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新公爵
PHASE-908【上からの指示は絶対】
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「別に男爵を信用しているわけではないから。この領地を治めることは許すけども、監視はしっかりとつけるからね」
「御意! 心を清らかにして励みます」
「そこまで清らかにしなくていいよ」
「あ、はい」
政治屋は清濁を両立させるから政治屋だから。
汚いことも知ってないと汚いことに対応できないからね。
ダーディーな部分も俺は重要視するよ。
監視はつけるけど。
誰が適任かな。こんなおっさんの為にS級さん達を投入するのは勿体ないところだしな~っと。
「あれ? そういえばS級さん達は?」
「ああ、公都で集合するようには伝えている」
「となると、各地の調査ですか?」
「そうだ」
この町での調査を終えたと同時に、行動班からなるS級さん達はミルド領各地の調査のために動き出してくれているそうだ。
この地では調べないといけないことが多いからね。
傭兵団自体に傭兵団が使用するキノコ。カリオネルの息がかかっている連中。
で、最も危惧しないといけないのは合成獣が何者によって創造されたかだ。
S級さん達による調査なら結果報告も期待できるというものだ。
この町のマッピングからミルド領全体までしっかりと調べ上げてくれるS級さん達の存在は本当にありがたい。
――。
「入ります」
「どうぞ」
昼前。時間通り応接室を訪れる声が扉向こうから聞こえてくる。
入室を許可すれば扉側に立つカイルが開いてくれる。
開かれた扉からマンザートを先頭に数人が入室してくる。
「ククナル行政官、モンド・キクレイン殿と部下の方々に来ていただきました」
「ありがとう。さてモンド、早速だけど俺の案をこの町で実行してもらいたい」
「男爵様から伺っております」
「なら話は早いね。納得いかないこととかあるかな?」
生真面目が服を着ているといったのが第一印象。
でもって若い。まあ俺よりは年上だけど二十代って感じだな。
眼鏡にセンター分けの金髪。
長身で切れ長の目。インテリイケメンである。
「特にございません。私共はただ上の指示に従うだけです」
「それが悪いと思うことでも?」
「私共は私的な感情で実行しません。上がそう判断したのならそれを実現するだけです」
ほえ~。
ある意味、強気な人物だな。
どうあれ上がそうしろと言うなら実行する。
清濁関係なく実行すると言い切ることに、俺の斜め前のソファーに腰を下ろしているゲッコーさんも苦笑い。
大した胆力の持ち主でもある。
「じゃあ俺が発せばそれには従うんだよね?」
「当然です。レンググだけではなく、このミルド領全土の支配権を有している方の発言ですから」
「じゃあ直ぐさまこのレンググで奴隷売買の禁止を」
「畏まりました。売買が禁止となれば、傭兵や派遣に紛れさせた奴隷賃貸、斡旋などが横行する可能性も考えられます。それらにも対処いたしますがよろしいですか?」
「あ、はい。お願いします」
そんな所までは考えてなかったよ。
そうか。売買が禁止になったら別の手段に出るよな。
元の世界でも転売屋たちが高額売買が禁止になった途端に、別名で販売したりしてたけど、そういった抜け道もしっかりと封じないといけないな。
「お話は以上で?」
「あ、うん。以上で」
「では我々はこれにて。ご用がありましたらお呼びください」
「はい」
典雅な一礼から背中を見せたところで――、
「行政官としては従っただろうけど、一個人として今までの法令はどう思ってたの?」
気になってしまい口から零れてしまった。
「いいのですか発言しても」
肩越しにこちらを見てくるモンドに首肯で返せば、再び反転して正面を俺に向けると、
「不快感しかなかったですよ」
「この町全体が退廃に蝕まれていないのは、行政官たちの活躍があったからだろうな」
ゲッコーさんが問えば、
「買いかぶりです」
謙遜はするけども、夜の大通りは比較的に治安がよく問題もなかったからな。
裏通りは残念なものではあったけど、もしここに立つ行政官たちがこの町で仕事に携わっていなかったと仮定すると、大通りも裏通りのような状況になっていたかもしれない。
