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トール師になる
PHASE-1071【杵と臼が欲しかった】
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「やはりなってないですか」
対してエリスは真摯に質問。
ほほう――。
いいじゃないか。
メンタルが弱いと思っていたけど、小馬鹿にされてもサルタナみたいに長い耳が恥ずかしさから赤くなるってのはないね。
会食の時を知ってしまえば、小馬鹿にされれば落ち込むかもと心配していたが、自分を鍛え抜くという事に関してはしっかりとした胆力を持っているようだ。
こういった思考が外の世界に足を運ばせる気概に繋がったんだろうな。
小馬鹿気味のコクリコに対してもひたむきな姿勢だからか、嘲笑じみたコクリコも問われることで真面目な顔になる。
「ええ、見てられませんよ。サルタナよりもひどい。まったくなっちゃいませんね。人間よりも長命であるのだから、その時間を鍛錬に活かすのが当然なんでしょうがね。やれやれですね。海賊に捕まるのも頷けるというもの。貴男は八百年という時間の中で何をしていたんですか? 食っちゃ寝ですか?」
「魔術師殿! いくらなんでも言葉が過ぎます!」
「黙りなさい! その様に周囲が過保護だから長命を言い訳に胡座をかくのですよ!」
琥珀の瞳がぎらつけば、手にしたミスリルフライパンを護衛の二人にビシリと向ける。
コクリコの姉御に気圧されて、長身の二人が背を仰け反らせていた。
手にするミスリル製のフライパンという奇抜さもあるからか驚きは大きい。
でもって俺の胃が……。胃がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………。
「コクリコ様の言うとおりです。僕の考えは常にあまいのです。外の世界に出る時も何とかなると思っての行動。結果、あの失態ですからね……」
「ですが生きています。生きていれば反省として活かせます。なので精進するのですよ」
「はい!」
「知ってるコクリコ」
「なんです。いま私は凄く気持ちのいい状態なんですが」
――……自分の発言に酔うのはいいけども……。
「お前の発言ってブーメランだから。お前にもしっかりとその発言が戻ってくるから」
「――ハッ! この天才に反省の二文字など存在しません。なぜかって? それは私が天才という二文字で形成されているからですよ!」
姉御モードからの残念モード……。
緩急が激しいこって……。
俺とギムロンは顔を合わせて肩を竦めて返した。
それが気に入らなかったようで、
「よし! 今度は私が貴男たち二人を相手にしてあげますよ。ただし私だけ魔法の使用ありでお願いします。二人はマナ禁止のままで」
発言が清々しいほどに残念だな……。
「本当におもしろい方々と旅をしているのですね。我が師よ」
「反面ストレスも凄いけどな。さあ、もう一回振ってみようか。サルタナ、基本をエリスに――」
兄弟子としてしっかりと基本を教えて上げるあたり、サルタナはエリスのいい友人になれそうだな。
いずれは王の剣――的な別称が与えられる存在になってくれれば師としてはうれしい。
まあそれも見る事は出来ないのだろうけど。
やはり――、元の世界に帰るにしても、寿命であるにしても弟子たちが立派になった姿を見られない事を思えば、寂しさを覚えるよ。
寂しさを覚えつつ、二人のやり取りを見守る。
下手なりに額に汗を流してサルタナの木剣を振るエリスが見せる笑顔は、純真な子供そのものだった――――。
「エリス。まずはこの辺りで自分に適した棒切れを手に入れて、木刀なり木剣にしてみるといい。そこをエリスの一歩としよう」
「分かりました」
快活な返事からエリスが自分に適した木を探し始める。
その間、ギムロンがしっかりとサルタナの木剣を立派なものへと変えてくれる。
雑嚢からナイフなどを取り出し、凹凸だった表面を滑らかにして剣の形へと整え、座っていた丸太の一部を鍔に変え、木の皮を加工して鞘も手早く作る。
棒切れのような木剣は立派な姿となった。
腰帯に差していたサルタナの得物は、鞘を吊り下げる作りとなったことで佩くスタイルに変わる。
サルタナは大喜び。
それを見ていたエリスも必死になって手頃な木を探し出しお願いすれば、これまた手早く作り出す。
側でそれを見る弟子二人のキラキラとした瞳は喜びに染まっていた。
さながら孫が爺ちゃんにお願いして作ってもらっているようだった。
まあ、二人ともギムロンより年上なんだけども――。
――――。
「なんて事があったんですよ~」
「なぁぁぁぁぁに! やっちまったな!」
ええっと、杵と臼は何処にあるのかな?
