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天空要塞
PHASE-1553【児戯】
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翼幻王ベスティリスの体を黒い電撃が包み込む。
今までの連中なら、これを闇の大魔法・ダークネスライトニングってのと勘違いし、慌てふためいたりしてたんだけど――、
「おもしろい魔法――いや、ネイコスでもなければピリアでもないわね。マナではない不思議な力」
電撃に包まれながらも冷静だった。
ノーダメージの中で自分に起こっている事象を調べたいという余裕も見て取れる。
「その余裕が――」
「命取り――と続けたい?」
「いえいえ……」
睨み一発で攻めることなくバックステップの俺氏。
接近からのミルモンの攻撃――からの後退。
ノーダメージの相手に対し、調子に乗って攻めれば逆にこちらがいらぬダメージを受けるからな。
なので次へと託す。
「次は後ろからね」
ミルモンと俺に意識を向けさせたことで、背後への回り込みに成功したコクリコによる――、
「ファイヤーボール!」
ワンド先端で赫々と輝く貴石から放たれる火球。
連動してアドンとサムソンからも同等の火球。
「良い火力だけど届かないわね~」
迫る数だけ羽扇を振って火球を叩けば、明後日の方向へと飛んでいく。
アークウィップの時も同様の対処だったけど、どんな鳥の羽で作れば魔法を打ち返せるような代物が作れるのか……。
「おのれ! 接近からの魔法も簡単に対処しますね」
直撃ならじのコクリコもここでベスティリスから距離を取る。
それにしてもコクリコの全力魔法が間近で放たれても、一切、脅威と感じていない。
俺に対しても表情の変化は一切無いし……。
俺達を相手にしつつも意識はやはり――、
「別次元――ねっ!」
言いながらベルの刺突を背を反らして回避し、続く蹴撃には翼を広げ仰向けの状態で床を滑るように飛行して距離を取る。
そこにゲッコーさんとユーリさんが射撃。
「一発一発が必中。まあ普通の相手ならだけど。それにしても五月蠅い音ね……。威力よりも音が鬱陶しいわよ……」
ショットガンからマシンガンへと二人して変更。
使用武器は浪漫のM60。
だがパッシブ障壁の前では効果なし。
「武器を変更したところで、わずかに意識をこちらへと傾かせるのが関の山か」
「高い水準、しかも最高水準のファンタジーとなれば、7.62㎜の弾幕であっても児戯のようなものなんでしょうね。ドム」
「ああ、まったくだ。虚しいもんだ」
「児戯なのだから虚しくならずに楽しめばいいのよ。そもそも自分たちで児戯とか言っているところがね。もっと別の力もあるのでしょう。妾に対してもったいぶるとか――馬鹿にしているのかしら」
「おう……」
戦くような声を漏らすのは俺ではなくゲッコーさん。
俺は声を漏らすこともできず、ゴクリと喉を鳴らすだけ……。
「そうね。児戯――ね」
距離を取りつつベスティリスは自身が手に持つ羽扇を眺め、
「貴方たちが児戯なら、妾もその程度で相手をしてみようかしら」
手にする羽扇を頭上で一振り。
「ばらけた」
羽扇から全ての羽根が抜け、ベスティリスの周囲を舞う。
ハラハラと舞いつつ落下――ということはなく、彼女の周囲に留まる。
「児戯――フェザートゥループ」
の、声に合わせて宙に舞う羽根の付け根が一斉に俺達の方を向く。
「それ」
これまた声に合わせ無数の羽根が俺達へと向かって放たれる。
ヒラヒラ、ゆらゆらという羽根らしい動きは皆無。矢を思わせる勢い。
直線だけでなく曲線も描き、無数の羽根が迫ってくる。
「羽根による翼包囲とは、洒落がきいてますね」
「言ってないで合流してコクリコ」
