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第184話 ついに完成! でも終わりじゃない? at 1995/8/18
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「よっし! これで――!」
タタッ――ターン!
「とりあえず、文化祭に向けての二つのプログラムは完成させてやったぞー! うおーっ!」
「あ……。こ、古ノ森リーダー。さ、最後のところ……スペルミスして……ます」
「……え!? マジ!?」
溜まりに溜まった疲労を吹き飛ばすように僕がガッツポーズで叫んだ瞬間、横槍が入った。左隣に座っている水無月さんが正座の姿勢から半立ちになり、CRTモニターの一点を指す。僕も同じような姿勢をとって、水無月さんのピンク色の爪の先を見た。うーん……間違いない。
「合ってると……思うんだけど?」
「は、はい……! 嘘……でした、ジ、ジャーン……!」
「……あのね、ツッキー? そういうの、ロコに教わったからって、やらない方がいいと思う」
まだどこかぎこちないこわばりの残る笑顔を浮かべた水無月さんの妙に嬉しそうな表情を見ると、さすがの僕でもツッコミを躊躇してしまうが、これも本人のためである。おのれロコめ。
「こ、これで……どっちもテストプレイ……できますね……! お、お疲れ……様です……!」
「お疲れ様はツッキーもでしょ? 僕らが『98』の前にいない時は交代でチェックしてたし」
「そーそー。僕もモリケンも書き進めるだけでもー必死だからさー。スペルミス、ごめんねー」
「え……! い、いやいや! あ、あたし……大変じゃなかった……ですから……!」
僕と渋田は、新しい発想や仕組みを思いついてプログラミングするのは好きなのだが、猪突猛進タイプというか、多少のミスはかえりみずに先へ先へと急いでしまうクセがある。だから、水無月さんのように慎重で、細かいところまで気が回る子がいるだけで、かなり安心なのだ。
「で、でも……どう……します、テストプレイ?」
「ん? だって、ツッキーはもうやったんじゃないの? チェックがてらに」
「た、単体ごとの動作なら確認……してるんですけど……。通しでやったことは……なくて」
「え!? そうだったの!?」
かなり面喰った僕はすっとんきょうな声を上げたが――よくよく考えてみれば、プログラミングにつきものの『仕様書』なんてものはどこにも存在していない。逆に言えば、それはすなわち、テストしようにも処理結果が正しいのか間違っているのかの判断基準がないってことだ。
それとなく視線を右に向けると――たぶん似たようなことを考えていたのだろう――渋田は片眉を跳ね上げ、口をへの字に曲げながら苦笑していた。いやはや、水無月さんは文句も言わずに、ずいぶん無茶な僕たちの要求にこたえてくれたものだ。さすが僕らの守護女神様である。
「そ、それに……ですね」
その守護女神様こと水無月さんが、なんだか言いづらそうに僕らを交互に見つつ口を開いた。
「それに?」
「こ、これ……! これって、ふ、ふたり一組でやる……! あ、相性診断……ですよね!?」
真っ赤に頬を染めて尋ねる水無月さんの右手には青いプラスチックがしっかり握られていた。サイズ的には縦横それぞれ一〇センチ。そう、これぞ古の技術、フロッピーディスクである。
と言っても知らない人も多いだろう。
ものすごくざっくり説明すると、このプラスチック製スリーブの中には円盤状の磁気ディスクが内蔵されており、そこにコンピューター上のデータを保存することができる。この時代におけるごく一般的な世界共通の記録媒体、それこそがこのフロッピーディスクなのであった。
水無月さんが今手にしているフロッピーディスクに保存されているのは、この『電算論理研究部』が誕生する前から、僕と渋田の二人でコツコツ作り上げていた相性診断プログラムだ。
「あー。うん。そうだね。そうだそうだ」
「いやあー。ずいぶん長かったよねぇー」
もちろんそのプログラムのことならすべて知っている僕と渋田は当たり前のようにうなずく。そして、お互い目で合図してから、代表して僕がこう言った。
「確かにそうだけど……肝心なのは、実はここからなんだ。これからコイツには知性を吹き込まないといけなくってね」
タタッ――ターン!
