1,420 / 1,861
前準備
PHASE-1420【釣れたね】
しおりを挟む
「双方、仕掛けづらそうだね。どう動くかな?」
「どう動くかではなく――どう動かすかになるんじゃないのかな」
「相手をってことだよね?」
「うん。ラルゴ達としては相手を防御陣に誘い込んで叩きたいだろうな」
釣り野伏じゃないけど、自分たちが有利になるように騎獣側の包囲を崩すために、一箇所でもいいから誘い込みたいだろうな。
現状、防御一辺倒に頭を巡らせることで精一杯で、そこまで考えが至っていないようだけども、誘い込むという考えに至れれば、均衡が崩れることは間違いない。
そういった事に気付けて、動けるだけの戦術眼を持っている人材がいれ――、
「行きます!」
「お!?」
包囲されている騎馬から一騎が抜け出る。
猛然と騎獣の方へと突っ込んでいくのは――、
「リーバイ」
元奴隷の少年。
馬の速度を一気に上げ、ずれたケトルハットを左手で戻しながら包囲するゴブリンへと長棒を見舞う。
突如として出てきた一騎に面食らったのか、
「ギャ!?」
苦痛の声が上がれば、一人のゴブリンがミストウルフから落とされる。
革鎧の胸部分が朱色に染まった。
「速いな」
褐色の肌のリーバイが繰り出した突きはとても速いものだった。
馬の突進力を活かしながらの素早い突き。
リーバイよりも低い位置にいるゴブリンは派手に宙を舞うのではなく、地面を勢いよく転がるというもの。
派手に地面を転がる小さな体……。
想像していた事が現実になってしまったな……。
「あれって助からないよね……?」
ミルモンが俺の思いを代弁するかのように、リーバイの突きで吹き飛んだゴブリンを見ながら呟く。
単騎による強烈な突きは俺達だけでなく、相対する方にも衝撃を与えたようだった。
騎馬サイドを走りながら包囲していた騎獣サイドは、刺突の威力に気圧されたようで、動きが鈍くなってしまう。
そんな中で、
「お!?」
驚きの声を上げてしまう俺。
リーバイの強烈な突きを受けたゴブリンが矢庭に立ち上がると、自分の胸元に朱色が塗られたことに落胆し、さっきまで跨がっていたミストウルフと共に退場。
「……意外と平気みたいだね」
「そ、そうだな……」
ミルモンに返しつつ、あの突きを受けて普通に歩ける事に驚いてしまった。
一応ってこともあるのか、直ぐさま回復係が駆け寄ってファーストエイドを唱えていた。
――そんなやり取りの中でも当然ながら演習が中断されることはないのだが、騎獣サイドはあまりの強烈な突きを目にし、動きが散漫となっていた。
それじゃあ駄目だよ。動き続けないと。
と、苦言を心の中で呟く俺の眼界では、
「それ、それ!」
長棒による二連突き――からの、
「はぁ!」
続けて大きな薙ぎ払い。
散漫となった目の前にいる騎獣部隊に単騎で攻撃を仕掛けるリーバイ。
はたとなってリーバイの間合い外にいる騎獣達が一斉に襲いかかろうとする。
「リーバイに続け!」
ここでラルゴ達も呼応しようとするも、
「容易いな!」
と、嘲笑を浮かべたリーバイが踵を返してラルゴ達の方へと戻っていく。
全員が全員、人語を理解できてはいないが、向けられた嘲りが自分たちを馬鹿したものだというのは共通認識だったようで、
「ギャギャ!」
一人が怒号と共に長棒の先端を背中を見せるリーバイへと向けて駆け出せば、その勢いに周囲も続く。
騎馬サイドもせっかく作った勢いをなんで自ら放棄したのかという思いでリーバイを見つつも、陣へと戻ってくるリーバイが手綱から両手を離し、大きく両腕を広げる。
「上手く釣れたな」
俺が考えていた事を私兵の中では新参であるリーバイがやってくれた。
で、その動きを理解したラルゴは、
「足は止めずにそのまま二手に分かれるぞ!」
指示を出せば、野盗の時から付き合いがある面子がそれに従って整然と動き出す。
リーバイを分岐点として、騎馬が左右に展開。
突っ込んできた騎獣隊を挟撃する形を作り出せば――、
「突け!」
ラルゴのその大音声に全体が続く。
裂帛の気迫を燃料とした突きを騎馬サイドが見舞っていく。
苦痛に襲われるゴブリン達の声が多方向から上がり、咄嗟に攻撃を回避するためにミストウルフたちは霧状になってしまう。
「ありゃ……」
これはいただけないな。