夕暮れ時にファロンド邸へと戻り、ククリス村での出来事をゲッコーさんに話せばいい乗りで返してくれた。
というか、そのネタを知ってるってのも凄いよな。ゲームのキャラなのに。
こんなにも乗りがいいのも珍しい。
――気持ちよく酔っ払っているのが原因だな。
テーブルに並ぶボトルの数は大したものだ。
かなり楽しんだようで。
さぞ肝臓がしびれ上がっていることでしょう。
飲み過ぎ――よくない。
対してエリスは真摯に質問。
ほほう――。
いいじゃないか。
メンタルが弱いと思っていたけど、小馬鹿にされてもサルタナみたいに長い耳が恥ずかしさから赤くなるってのはないね。
会食の時を知ってしまえば、小馬鹿にされれば落ち込むかもと心配していたが、自分を鍛え抜くという事に関してはしっかりとした胆力を持っているようだ。
こういった思考が外の世界に足を運ばせる気概に繋がったんだろうな。
小馬鹿気味のコクリコに対してもひたむきな姿勢だからか、嘲笑じみたコクリコも問われることで真面目な顔になる。
「ええ、見てられませんよ。サルタナよりもひどい。まったくなっちゃいませんね。人間よりも長命であるのだから、その時間を鍛錬に活かすのが当然なんでしょうがね。やれやれですね。海賊に捕まるのも頷けるというもの。貴男は八百年という時間の中で何をしていたんですか? 食っちゃ寝ですか?」
「魔術師殿! いくらなんでも言葉が過ぎます!」
「黙りなさい! その様に周囲が過保護だから長命を言い訳に胡座をかくのですよ!」
琥珀の瞳がぎらつけば、手にしたミスリルフライパンを護衛の二人にビシリと向ける。
コクリコの姉御に気圧されて、長身の二人が背を仰け反らせていた。
手にするミスリル製のフライパンという奇抜さもあるからか驚きは大きい。
でもって俺の胃が……。胃がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………。
「コクリコ様の言うとおりです。僕の考えは常にあまいのです。外の世界に出る時も何とかなると思っての行動。結果、あの失態ですからね……」
「ですが生きています。生きていれば反省として活かせます。なので精進するのですよ」
「はい!」
「知ってるコクリコ」
「なんです。いま私は凄く気持ちのいい状態なんですが」
――……自分の発言に酔うのはいいけども……。
「お前の発言ってブーメランだから。お前にもしっかりとその発言が戻ってくるから」
「――ハッ! この天才に反省の二文字など存在しません。なぜかって? それは私が天才という二文字で形成されているからですよ!」
姉御モードからの残念モード……。
緩急が激しいこって……。
俺とギムロンは顔を合わせて肩を竦めて返した。
それが気に入らなかったようで、
「よし! 今度は私が貴男たち二人を相手にしてあげますよ。ただし私だけ魔法の使用ありでお願いします。二人はマナ禁止のままで」
発言が清々しいほどに残念だな……。
「本当におもしろい方々と旅をしているのですね。我が師よ」
「反面ストレスも凄いけどな。さあ、もう一回振ってみようか。サルタナ、基本をエリスに――」
兄弟子としてしっかりと基本を教えて上げるあたり、サルタナはエリスのいい友人になれそうだな。
いずれは王の剣――的な別称が与えられる存在になってくれれば師としてはうれしい。
まあそれも見る事は出来ないのだろうけど。
やはり――、元の世界に帰るにしても、寿命であるにしても弟子たちが立派になった姿を見られない事を思えば、寂しさを覚えるよ。
寂しさを覚えつつ、二人のやり取りを見守る。
下手なりに額に汗を流してサルタナの木剣を振るエリスが見せる笑顔は、純真な子供そのものだった――――。
「エリス。まずはこの辺りで自分に適した棒切れを手に入れて、木刀なり木剣にしてみるといい。そこをエリスの一歩としよう」
「分かりました」
快活な返事からエリスが自分に適した木を探し始める。
その間、ギムロンがしっかりとサルタナの木剣を立派なものへと変えてくれる。
雑嚢からナイフなどを取り出し、凹凸だった表面を滑らかにして剣の形へと整え、座っていた丸太の一部を鍔に変え、木の皮を加工して鞘も手早く作る。
棒切れのような木剣は立派な姿となった。
腰帯に差していたサルタナの得物は、鞘を吊り下げる作りとなったことで佩くスタイルに変わる。
サルタナは大喜び。
それを見ていたエリスも必死になって手頃な木を探し出しお願いすれば、これまた手早く作り出す。
側でそれを見る弟子二人のキラキラとした瞳は喜びに染まっていた。
さながら孫が爺ちゃんにお願いして作ってもらっているようだった。
まあ、二人ともギムロンより年上なんだけども――。
――――。
「なんて事があったんですよ~」
「なぁぁぁぁぁに! やっちまったな!」
ええっと、杵と臼は何処にあるのかな?
夕暮れ時にファロンド邸へと戻り、ククリス村での出来事をゲッコーさんに話せばいい乗りで返してくれた。
というか、そのネタを知ってるってのも凄いよな。ゲームのキャラなのに。
こんなにも乗りがいいのも珍しい。
――気持ちよく酔っ払っているのが原因だな。
テーブルに並ぶボトルの数は大したものだ。
かなり楽しんだようで。
さぞ肝臓がしびれ上がっていることでしょう。
飲み過ぎ――よくない。
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