上からの命による仕事はしっかりとこなすと言っていたけども、ギリギリのラインで退廃を防げていたのは、こういった心ある人々がいたからに違いない。
「御意! 心を清らかにして励みます」
「そこまで清らかにしなくていいよ」
「あ、はい」
政治屋は清濁を両立させるから政治屋だから。
汚いことも知ってないと汚いことに対応できないからね。
ダーディーな部分も俺は重要視するよ。
監視はつけるけど。
誰が適任かな。こんなおっさんの為にS級さん達を投入するのは勿体ないところだしな~っと。
「あれ? そういえばS級さん達は?」
「ああ、公都で集合するようには伝えている」
「となると、各地の調査ですか?」
「そうだ」
この町での調査を終えたと同時に、行動班からなるS級さん達はミルド領各地の調査のために動き出してくれているそうだ。
この地では調べないといけないことが多いからね。
傭兵団自体に傭兵団が使用するキノコ。カリオネルの息がかかっている連中。
で、最も危惧しないといけないのは合成獣が何者によって創造されたかだ。
S級さん達による調査なら結果報告も期待できるというものだ。
この町のマッピングからミルド領全体までしっかりと調べ上げてくれるS級さん達の存在は本当にありがたい。
――。
「入ります」
「どうぞ」
昼前。時間通り応接室を訪れる声が扉向こうから聞こえてくる。
入室を許可すれば扉側に立つカイルが開いてくれる。
開かれた扉からマンザートを先頭に数人が入室してくる。
「ククナル行政官、モンド・キクレイン殿と部下の方々に来ていただきました」
「ありがとう。さてモンド、早速だけど俺の案をこの町で実行してもらいたい」
「男爵様から伺っております」
「なら話は早いね。納得いかないこととかあるかな?」
生真面目が服を着ているといったのが第一印象。
でもって若い。まあ俺よりは年上だけど二十代って感じだな。
眼鏡にセンター分けの金髪。
長身で切れ長の目。インテリイケメンである。
「特にございません。私共はただ上の指示に従うだけです」
「それが悪いと思うことでも?」
「私共は私的な感情で実行しません。上がそう判断したのならそれを実現するだけです」
ほえ~。
ある意味、強気な人物だな。
どうあれ上がそうしろと言うなら実行する。
清濁関係なく実行すると言い切ることに、俺の斜め前のソファーに腰を下ろしているゲッコーさんも苦笑い。
大した胆力の持ち主でもある。
「じゃあ俺が発せばそれには従うんだよね?」
「当然です。レンググだけではなく、このミルド領全土の支配権を有している方の発言ですから」
「じゃあ直ぐさまこのレンググで奴隷売買の禁止を」
「畏まりました。売買が禁止となれば、傭兵や派遣に紛れさせた奴隷賃貸、斡旋などが横行する可能性も考えられます。それらにも対処いたしますがよろしいですか?」
「あ、はい。お願いします」
そんな所までは考えてなかったよ。
そうか。売買が禁止になったら別の手段に出るよな。
元の世界でも転売屋たちが高額売買が禁止になった途端に、別名で販売したりしてたけど、そういった抜け道もしっかりと封じないといけないな。
「お話は以上で?」
「あ、うん。以上で」
「では我々はこれにて。ご用がありましたらお呼びください」
「はい」
典雅な一礼から背中を見せたところで――、
「行政官としては従っただろうけど、一個人として今までの法令はどう思ってたの?」
気になってしまい口から零れてしまった。
「いいのですか発言しても」
肩越しにこちらを見てくるモンドに首肯で返せば、再び反転して正面を俺に向けると、
「不快感しかなかったですよ」
「この町全体が退廃に蝕まれていないのは、行政官たちの活躍があったからだろうな」
ゲッコーさんが問えば、
「買いかぶりです」
謙遜はするけども、夜の大通りは比較的に治安がよく問題もなかったからな。
裏通りは残念なものではあったけど、もしここに立つ行政官たちがこの町で仕事に携わっていなかったと仮定すると、大通りも裏通りのような状況になっていたかもしれない。
上からの命による仕事はしっかりとこなすと言っていたけども、ギリギリのラインで退廃を防げていたのは、こういった心ある人々がいたからに違いない。
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