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トール師になる
PHASE-1190【証】
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「なんですとぉぉぉぉぉぉお! 弟子ですとぉぉぉぉぉぉぉお!!」
村全体に響いたこと間違いなしのコクリコの大音声。
「うるさいよ。騒音妨害だよ。もうすぐ夜なんだから静かにしろ」
「なんでトールばっかりなんですか! ここに素晴らしい師となれる存在がいるでしょうに!」
納得がいかないといった表情を浮かべ、別の意味で浮かべるアドンとサムスンを伴い、ハウルーシ君へと詰め寄ろうとするので、
「ああもう、せからしか」
首根っこを掴み、ヒョイと持ち上げて、ポイッと投げる。
「女の子をゴミを投げ捨てるかのように扱わないでいただきたい!」
「コクリコはアホなのか? ゴミは投げ捨てちゃ駄目だろ。ちゃんとゴミ箱に捨てないと」
「ぬぅぅぅぅぅぅぅう! そんな戯れ言には付き合いたくないですね!」
「俺も付き合いたくないっての」
お怒り気味のコクリコをスルーしつつ、ハウルーシ君の前に立ち、
「ハウルーシ君がよければ俺は構わないよ」
返すと、パァと明るい表情に変わる。
エルフの子供たちの笑顔は、本当に年上女性にとって威力絶大なことだろうな。
まあエルフ以外の種族の女性がターゲットとなると、大半がエルフの子供たちより遙かに年下になってしまうんだけども。
「本当にいいのですか!」
「いいよ。三番弟子として迎え入れよう。ハウルーシ君。いや――ハウルーシよ」
「有り難うございます! すごく嬉しいです。ハウルーシと呼んでもらえて」
サルタナやエリスと違って、自分だけが君付けで呼ばれる事に距離を感じていたご様子。
弟子となったからにはしっかりと呼び捨てにさせてもらおう。
「さてハウルーシの腕は我が弟子の中では今のところ一番の腕だ。だがそれに過信することなく精進するんだぞ」
「もちろんです師匠!」
おう、何とも嬉しそうに師匠って言うじゃない。
「よかったねハウルーシ」
「有り難うサルタナ。いや兄弟子」
「えへへ」
親友に兄弟子って言われて喜ぶサルタナの表情は可愛かった。
師と弟子二人がやり取りによって朗らかになる中で、
「ぐぬぬぬ……」
未だに納得がいかないコクリコが、何とも恨めしそうにこちらを見ていた。
「なんならオメーも会頭に弟子入りしたらどうだ?」
「ハッ! この私がなぜ誰かの下につかなければならないのか。冗談で言ったつもりなのでしょうが、まったくもって笑えませんよギムロン」
「嫉妬がスゲーの。それじゃあ会頭の弟子たちに精神面で負けとるぞ」
なんて言いながらギムロンが登場。
「ご苦労さん」
「いや~急いで出来上がりを知らせたくての」
「おう! てことは俺の新たなる愛刀が!」
「おうバッチリと出来上がったぞ! 最高の一振りがな!」
二百年以上の人生を過ごしてきた中で、培い磨き上げた己の技巧の全てを注ぎ込んでやったとギムロンはご満悦。
「ならば早速、見せてもらおうか」
と、言ったところでギムロンは無手。
「あの――肝心の刀は?」
「ああ、エリスが直接に渡したいんだとよ」
「おっそうか。となると時間的に明日だな」
「おう。明日、謁見の間で手渡すそうだ」
「そいつは楽しみだ」
「でもって――」
ゴソゴソと雑嚢からギムロンが何かを取り出せば、巌のような握り拳を俺へと向けてくる。
掌を握り拳の下におけば、ギムロンの拳が開かれ、俺の掌に二つ小札サイズの金属が乗っかる。
形状はよく目にしているモノだった。
「認識票だな」
「そうじゃ」
しかしこの色。
「この灰色の認識票って――英雄灰輝で出来てる?」
「おうよ。刀と鞘を作った時に残ったもんで三つ作ったのよ」
「三つ――か」
「ワシの思慮深さも中々だの~」
ギムロンはそう言ってサルタナとハウルーシを見る。
三つ。てことは残りは当然エリスの分だな。
「ハウルーシが俺の弟子になるのを予想してたんだな」
「会頭なら受け入れるだろうからな」
呵々と笑うギムロンは、
「特注の認識票は師である会頭がかけてやれ」
更に雑嚢から革紐を二本取りだし手渡してくれる。
認識票に空いた穴に革紐を通してから――、
「二人――こっちへ」
呼べば動きは素早い。
俺とギムロンのやり取りから、今から何が行われるのか察知したようで、二人の目は期待に輝いていた。
二人の思っていた事ははたして正だとばかりに、俺は二人の首に認識票をかけてやる。
「この英雄灰輝からなる認識票は俺の弟子の証だ」
「「有り難うございます!!」」
