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視線は南へ
PHASE-1843【取説はちゃんと読もう】
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――ふむ。
「二日間は様子見ですかね」
「そうですね。その間に我々は南への進撃準備を進めましょう。二日後にはここより立つことになるでしょうから」
と、先生が言えば荀攸さんと二人して話し始める。
この二人に任せておけば戦略、戦術面は問題ない。
となれば、二日の間は南へと目を光らせながら特訓かな。
「勇者トール」
「おん? なんだリン」
「貴男が手に入れたスクロール五十枚に使えそうな魔法を封じておいてやったわよ」
「おおっ! そうだった! リンが使えるって言うくらいだからかなり効果のある魔法を封じてくれたんだろう?」
「期待してくれてもいいわよ。攻撃に補助、回復もね」
「素晴らしいじゃないか!」
リンがスクロールへ封じてくれる作業をしてくれたとなれば、とんでもない魔法ってことになるだろうからな。
ガストストライクなんて強力無比だからね。
ああいった高火力な魔法がお手軽に発動できるなら今後の戦いでも大いに役立ってくれる。
「なかなかにいいスクロールを用意してたわね。あの変態は性格はクズそのものだったけど、実力は間違いなく本物だったわよ」
「そうだな……。あれでワックさんのように性格が最高なら尊敬もされたし、歴史にも名を残す大天才になっただろうに」
やっていたことに対しては一切の同情なんて出来ないけど。
バルバダイは残念でしかない。
いかんせん承認欲求の塊だったからね。
そこを魔王にいいように利用されてしまった結果、この大陸に厄災を振りまいてしまった。
もう少し王様たちと良い関係性を構築できていたならまた違った結果だっただろう。
「スクロールに封じている魔法の種類をコレに記しているから後で見ておくといいわ」
「有り難う」
リンに礼を言えば俺とリンの横からズイッと出てくるのは半眼のシャルナ。
「私も協力したんですけど」
「お、おお。助かったよ。有り難う」
「もっと感謝してもいいと思うの」
「卑しいわね~。二千年近くも生きているというのに」
「うっさいわよ五百年のお婆さん」
「自分にも戻ってくる言葉よね」
「戻ってきません~。なぜなら私はエルフだから。人とは時間の刻み方が違うのよ」
「だからそんなにも年を食っているのに幼い思考なのね~」
「なんですってぇぇぇ!」
余裕ある嘲笑のリンに対し、白い肌を真っ赤に染め上げてムキになるシャルナ。
この組み合わせは大抵がこういった流れになるよな。
こういうのも様式美って言うのかね~。
お偉方がいる中でもお構いなしに二人で言い合い。といってもムキに声を上げるのはシャルナだけだが……。
王様は最前線の地で余裕ある言い合いができる二人を微笑ましいと思っているようでほがらかな顔。
ルミナングスさんは大騒ぎする娘がみっともないと頭を抱え。軍議室に集まっている面々にドリンキングバードのごとく頭を下げる。
その所作をカトゼンカ氏が笑いながら眺めていた。
「兄ちゃん」
「どうしたミルモン」
「今のうちに外に出よう。オイラのお尻がムズムズするから」
「お、おう」
二日間はミルトンのおっさんと一緒に行動しているコールサイン・レイモンドから逐次報告が来る程度だろう。
俺は俺にできる事をここではやっていこう。
「まずはスクロールの内容を見ておこうよ」
「そうだな」
リンに渡された紐で結ばれた羊皮紙を広げて内容を確認。
「――ほうほう」
「なんか凄そう?」
「そうだな。かなりの数の魔法名が記載されているな」
有難いことに予想通りのガストストライクも入っていたし、それ以外にも経験のある魔法が記されているのだが――、
「聞いたことのない魔法が結構あるな」
スクロールに封じるくらいの魔法だからな。間違いなく強力な最上位や大魔法クラスのものを封じているはず。
把握しておかなければ。
「ちゃんと説明文を読まないとね」
「俺もそう思っていたところだ」
元の世界ではゲームプレイ時、効果説明を読まずに使用して力を十全で発揮させないタイプだったからな。
この世界では命に関わることなのでしっかりと目を通して頭に叩き込んでおかないと。
強力な魔法ともなれば使用するタイミングは重要になる。
内容をちゃんと把握しておかないと後々、大慌てに陥ってしまう。
――ほほう。
「なるほど――ね」
「かなり便利なのばかりだね」
「ただ効果範囲が広すぎるな。これだと俺のスプリームフォールのように使用制限がかかってしまう」
「攻撃はね」
「そうだな。広範囲に使用できる回復魔法のワイドエフェクトからのキュアってのはかなりよさげだな」
ファーストエイド以上ヒール以下のキュアを広範囲に使用できるのは大規模戦闘となるであろう今後はかなり重宝する。
「こんな魔法もあるんだね」
「基本、俺たちは少数での行動だからな。大規模使用を発動する機会がなければ目にも耳にもしないからね」
それにこんな大魔法をポンポンと発動できるのはリンかそれに匹敵する存在くらい。目にする機会が少ないのも当然。
しかしヒールじゃなくてキュアか。
リンであっても広範囲回復はキュアまでが限界ってことか。この魔法の発動難易度の高さが分かるな。
それでもキュアによる回復はでかい。
そこそこの重傷を負ってしまっても戦線へと直ぐに戻ることが可能だからな。
――……ふむん……。
これら数ある魔法の効果を覚えつつ、且つ最適の場面で発動するタイミングの見極めか――。