コクリコと一緒に仕掛けたシャルナの呼びかけに従って合流。
俺も合流して隊伍を組めばシャルナが一歩間に立つ。
「シルフィード!」
風の障壁が顕現。
壁面から発生する強い風。
触れても触れなくても対象物をはじき飛ばしてくれるシャルナの頼れる上位障壁魔法。
なんだけども……。
「ええ……」
弱々しい羽根からは想像が出来ない貫徹力。
障壁から発生する風力などものともせず、遮る壁があろうがお構いなしに羽根は障壁を貫いてこちらへと向かってくるといった光景。
「下がれ」
ここでベルが俺達の前へと立ち、
「弁償はしませんのであしからず」
浄化の炎を纏ったレイピアを高速で振ることで、
「ああ! お気に入りが!」
全てを塵へと変えてくれた。
「大事なものなら児戯に扱うのはよろしくないかと」
「ううん……。まあ、いいでしょう。他にもあるから。でも弁償はしてもらいたいわね」
「――ちなみに、価値はどれほどで?」
「大邸宅が一つは立てられるくらいの価値はあるわね」
「……トール」
「俺に立て替えてほしいと?」
コクリと小さく頷くベルさん。
「いいだろう。公爵という立場でもある俺ならなんとか弁償も出来るってもんだ!」
普段はしわい俺だけども、ベルのためなら一発承諾。
それに、
「勝てばよかろうなのだ! 勝てば勝者として弁償もしなくていいのだ! 踏み倒していこう!」
「あら、あの蹂躙王と同じような思考ね」
「う……ぬぅぅぅ……」
あいつと一緒だと思われるのは嫌だな……。
「あの、分割で……」
「払うつもりがあるだけでも蹂躙王よりはマシね。それに免じて勇者が言うように、妾に勝利して屈服させることが出来ればチャラにしてあげましょう」
「ふふん」
「またトールが屈服という言葉で顔が悲惨なものになってます」
「まったく! 悲惨すぎるね!」
「おい! 二人して悲惨とか言うな! 緩んだ表情と言いなさい!」
指摘するたびにキツい言い方になってるじゃないか……。
悲惨って表現はあんまりだろう……。
今までの連中なら、これを闇の大魔法・ダークネスライトニングってのと勘違いし、慌てふためいたりしてたんだけど――、
「おもしろい魔法――いや、ネイコスでもなければピリアでもないわね。マナではない不思議な力」
電撃に包まれながらも冷静だった。
ノーダメージの中で自分に起こっている事象を調べたいという余裕も見て取れる。
「その余裕が――」
「命取り――と続けたい?」
「いえいえ……」
睨み一発で攻めることなくバックステップの俺氏。
接近からのミルモンの攻撃――からの後退。
ノーダメージの相手に対し、調子に乗って攻めれば逆にこちらがいらぬダメージを受けるからな。
なので次へと託す。
「次は後ろからね」
ミルモンと俺に意識を向けさせたことで、背後への回り込みに成功したコクリコによる――、
「ファイヤーボール!」
ワンド先端で赫々と輝く貴石から放たれる火球。
連動してアドンとサムソンからも同等の火球。
「良い火力だけど届かないわね~」
迫る数だけ羽扇を振って火球を叩けば、明後日の方向へと飛んでいく。
アークウィップの時も同様の対処だったけど、どんな鳥の羽で作れば魔法を打ち返せるような代物が作れるのか……。
「おのれ! 接近からの魔法も簡単に対処しますね」
直撃ならじのコクリコもここでベスティリスから距離を取る。
それにしてもコクリコの全力魔法が間近で放たれても、一切、脅威と感じていない。
俺に対しても表情の変化は一切無いし……。
俺達を相手にしつつも意識はやはり――、
「別次元――ねっ!」
言いながらベルの刺突を背を反らして回避し、続く蹴撃には翼を広げ仰向けの状態で床を滑るように飛行して距離を取る。
そこにゲッコーさんとユーリさんが射撃。