騎獣隊の戦いっぷりを離れた位置から腕組みして見守っていたアルスン翁は、背中を反らせて天を仰いでいた。
頭巾で表情は確認できないけども、多分、俺と同じような感想だろう。
――ここからは一方的だった。
ラルゴ達による馬上からの突きで、突っ込んできたゴブリン達の腹部や頭部が朱色でペイントされていく。
乗り手を失ったミストウルフは霧となってその場から距離を取る。
負けの条件を理解しているからか、ミストウルフが単身で反撃ということはしなかった。
もしくは騎馬の迫力に気圧されたのかもしれない。
「まあ、巻き返しは難しいな」
後続で難を逃れた騎獣隊も、前方で倒されていく味方を目にしていったん下がるという選択――ではなく、壊走を思わせるように背中を見せて距離を取る。
包囲をしていた連中も同様。
「隊列がバラバラだよ」
「散兵でも戦えるだけの実力や武器があるならいいけど、それはないだろうからな。あれはさっきの挟撃で、リーダー格のゴブリンがやられた可能性があるな」
と、ミルモンに返す。
逃げ一辺倒になってしまった時点で継戦意思がないし、逃げる者を押しとどめることが出来るだけの立場の者もいないようだ。
臆病な部分を残す事で無理な戦いはしないという偵察タイプの育成を――と、翁には言っていたけども、逃げるにしてもスマートじゃないといけないよな。
この辺りはまだまだ訓練が必要だというのは、離れた位置で見ている翁も思っているようだった。
もうこうなったら、戦況が覆ることはないな。
「どう動くかではなく――どう動かすかになるんじゃないのかな」
「相手をってことだよね?」
「うん。ラルゴ達としては相手を防御陣に誘い込んで叩きたいだろうな」
釣り野伏じゃないけど、自分たちが有利になるように騎獣側の包囲を崩すために、一箇所でもいいから誘い込みたいだろうな。
現状、防御一辺倒に頭を巡らせることで精一杯で、そこまで考えが至っていないようだけども、誘い込むという考えに至れれば、均衡が崩れることは間違いない。
そういった事に気付けて、動けるだけの戦術眼を持っている人材がいれ――、
「行きます!」
「お!?」
包囲されている騎馬から一騎が抜け出る。
猛然と騎獣の方へと突っ込んでいくのは――、
「リーバイ」
元奴隷の少年。
馬の速度を一気に上げ、ずれたケトルハットを左手で戻しながら包囲するゴブリンへと長棒を見舞う。
突如として出てきた一騎に面食らったのか、
「ギャ!?」
苦痛の声が上がれば、一人のゴブリンがミストウルフから落とされる。
革鎧の胸部分が朱色に染まった。
「速いな」
褐色の肌のリーバイが繰り出した突きはとても速いものだった。
馬の突進力を活かしながらの素早い突き。
リーバイよりも低い位置にいるゴブリンは派手に宙を舞うのではなく、地面を勢いよく転がるというもの。
派手に地面を転がる小さな体……。
想像していた事が現実になってしまったな……。
「あれって助からないよね……?」
ミルモンが俺の思いを代弁するかのように、リーバイの突きで吹き飛んだゴブリンを見ながら呟く。
単騎による強烈な突きは俺達だけでなく、相対する方にも衝撃を与えたようだった。
騎馬サイドを走りながら包囲していた騎獣サイドは、刺突の威力に気圧されたようで、動きが鈍くなってしまう。
そんな中で、
「お!?」
驚きの声を上げてしまう俺。
リーバイの強烈な突きを受けたゴブリンが矢庭に立ち上がると、自分の胸元に朱色が塗られたことに落胆し、さっきまで跨がっていたミストウルフと共に退場。
「……意外と平気みたいだね」
「そ、そうだな……」
ミルモンに返しつつ、あの突きを受けて普通に歩ける事に驚いてしまった。
一応ってこともあるのか、直ぐさま回復係が駆け寄ってファーストエイドを唱えていた。
――そんなやり取りの中でも当然ながら演習が中断されることはないのだが、騎獣サイドはあまりの強烈な突きを目にし、動きが散漫となっていた。
それじゃあ駄目だよ。動き続けないと。
と、苦言を心の中で呟く俺の眼界では、
「それ、それ!」
長棒による二連突き――からの、
「はぁ!」
続けて大きな薙ぎ払い。
散漫となった目の前にいる騎獣部隊に単騎で攻撃を仕掛けるリーバイ。
はたとなってリーバイの間合い外にいる騎獣達が一斉に襲いかかろうとする。
「リーバイに続け!」
ここでラルゴ達も呼応しようとするも、