戦いを左右するアイテムだからこそ、見極める能力が長けていないと無駄な消費につながってしまう。
「二日間は様子見ですかね」
「そうですね。その間に我々は南への進撃準備を進めましょう。二日後にはここより立つことになるでしょうから」
と、先生が言えば荀攸さんと二人して話し始める。
この二人に任せておけば戦略、戦術面は問題ない。
となれば、二日の間は南へと目を光らせながら特訓かな。
「勇者トール」
「おん? なんだリン」
「貴男が手に入れたスクロール五十枚に使えそうな魔法を封じておいてやったわよ」
「おおっ! そうだった! リンが使えるって言うくらいだからかなり効果のある魔法を封じてくれたんだろう?」
「期待してくれてもいいわよ。攻撃に補助、回復もね」
「素晴らしいじゃないか!」
リンがスクロールへ封じてくれる作業をしてくれたとなれば、とんでもない魔法ってことになるだろうからな。
ガストストライクなんて強力無比だからね。
ああいった高火力な魔法がお手軽に発動できるなら今後の戦いでも大いに役立ってくれる。
「なかなかにいいスクロールを用意してたわね。あの変態は性格はクズそのものだったけど、実力は間違いなく本物だったわよ」
「そうだな……。あれでワックさんのように性格が最高なら尊敬もされたし、歴史にも名を残す大天才になっただろうに」
やっていたことに対しては一切の同情なんて出来ないけど。
バルバダイは残念でしかない。
いかんせん承認欲求の塊だったからね。
そこを魔王にいいように利用されてしまった結果、この大陸に厄災を振りまいてしまった。
もう少し王様たちと良い関係性を構築できていたならまた違った結果だっただろう。
「スクロールに封じている魔法の種類をコレに記しているから後で見ておくといいわ」
「有り難う」
リンに礼を言えば俺とリンの横からズイッと出てくるのは半眼のシャルナ。
「私も協力したんですけど」
「お、おお。助かったよ。有り難う」
「もっと感謝してもいいと思うの」
「卑しいわね~。二千年近くも生きているというのに」
「うっさいわよ五百年のお婆さん」
「自分にも戻ってくる言葉よね」
「戻ってきません~。なぜなら私はエルフだから。人とは時間の刻み方が違うのよ」
「だからそんなにも年を食っているのに幼い思考なのね~」
「なんですってぇぇぇ!」
余裕ある嘲笑のリンに対し、白い肌を真っ赤に染め上げてムキになるシャルナ。
この組み合わせは大抵がこういった流れになるよな。
こういうのも様式美って言うのかね~。
お偉方がいる中でもお構いなしに二人で言い合い。といってもムキに声を上げるのはシャルナだけだが……。
王様は最前線の地で余裕ある言い合いができる二人を微笑ましいと思っているようでほがらかな顔。
ルミナングスさんは大騒ぎする娘がみっともないと頭を抱え。軍議室に集まっている面々にドリンキングバードのごとく頭を下げる。
その所作をカトゼンカ氏が笑いながら眺めていた。
「兄ちゃん」
「どうしたミルモン」
「今のうちに外に出よう。オイラのお尻がムズムズするから」
「お、おう」
二日間はミルトンのおっさんと一緒に行動しているコールサイン・レイモンドから逐次報告が来る程度だろう。
俺は俺にできる事をここではやっていこう。
「まずはスクロールの内容を見ておこうよ」
「そうだな」
リンに渡された紐で結ばれた羊皮紙を広げて内容を確認。
「――ほうほう」
「なんか凄そう?」
「そうだな。かなりの数の魔法名が記載されているな」
有難いことに予想通りのガストストライクも入っていたし、それ以外にも経験のある魔法が記されているのだが――、
「聞いたことのない魔法が結構あるな」
スクロールに封じるくらいの魔法だからな。間違いなく強力な最上位や大魔法クラスのものを封じているはず。
把握しておかなければ。
「ちゃんと説明文を読まないとね」
「俺もそう思っていたところだ」
元の世界ではゲームプレイ時、効果説明を読まずに使用して力を十全で発揮させないタイプだったからな。
この世界では命に関わることなのでしっかりと目を通して頭に叩き込んでおかないと。
強力な魔法ともなれば使用するタイミングは重要になる。
内容をちゃんと把握しておかないと後々、大慌てに陥ってしまう。
――ほほう。
「なるほど――ね」
「かなり便利なのばかりだね」
「ただ効果範囲が広すぎるな。これだと俺のスプリームフォールのように使用制限がかかってしまう」
「攻撃はね」
「そうだな。広範囲に使用できる回復魔法のワイドエフェクトからのキュアってのはかなりよさげだな」
ファーストエイド以上ヒール以下のキュアを広範囲に使用できるのは大規模戦闘となるであろう今後はかなり重宝する。
「こんな魔法もあるんだね」
「基本、俺たちは少数での行動だからな。大規模使用を発動する機会がなければ目にも耳にもしないからね」
それにこんな大魔法をポンポンと発動できるのはリンかそれに匹敵する存在くらい。目にする機会が少ないのも当然。
しかしヒールじゃなくてキュアか。
リンであっても広範囲回復はキュアまでが限界ってことか。この魔法の発動難易度の高さが分かるな。
それでもキュアによる回復はでかい。
そこそこの重傷を負ってしまっても戦線へと直ぐに戻ることが可能だからな。
――……ふむん……。
これら数ある魔法の効果を覚えつつ、且つ最適の場面で発動するタイミングの見極めか――。
戦いを左右するアイテムだからこそ、見極める能力が長けていないと無駄な消費につながってしまう。
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