二人して顔をほころばせて喜んでくれた。
師匠としてほっこりとした嬉しさが体の中から湧き上がってきたね。
村全体に響いたこと間違いなしのコクリコの大音声。
「うるさいよ。騒音妨害だよ。もうすぐ夜なんだから静かにしろ」
「なんでトールばっかりなんですか! ここに素晴らしい師となれる存在がいるでしょうに!」
納得がいかないといった表情を浮かべ、別の意味で浮かべるアドンとサムスンを伴い、ハウルーシ君へと詰め寄ろうとするので、
「ああもう、せからしか」
首根っこを掴み、ヒョイと持ち上げて、ポイッと投げる。
「女の子をゴミを投げ捨てるかのように扱わないでいただきたい!」
「コクリコはアホなのか? ゴミは投げ捨てちゃ駄目だろ。ちゃんとゴミ箱に捨てないと」
「ぬぅぅぅぅぅぅぅう! そんな戯れ言には付き合いたくないですね!」
「俺も付き合いたくないっての」
お怒り気味のコクリコをスルーしつつ、ハウルーシ君の前に立ち、
「ハウルーシ君がよければ俺は構わないよ」
返すと、パァと明るい表情に変わる。
エルフの子供たちの笑顔は、本当に年上女性にとって威力絶大なことだろうな。
まあエルフ以外の種族の女性がターゲットとなると、大半がエルフの子供たちより遙かに年下になってしまうんだけども。
「本当にいいのですか!」
「いいよ。三番弟子として迎え入れよう。ハウルーシ君。いや――ハウルーシよ」
「有り難うございます! すごく嬉しいです。ハウルーシと呼んでもらえて」
サルタナやエリスと違って、自分だけが君付けで呼ばれる事に距離を感じていたご様子。
弟子となったからにはしっかりと呼び捨てにさせてもらおう。
「さてハウルーシの腕は我が弟子の中では今のところ一番の腕だ。だがそれに過信することなく精進するんだぞ」
「もちろんです師匠!」
おう、何とも嬉しそうに師匠って言うじゃない。
「よかったねハウルーシ」
「有り難うサルタナ。いや兄弟子」
「えへへ」
親友に兄弟子って言われて喜ぶサルタナの表情は可愛かった。
師と弟子二人がやり取りによって朗らかになる中で、
「ぐぬぬぬ……」
未だに納得がいかないコクリコが、何とも恨めしそうにこちらを見ていた。
「なんならオメーも会頭に弟子入りしたらどうだ?」
「ハッ! この私がなぜ誰かの下につかなければならないのか。冗談で言ったつもりなのでしょうが、まったくもって笑えませんよギムロン」
「嫉妬がスゲーの。それじゃあ会頭の弟子たちに精神面で負けとるぞ」
なんて言いながらギムロンが登場。
「ご苦労さん」
「いや~急いで出来上がりを知らせたくての」
「おう! てことは俺の新たなる愛刀が!」
「おうバッチリと出来上がったぞ! 最高の一振りがな!」
二百年以上の人生を過ごしてきた中で、培い磨き上げた己の技巧の全てを注ぎ込んでやったとギムロンはご満悦。
「ならば早速、見せてもらおうか」
と、言ったところでギムロンは無手。
「あの――肝心の刀は?」
「ああ、エリスが直接に渡したいんだとよ」
「おっそうか。となると時間的に明日だな」
「おう。明日、謁見の間で手渡すそうだ」
「そいつは楽しみだ」
「でもって――」
ゴソゴソと雑嚢からギムロンが何かを取り出せば、巌のような握り拳を俺へと向けてくる。
掌を握り拳の下におけば、ギムロンの拳が開かれ、俺の掌に二つ小札サイズの金属が乗っかる。
形状はよく目にしているモノだった。
「認識票だな」
「そうじゃ」
しかしこの色。
「この灰色の認識票って――英雄灰輝で出来てる?」
「おうよ。刀と鞘を作った時に残ったもんで三つ作ったのよ」
「三つ――か」
「ワシの思慮深さも中々だの~」
ギムロンはそう言ってサルタナとハウルーシを見る。
三つ。てことは残りは当然エリスの分だな。
「ハウルーシが俺の弟子になるのを予想してたんだな」
「会頭なら受け入れるだろうからな」
呵々と笑うギムロンは、
「特注の認識票は師である会頭がかけてやれ」
更に雑嚢から革紐を二本取りだし手渡してくれる。
認識票に空いた穴に革紐を通してから――、
「二人――こっちへ」
呼べば動きは素早い。
俺とギムロンのやり取りから、今から何が行われるのか察知したようで、二人の目は期待に輝いていた。
二人の思っていた事ははたして正だとばかりに、俺は二人の首に認識票をかけてやる。
「この英雄灰輝からなる認識票は俺の弟子の証だ」
「「有り難うございます!!」」
二人して顔をほころばせて喜んでくれた。
師匠としてほっこりとした嬉しさが体の中から湧き上がってきたね。
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