「一発一発が必中。まあ普通の相手ならだけど。それにしても五月蠅い音ね……。威力よりも音が鬱陶しいわよ……」
ショットガンからマシンガンへと二人して変更。
使用武器は浪漫のM60。
だがパッシブ障壁の前では効果なし。
「武器を変更したところで、わずかに意識をこちらへと傾かせるのが関の山か」
「高い水準、しかも最高水準のファンタジーとなれば、7.62㎜の弾幕であっても児戯のようなものなんでしょうね。ドム」
「ああ、まったくだ。虚しいもんだ」
「児戯なのだから虚しくならずに楽しめばいいのよ。そもそも自分たちで児戯とか言っているところがね。もっと別の力もあるのでしょう。妾に対してもったいぶるとか――馬鹿にしているのかしら」
「おう……」
戦くような声を漏らすのは俺ではなくゲッコーさん。
俺は声を漏らすこともできず、ゴクリと喉を鳴らすだけ……。
「そうね。児戯――ね」
距離を取りつつベスティリスは自身が手に持つ羽扇を眺め、
「貴方たちが児戯なら、妾もその程度で相手をしてみようかしら」
手にする羽扇を頭上で一振り。
「ばらけた」
羽扇から全ての羽根が抜け、ベスティリスの周囲を舞う。
ハラハラと舞いつつ落下――ということはなく、彼女の周囲に留まる。
「児戯――フェザートゥループ」
の、声に合わせて宙に舞う羽根の付け根が一斉に俺達の方を向く。
「それ」
これまた声に合わせ無数の羽根が俺達へと向かって放たれる。
ヒラヒラ、ゆらゆらという羽根らしい動きは皆無。矢を思わせる勢い。
直線だけでなく曲線も描き、無数の羽根が迫ってくる。
「羽根による翼包囲とは、洒落がきいてますね」
「言ってないで合流してコクリコ」
コクリコと一緒に仕掛けたシャルナの呼びかけに従って合流。
俺も合流して隊伍を組めばシャルナが一歩間に立つ。
「シルフィード!」
風の障壁が顕現。
壁面から発生する強い風。
触れても触れなくても対象物をはじき飛ばしてくれるシャルナの頼れる上位障壁魔法。
なんだけども……。
「ええ……」
弱々しい羽根からは想像が出来ない貫徹力。
障壁から発生する風力などものともせず、遮る壁があろうがお構いなしに羽根は障壁を貫いてこちらへと向かってくるといった光景。
「下がれ」
ここでベルが俺達の前へと立ち、
「弁償はしませんのであしからず」
浄化の炎を纏ったレイピアを高速で振ることで、
「ああ! お気に入りが!」
全てを塵へと変えてくれた。
「大事なものなら児戯に扱うのはよろしくないかと」
「ううん……。まあ、いいでしょう。他にもあるから。でも弁償はしてもらいたいわね」
「――ちなみに、価値はどれほどで?」
「大邸宅が一つは立てられるくらいの価値はあるわね」
「……トール」
「俺に立て替えてほしいと?」
コクリと小さく頷くベルさん。
「いいだろう。公爵という立場でもある俺ならなんとか弁償も出来るってもんだ!」
普段はしわい俺だけども、ベルのためなら一発承諾。
それに、
「勝てばよかろうなのだ! 勝てば勝者として弁償もしなくていいのだ! 踏み倒していこう!」
「あら、あの蹂躙王と同じような思考ね」
「う……ぬぅぅぅ……」
あいつと一緒だと思われるのは嫌だな……。
「あの、分割で……」
「払うつもりがあるだけでも蹂躙王よりはマシね。それに免じて勇者が言うように、妾に勝利して屈服させることが出来ればチャラにしてあげましょう」
「ふふん」
「またトールが屈服という言葉で顔が悲惨なものになってます」
「まったく! 悲惨すぎるね!」
「おい! 二人して悲惨とか言うな! 緩んだ表情と言いなさい!」
指摘するたびにキツい言い方になってるじゃないか……。
悲惨って表現はあんまりだろう……。
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