「容易いな!」
と、嘲笑を浮かべたリーバイが踵を返してラルゴ達の方へと戻っていく。
全員が全員、人語を理解できてはいないが、向けられた嘲りが自分たちを馬鹿したものだというのは共通認識だったようで、
「ギャギャ!」
一人が怒号と共に長棒の先端を背中を見せるリーバイへと向けて駆け出せば、その勢いに周囲も続く。
騎馬サイドもせっかく作った勢いをなんで自ら放棄したのかという思いでリーバイを見つつも、陣へと戻ってくるリーバイが手綱から両手を離し、大きく両腕を広げる。
「上手く釣れたな」
俺が考えていた事を私兵の中では新参であるリーバイがやってくれた。
で、その動きを理解したラルゴは、
「足は止めずにそのまま二手に分かれるぞ!」
指示を出せば、野盗の時から付き合いがある面子がそれに従って整然と動き出す。
リーバイを分岐点として、騎馬が左右に展開。
突っ込んできた騎獣隊を挟撃する形を作り出せば――、
「突け!」
ラルゴのその大音声に全体が続く。
裂帛の気迫を燃料とした突きを騎馬サイドが見舞っていく。
苦痛に襲われるゴブリン達の声が多方向から上がり、咄嗟に攻撃を回避するためにミストウルフたちは霧状になってしまう。
「ありゃ……」
これはいただけないな。
騎獣隊の戦いっぷりを離れた位置から腕組みして見守っていたアルスン翁は、背中を反らせて天を仰いでいた。
頭巾で表情は確認できないけども、多分、俺と同じような感想だろう。
――ここからは一方的だった。
ラルゴ達による馬上からの突きで、突っ込んできたゴブリン達の腹部や頭部が朱色でペイントされていく。
乗り手を失ったミストウルフは霧となってその場から距離を取る。
負けの条件を理解しているからか、ミストウルフが単身で反撃ということはしなかった。
もしくは騎馬の迫力に気圧されたのかもしれない。
「まあ、巻き返しは難しいな」
後続で難を逃れた騎獣隊も、前方で倒されていく味方を目にしていったん下がるという選択――ではなく、壊走を思わせるように背中を見せて距離を取る。
包囲をしていた連中も同様。
「隊列がバラバラだよ」
「散兵でも戦えるだけの実力や武器があるならいいけど、それはないだろうからな。あれはさっきの挟撃で、リーダー格のゴブリンがやられた可能性があるな」
と、ミルモンに返す。
逃げ一辺倒になってしまった時点で継戦意思がないし、逃げる者を押しとどめることが出来るだけの立場の者もいないようだ。
臆病な部分を残す事で無理な戦いはしないという偵察タイプの育成を――と、翁には言っていたけども、逃げるにしてもスマートじゃないといけないよな。
この辺りはまだまだ訓練が必要だというのは、離れた位置で見ている翁も思っているようだった。
もうこうなったら、戦況が覆ることはないな。
1
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道
コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。
主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。
こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。
そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。
修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。
それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。
不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。
記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。
メサメサメサ
メサ メサ
メサ メサ
メサ メサ
メサメサメサメサメサ
メ サ メ サ サ
メ サ メ サ サ サ
メ サ メ サ ササ
他サイトにも掲載しています。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる