に座る。
「ロスト、料理はもういいの?」
休んでいた所にロナが飲み物を持ってやって来た。
「うん、充分堪能したよ」
彼女が差し出した飲み物を受け取り、返事をする。
「そっか、楽しんでくれた?」
「ああ、楽しかったよ、皆にも後でお礼言わないとな」
ロナはその返答に満足したのか、うんうんと頷き俺の横に座った。
「今日はごめんね、早く町を何とかしたくてロストに無茶させちゃった」
「自分の住んでる町だし、焦る気持ちは分かるからもういいよ」
同じ事をもう一度やられたら本気で怒る自信はあるが、彼女達がそこまで馬鹿じゃないと信じたい。
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