「とりあえず、文化祭に向けての二つのプログラムは完成させてやったぞー! うおーっ!」
「あ……。こ、古ノ森リーダー。さ、最後のところ……スペルミスして……ます」
「……え!? マジ!?」
溜まりに溜まった疲労を吹き飛ばすように僕がガッツポーズで叫んだ瞬間、横槍が入った。左隣に座っている水無月さんが正座の姿勢から半立ちになり、CRTモニターの一点を指す。僕も同じような姿勢をとって、水無月さんのピンク色の爪の先を見た。うーん……間違いない。
「合ってると……思うんだけど?」
「は、はい……! 嘘……でした、ジ、ジャーン……!」
「……あのね、ツッキー? そういうの、ロコに教わったからって、やらない方がいいと思う」
まだどこかぎこちないこわばりの残る笑顔を浮かべた水無月さんの妙に嬉しそうな表情を見ると、さすがの僕でもツッコミを躊躇してしまうが、これも本人のためである。おのれロコめ。
「こ、これで……どっちもテストプレイ……できますね……! お、お疲れ……様です……!」
「お疲れ様はツッキーもでしょ? 僕らが『98』の前にいない時は交代でチェックしてたし」
「そーそー。僕もモリケンも書き進めるだけでもー必死だからさー。スペルミス、ごめんねー」
「え……! い、いやいや! あ、あたし……大変じゃなかった……ですから……!」
僕と渋田は、新しい発想や仕組みを思いついてプログラミングするのは好きなのだが、猪突猛進タイプというか、多少のミスはかえりみずに先へ先へと急いでしまうクセがある。だから、水無月さんのように慎重で、細かいところまで気が回る子がいるだけで、かなり安心なのだ。
「で、でも……どう……します、テストプレイ?」
「ん? だって、ツッキーはもうやったんじゃないの? チェックがてらに」
「た、単体ごとの動作なら確認……してるんですけど……。通しでやったことは……なくて」
「え!? そうだったの!?」
かなり面喰った僕はすっとんきょうな声を上げたが――よくよく考えてみれば、プログラミングにつきものの『仕様書』なんてものはどこにも存在していない。逆に言えば、それはすなわち、テストしようにも処理結果が正しいのか間違っているのかの判断基準がないってことだ。
それとなく視線を右に向けると――たぶん似たようなことを考えていたのだろう――渋田は片眉を跳ね上げ、口をへの字に曲げながら苦笑していた。いやはや、水無月さんは文句も言わずに、ずいぶん無茶な僕たちの要求にこたえてくれたものだ。さすが僕らの守護女神様である。
「そ、それに……ですね」
その守護女神様こと水無月さんが、なんだか言いづらそうに僕らを交互に見つつ口を開いた。
「それに?」
「こ、これ……! これって、ふ、ふたり一組でやる……! あ、相性診断……ですよね!?」
真っ赤に頬を染めて尋ねる水無月さんの右手には青いプラスチックがしっかり握られていた。サイズ的には縦横それぞれ一〇センチ。そう、これぞ古の技術、フロッピーディスクである。
と言っても知らない人も多いだろう。
ものすごくざっくり説明すると、このプラスチック製スリーブの中には円盤状の磁気ディスクが内蔵されており、そこにコンピューター上のデータを保存することができる。この時代におけるごく一般的な世界共通の記録媒体、それこそがこのフロッピーディスクなのであった。
水無月さんが今手にしているフロッピーディスクに保存されているのは、この『電算論理研究部』が誕生する前から、僕と渋田の二人でコツコツ作り上げていた相性診断プログラムだ。
「あー。うん。そうだね。そうだそうだ」
「いやあー。ずいぶん長かったよねぇー」
もちろんそのプログラムのことならすべて知っている僕と渋田は当たり前のようにうなずく。そして、お互い目で合図してから、代表して僕がこう言った。
「確かにそうだけど……肝心なのは、実はここからなんだ。これからコイツには知性を吹き込まないといけなくってね」
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